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タイトル名 |
10ミニッツ・アフター |
レビュワー |
鱗歌さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2025-06-15 08:54:01 |
変更日時 |
2025-06-15 08:54:01 |
レビュー内容 |
昨今、タイムリープネタの作品がやたらと作られるようになってきましたけれども、筒井康隆の「時をかける少女」がそうであるようにそれなりに歴史のあるジャンルでもあり、この2005年の『10ミニッツ・アフター』って作品は先行作品のパロディ、すなわち、すでに2周めに入っている訳でして。 あくまで邦題とは言え、なーんかしっくりこないタイトル(「after」じゃなくて「later」じゃないのかなあ)ですが、それはともかく。10分くらい、時間を巻き戻せたり巻き戻せなかったりする装置が登場する、この映画。 主演が、30代にしてすでに堂々たる中年太りになってしまったショーン・アスティン。これだけでもう、グダグダ感は約束されたようなもの。劇中のセリフで、とある登場人物の少年を「ホームアローンのマコーレー・カルキンに似てる」「スタンド・バイ・ミーのリヴァー・フェニックスでは」などと評するシーンがあり、もしも続けて「いや、グーニーズのショーン・アスティンだろ」とか言われちゃったら、どうするんでしょうか。ああやっぱり、人生を巻き戻すのは10分なんかじゃ全然足りないなー、最低でも20年は必要かと。 他人のこと言えないけど。 タイムリープものの場合、時間を巻き戻せるのが主人公の特権であるかのように、あるいは「タイムリープというゲームのルールに則ってるだけです」みたいに機械的に時間を行き来されると、何だかつまらなくなってくるのですが、この作品はと言うと、あまりマジメにタイムリープやっていない、というか、それを実現する装置も見るからにショボいし、実際思うように動かないし、主人公もあまりこの装置に期待していないようなところがあって、その辺りはちょっとした変化球。装置が作動すると屋上のアンテナにビリビリッと電気みたいなのが走り、そのいかにも安っぽい描写が、懐かしい雰囲気も出しています。 愛すべきグダグダ感。ってなところでしょうか。 冒頭、主人公がエスカレーターに乗っている場面で、ビルの中に無数のエスカレーターが張り巡らされ、無数の人々がそこに乗って移動している。まるでベルトコンベアーに乗せられているみたいに。退屈な日常、ですね。 で、その主人公が、何やらすごい装置を作り上げたらしいのだけど、それで何をするのかと言えば、銀行に行って窓口のお姉さんに絡んでジュースをぶっかけられる、というトホホな展開。もうちょっとマシなことで装置の動作確認をしないもんなんでしょうか。だけど、おかげで、「宙を飛ぶジュース」が空中停止する映像、ってのがここに実現する訳で、要するに映画の作り手は、こういうコトを映画の中でやってみたかっただけなのね。 ついでに言うと、彼と銀行のお姉さんの組み合わせ、に加えて、彼を尾行する捜査官も男女2人組なら、その銀行に押し入ってくる強盗団のリーダー格も男女カップル。そして皆、女性の方がマトモ、というか、しっかりしている印象です。 そんでまあ、タイムリープできたり、できなかったりしながら、迷走気味にお話は進み、変化球と言っても投げてる本人も球がどっちに行くか分からないナックルボールのような展開のあと、結構アッサリと映画が終わってしまいますが、オチとしては「男女カップルそれぞれ、男もしっかりしてきて、良かったね」ってな感じですかね。 それで幸せになれるほど人生、甘くはないけど。。。 |
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