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タイトル名 |
エネミー・オブ・アメリカ |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2007-04-03 20:59:45 |
変更日時 |
2007-04-03 20:59:45 |
レビュー内容 |
トニー・スコットならではのテンションの高い映像が楽しく、掴みは上々。トニー・スコットの手腕はもはやの名人芸のレベルで、チェイスシーンにおいてはただ細切れアクションを見せるだけでなく、NSAの操るハイテクの実力や、追う者と追われる者の位置関係等の情報を実にスムーズに見せてきます。こういう巧い映像を余裕で作ってしまう辺り、マイケル・ベイなんかにはまだまだ負けない娯楽アクションの王様の実力が感じられます。ただし作品自体は、そんなトニー・スコットの手腕におんぶにだっこの状態で脚本が致命的なまでに弱いのが残念。最初こそ盛り上がったチェイスも、同じような構図を何度も何度も見せられては飽きてしまいます。テンポをぐっと上げていかねばならない後半になると、逆に話のテンションまで失速気味に。諜報機関による殺人を隠蔽したいというそもそもの目的がありながら、街中でヘリを飛ばすはカーチェイスするはの大騒ぎという本末転倒な内容自体が、最後までテンションを引っ張っていく求心力に欠けていたように思います。こういうアクションのためのアクション映画って、見た目こそ派手でも最後まで緊迫感を保つことは難しいですね。またザ・ロック、アルマゲドン等、ジェリー・ブラッカイマーはプロの集団が寄せ集めや素人にしてやられる映画をよく製作しますが、こういうのも敵がバカっぽく見えるのであまり感心しません。機転を利かせて逃げるウィル・スミスよりも、あれほどのハイテク機器を駆使しながら標的を追い込みきれないNSAの間抜けぶりの方が目立っていました。そう思うと、本作と同じ巻き込まれ型映画であっても視点を主人公に絞り、追跡する側をほとんど描かなかったヒッチコックはやはり偉大だったなと思います。事情も知らない素人相手にミスを重ねる間抜けな姿をさらさないことで、恐怖を十分に維持できていましたから。ジョン・ボイド、バリー・ペッパー、ガブリエル・バーン、ジャック・ブラックと悪役にやたら豪華なキャスティングをしても、見せ方を間違えると役は引き立たないということがよくわかります。 |
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