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タイトル名 |
マインクラフト/ザ・ムービー |
レビュワー |
鉄腕麗人さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2025-05-11 13:31:51 |
変更日時 |
2025-05-18 11:26:39 |
レビュー内容 |
久しぶりに子どもたち二人を連れたって観に行った『マインクラフト』は、姉弟にとっては初めての実写映画の劇場鑑賞作品となった。 もちろん日本語吹替版での鑑賞を選んだが、一映画ファンの父親としては、子どもたちと共に、ジェイソン・モモアやジャック・ブラックが出演するハリウッド映画を鑑賞できたことは重要なトピックスであり、嬉しい体験だった。
私自身は、『マインクラフト』というゲームをほぼプレイしたことはなかったけれど、中2と小5の姉弟は、数年前からこのゲーム世界のプレイを楽しんでいた。特にゲーム世界の中での“モノづくり”に興味関心が高い息子は、一時期すごくハマっていた印象がある。 私は、一度どんなものかとプレイしてみたことはあったけれど、他のビギナー向けゲームと比較して、プログラミング言語が表層に露出する独特なゲーム構造に対して、うまく馴染めず、没入することができなかった。
“ゲーム”というものに対してどのように関わってきたかによって、『マインクラフト』の世界にのめり込むかどうかできるかどうかの“線引”があるように思えた。 そして、その境界線は、この映画化作品にもおいても明確に存在していたと感じる。
結論を言うと、私自身はこの映画作品に対して「満足」を得ることはできなかった。 “マイクラ”のゲーム世界を再現して、キャラクターたちが奇想天外なアドベンチャーを繰り広げる楽しい映画だとは思うが、ストーリーテリングにおいてはあまりにも工夫が無く、整合性の乏しいチープなストーリー展開だったと言わざるを得ない。 映画オリジナルで登場する“人間”のキャラクターたちに、あまり魅力がなく、取ってつけたようなドラマ性と、彼らの言動が、想定以上にゲーム世界の中の“異物”として目に余った印象だ。
特異なゲーム世界を舞台にした、“負け犬たちのワンスアゲイン”を描きたかったのは重々承知だが、そのためにはもっと真っ当な成長譚や、キャラクターたちの本質的な魅力が必要だったと思う。 特に問題だったのは、スターキャスティングのジェイソン・モモアとジャック・ブラックのキャラクター描写だろう。彼らのスター俳優としての華や、ビジュアル的なインパクトは、この映画を彩る娯楽性の一つだったけれど、この二人の言動やそのプロセスの描かれ方があまりにも軽薄でチープだった。 文字通りの“客寄せパンダ”としてしか機能しておらず、映画ファンとして落胆したことは否めない。
主人公の姉弟のキャラクター的な雰囲気や立ち位置はまだ良かったので、この姉弟を軸にしたもっと真っ当な家族ドラマが展開されていたならば、個人的には、隣で共に鑑賞する我が子たち(姉弟)とも重なって、感動できたのではないかと思えた。
ただし、だ。 その一方で、一緒に鑑賞した子どもたちは存外に満足した様子で、やや驚いた。 二人が言うところでは、ゲーム世界のギミックや設定が上手く反映されていて面白かった、とのこと。 なるほど、それならば“ゲームの映画化”として充分に「成功」と言えるのかとも思う。 プログラム言語をダイレクトに触り、作り込むゲーム世界同様に、この映画世界自体が、粗削りで、ナンデモアリの世界観を表現していたのかもしれない。
“ゲーム”の世界観に対してどう対峙し、“ゲームの映画化”という題材をどう捉えるか。 そこがこの手の映画を判別する大きなポイントであり、映画作品としての満足感の可否に直結する要因だと思う。 |
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