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タイトル名 |
エンド・オブ・バイオレンス |
レビュワー |
やましんの巻さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2004-04-13 17:15:08 |
変更日時 |
2004-04-13 17:15:08 |
レビュー内容 |
ヴェンダースの映画は、たとえどんなに「失敗作」であろうと否定しきれない。そこに、彼自身が途方に暮れながら、それでも懸命に映画と「格闘」した跡が生々しく残っているからだ。この徹底した管理=監視社会(上空からの監視カメラと、そこから発射される、必瞬時に人を抹殺するレーザー光線!)の恐怖を描く不条理SF映画にしても、そう。国家による人間性の抑圧と、それに抗う個人という、確かに現実的には切実なテーマではあるものの、いったいこの手のジョ-ジ・オ-ウェル「1984」的なディストピアものを、何故ヴェンダースが作らねばならんのだ? …という疑問が最後までぬぐえない。そんな意味で明らかな「失敗作」であるものの、特にガブリエル・バーンが醸し出す「孤独」な佇まいが、まさしくヴェンダ-ス映画ならではの肌理(きめ)を感じさせ、やっぱり心うたれる。もう、それだけで断固支持! と思ってしまう。そして、主人公の父親に扮し、黙々と冷めたピザを齧るサミュエル・フラーの姿に、(いかにも「映画マニア」的な独り善がりだと言われようと)思わずナミダが出てしまう…(確か、これがフラーの“遺作”じゃなかったか)。あまり万人にはおすすめできない(…というか、なまじな人におすすめしたくない!)映画だけど、これを「愛せる」方がおられたなら、アナタはぼくの心の友です…迷惑でしょうけど(笑) |
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