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タイトル名 |
PLAN 75 |
レビュワー |
キムリンさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2025-06-21 09:21:55 |
変更日時 |
2025-06-22 05:33:05 |
レビュー内容 |
いやあ、何か切ないというか明日は我が身 というか、暗い映像と共に何とも言えない余韻が残りました。 近未来が舞台というけれど、既にヨーロッパのいくつかの国 では安楽死が合法化されており、15年後には人口が1億人を 割ると言われる日本では、大地震と同様にいつ起きてもおか しくはない内容ではあります。
但し、登場する高齢者は要介護者ではなく自立した生活を 送り働くこともできる人たちである為、今ひとつ悲惨な実態 が伝わってきませんでした。 生き甲斐を見失って生きる気力をなくした高齢者の孤独な生活 が良く描かれてはいるのですが、PLAN75がターゲットにするの は彼らではないはずです。 また、少ない年金の足しにするべく必死に働く高齢者に若者 の怒りが向くとは考えにくいと思いますし、労働者不足が深 刻化する中では働ける高齢者は貴重だと思います。
この映画が描くべきなのは、寝たきり状態や認知症が進行、 あるいは重篤な病気に罹患して、呼吸活動以外は現役世代 の介護なしではでは自ら行えない高齢な人たちを社会が どこまで金と労力をかけて延命しなければならないのか、 そんな余力がなくなった時にどうするべきかを問うもの ではないかと思います。 さすがにそこまで切り込むのはあまりにも露骨でためらいが あったのでしょうか。
おそらくそういう人たちへの安楽死を政治家が今訴えれば、即 大炎上を起こし政治生命が断たれてしまうでしょうが、近い将来 ヒューマニズムよりも現役世代の生活や国家財政の方を優先せざる を得ない世論が形成される時代が来ることは不可避ではないかと 思います。
人の命は地球より重い、などという理想が崩壊し、社会を支える 現役世代の生活と社会の重荷でしかない寝たきり高齢者のどちらを 優先するべきかの選択を迫られる時がすぐそこまで迫ってきています。
将来自分が老いて寝たきりとなり、排せつも入浴も一人では出来ず 死を待つばかりになったとしたら尊厳死を選んでしまうかもしれま せん。 しかし、その場合はこの映画で描かれていた安っぽい方法では なく、映画「ソイレントグリーン」で描かれたような美しい風景 の映像を見ながら安らかに旅立ちたい、などと願ってしまう今日 この頃です。 |
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