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タイトル名 |
フィールド・オブ・ドリームス |
レビュワー |
やしきさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2009-02-03 02:07:10 |
変更日時 |
2018-02-25 23:14:52 |
レビュー内容 |
映画はいかに最初に「大嘘」をつくかが勝負だ。手短なモノローグによる自己紹介、そしてすぐに天の声、主人公を取り巻く環境を極力省き、ついにはスタジアムの幻想まで、と畳み込むような展開のおかげであっという間にこの映画の世界に引き込まれていく。トウモロコシ畑をいきなり野球場に変える男を下手に説明しなかった作り手側の勝利だ。そのおかげで次から次へと浮かび上がる疑問とその答えへの導き方に「んな、訳ないだろう」なんて事は考える暇もなくストーリーが展開していく。こうなると、強引な展開ではなく最終的な答えを見つける旅に観客も付き合うようなある種の「目的」が生まれていくのだ。年老いたドクター・グラハムを見つける1970年代の町並みも、途中で拾うヒッチハイカーもすべては「目的」のためのファクターなのだ。目的を目指すいわば観客代表であるケビン・コスナーはまさに適役。投げ方で本当の野球少年だった事がわかる。また妻役のエイミー・マディガンも素晴らしい。「娘を紹介したら?」という素敵な助け舟を出し、そっと球場のライトをつける彼女は最高だ。バート・ランカスターも晩年としてこの映画にあれほど素敵な役で出てくれたこと自体がうれしい。そしてこの作品のすごいところは俳優に負けず劣らず演出がさえまくっていること。たとえば全編通してぐっと来るのはシューレス・ジョーの声だ。彼の声はどんなに離れていてもささやく程度だ。普通なら絶対聞こえない距離も彼は小さく語る。その言葉は主人公にしっかり届いているのだ。まさにファンタジー!そしてすばらしいのは、球場に現われる彼らはすべて自分が何者かを自覚していること。それが老ドクターに姿を変えたムーンライト・グラハムへの暖かい言葉へつながり、最後に残ったあの人との会話に結びつくのだ。それにしてもラストのキャッチャーミットを脱ぎ、こちらに気づき振り返るあたりから目頭が熱くなる。映画史上でも屈指の名シーンだ。彼はフルネームを名乗り、主人公は躊躇してファーストネームしか名乗らない。それでもなお感極まって最後に一言「DAD」というと、あの人はためらうことなく振り向くのだ。今年で7回忌になる父とのキャッチボールの思い出がこの映画を見るたびによみがえる。 |
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