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タイトル名 |
SKIN 短編 |
レビュワー |
タコ太(ぺいぺい)さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-07-09 00:28:42 |
変更日時 |
2025-07-09 13:25:57 |
レビュー内容 |
観ていて重い空気に包まれざるを得ない展開。まだまだ根強く米国社会に残っているのであろう差別主義。そして、ここで描かれているジェフリーのような人間は、家族や友人、ひいては国家を愛する(あるいは愛していると思い込んでいる)が故に、その意識に導かれるがままに行動し、躊躇うことなく暴力を振るってしまうのでしょう。
幼い愛息にライフル射撃を教えるジェフリーは、家族思いの良き父親なのかもしれません。が、ライフルの照準の向こう側にあるものは紛れもない差別の対象者たち。差別意識を幼年期から植え付けられているトロイには両親の教えや行為は絶対であり、彼にとって差別の対象に照準器を当てることは極めて自然な行動だったに違いありません。
ジェフリーの悲劇は本作を観る限りにおいては自ら招いた悲劇。しかし、より長いスパンでジェフリーという人物を眺めた場合、彼もまた差別意識を幼少期から刷り込まれていた一人に過ぎないのかも。彼の妻子はこの悲劇を受け止め切れるのか。出来るとしてもどう受け止めるのか。それは復讐心という意識に転じて更なる悲劇の連鎖の起点となって行くのか。とりわけトロイの心の崩壊が懸念されます。
対する黒人側にしても、白人を拉致し昏睡状態にして墨を入れるという異常な行動のすべてを目撃した少年は、この先一体何を考えて生きて行くのか。この連鎖はシンプルな1本の鎖ではなく、複雑に絡み合った鎖になって行くのか。全て氷解する日が来るとしても、まだまだ遠い未来のように思えてなりません。 |
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