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さすらい(1976) - とらやさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 さすらい(1976)
レビュワー とらやさん
点数 8点
投稿日時 2013-03-30 22:33:10
変更日時 2013-03-31 10:29:26
レビュー内容
「都会のアリス」「まわり道」に続く、ヴェンダース初期のロードムービー3部作の最後を飾る作品。

社会と距離を置くかのようにバスのような大きなバンを住処とし、町から町へ映画館を回る映写技師の男と、妻と離婚し人生から逃げ出してきたかのような男が出会う。

しかし何も起こらない。互いの名前を名乗る頃には映画が始まって30分ほど経過していた。妻と離婚した男がポツリポツリと身の上を語り出す頃には1時間ほどが経過していた。

彼らがどこに向っているのかも分からない。流れ行く旅の風景をぼ~っと見ていただけだったのかもしれませんが、鑑賞後の今、彼らとの長い旅を終えた充足感に満たされているかのような心地良さがあります。

「都会のアリス」も「まわり道」も登場人物がさすらう様を追い続ける作品。しかし本作は最終盤で「このままじゃ駄目だ、さよなら」の書き置きと、それを見て「いいさ、俺も頑張る」。それに続く列車とバンで2人が別れ行くラストからは、彼らが新たな一歩を歩み出そうとする確かな意志が感じられました。登場人物がさすらい続けた3部作の最後を飾るにふさわしいラストだったと思います。
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