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タイトル名 |
羅生門(1950) |
レビュワー |
哲学者さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2004-06-17 14:16:43 |
変更日時 |
2004-06-17 14:16:43 |
レビュー内容 |
映像の美しさと構図の斬新さが際だつ。真実は見るものに相対化される、というメッセージが、神の死以後の欧米人を深いところで揺すぶった。相対主義は彼らには無神論につながるとんがったタブー。今でも「ラショモン」は真実の相対性の比喩になっていて、芥川の原作「藪の中」はジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』でも意味ありげに言及される。日本では、人によって真実が違うなんて言いぐさはタブーどころか社会生活の前提だから、黒澤は、ラストでヒューマニズムを唐突に持ち出すことで、相対主義を越える希望を観客に見せたつもりだったと思われる。欧米と日本とで、思想的意味が食い違っている興味深い作品ということになる。 |
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