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タイトル名 |
ガス人間第一号 |
レビュワー |
青観さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2008-02-17 13:26:45 |
変更日時 |
2008-02-17 13:33:09 |
レビュー内容 |
ガス人間?何やタイトルだけ見ると下手なB級SFホラーものかと思うが、とんでもない。これは明らかに恋愛映画だ!それもそこらの生温い恋愛ものなんかとは全く違う。人間の持っている矛盾、身勝手さが描かれている。あの博士の自己満足の為だけに犠牲にされてガス人間となってしまった水野(土屋嘉男)の怒り、その怒りの先が自分をこのようなガス人間へと変貌させてしまった博士を殺し、そして、自分をまるで何かの見世物のような眼でしか見ることの出来ない周りの者への怒り、その怒りが観ていてもよく解るし、誰だって、水野と同じ立場になったとしたらきっとそうする筈です。そんな中で出会った一人の女性、八千草薫演じる藤千代との恋、自分がもう普通の人間でないことを知り、それを藤千代にもばらすあの牢屋の場面、藤千代の水野に対する思いが伝わる最後の能の場面、観客の汚い野次にも屈することなくガス人間である水野の為に藤千代が踊りを見せる場面、そんな踊りの横で黙々と太鼓を鳴らす左卜全の老人の姿もやたらと悲しい。例え、恋する相手がガス人間だろうと最後の最後まで踊りを辞めずに死んでいった藤千代こそ本物の人間とてしの愛情を感じることが出来る。タイトルだけでつまらない作品だと決め付けて見ない人がいるのではないかと思いますが、これは間違いなく人間ドラマとして、また恋愛ものとして見応え十分の作品です。個人的感想としては出来ることなら藤千代とあの老人の二人だけでも最後は助けて欲しかった。いや、ガス人間となってしまった水野も元の普通の人間に戻って藤千代と目出度く結ばれてくれたらと願うし、心からあの二人が結ばれることを望んで見ていた。その点が残念ではあるが、それでも素晴らしい映画に間違いはないと思う。最後にもう少しだけ言わせてもらうと、あの歌舞伎の場面、能の音楽を聞いてたら川島雄三監督の「しとやかな獣」が観たくなってしまった。 |
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