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タイトル名 |
陽はまた昇る(2002) |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2018-06-15 18:13:20 |
変更日時 |
2018-06-15 18:13:20 |
レビュー内容 |
ドラマチックな実話なのでそれなりに面白いものの、その実話のポテンシャル以上には面白くなれていない作品でした。 話は起伏なく流れていき、焦点というものがありません。本部から半ば見放された部門であるがゆえのビデオ事業部の荒れた空気や、部門のエース的なエンジニアがいない中で開発を進めなければならないという人材面でのハードルの高さなど、新事業部長はこれをどう解決するのかという組織論的な切り口で全体を構成すれば面白くなったと思うのですが、他の雑多な構成要素とない交ぜになって、せっかくの美味しい部分が埋没してしまっています。リストラ要求をしてくる本部からの干渉を避けるためにウソの事業計画書を作らせたり、本部に相談もせずに親会社の相談役である松下幸之助に直談判に行ったりと、加賀谷は組織人としてかなり危険な橋を渡っており、そうした意思決定の過程を詳細に描けば面白くなったと思うのですが、すべての要素がサラっと流れていったという印象です。 家族とのドラマ部分も同様で、多感な年齢の長男が家族との距離を置くようになった折に、母親が脳梗塞を発症。しかし倒れた妻の元に行くよりも仕事を優先したことに長男は激怒し、主人公を許さないとまで言い放ちます。加賀谷はどうやって家族との絆を取り戻すのかが後半の焦点になるのかと思いきや、何となく家庭環境は修復され、特に何もしていないのにラストでは長男は超良い子になって終了という、こちらも味気ない内容に終始しています。これならば長男の反抗期設定を置く必要などなく、何となく存在しているだけの家族の一人にしてしまう方が良かったと思います。 その他、感傷的な部分で定型通りに盛り上がる音楽や芝居じみた演技など、日本映画特有の悪いクセがドバっと出ており、あまりの古臭さにいつの時代の映画を見ているんだろうかという思いも抱きました。せっかく良い俳優を多く使っているのに、演出に何の工夫もないのでは勿体ない限りです。 |
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