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タイトル名 |
怪談(1964) |
レビュワー |
Qfwfqさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2004-08-15 01:02:48 |
変更日時 |
2007-01-23 20:27:43 |
レビュー内容 |
日本の中世は貴族の豪華絢爛さと同時に芥川の羅生門のような地獄絵図をあわせもっていて、この間の溝からはいつも何かが出てくるような、何かが出てきてもおかしくないようなそんな気にさせる。島国という地形的条件が外部との接触を疎くした分、内部を病魔が巣食ったのか。病魔はやがて異形となって見えるものたちには恐ろしい姿で、時には魂を奪っていった。それらは噂話となって荒廃した京都や貴族がひしめく宮殿に伝わった。当時の彼らにとってはそれが現実にはウソとしか思えないものであっても真剣な問題だったに違いない。全然映画の説明になってないが、この映画の素晴らしさはこういう時代を生きた人々の姿勢というか生き様がとてもよく伝わってくる。彼らの懸命さに痛々しさを覚えた。これがまず一点。次には時代を超越した美術がある。巨大セットで空までもセットの一部になっている。耳なし芳一ではこの点が凝縮されている。陰湿になりがちな日本の怪談をこれだけ幻想的にできたのは異形から美を見出したという美意識のこだわりのおかげだろう。そして音楽。この物語と視覚世界を装飾する音楽・音響には無類の映画好きでもある武満徹が担当している。これがまた絶妙。断続的に音楽が生成されていく。「怪談」をして、映画が総合芸術の結晶であることを認識する。 |
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