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タイトル名 |
東京兄妹 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2009-07-11 12:00:23 |
変更日時 |
2009-07-11 12:00:23 |
レビュー内容 |
鬼子母神の古い家を受け継いでしまった兄妹は、家に見合うようにしっかりしなければならないと、戸主らしい夫婦のようなたたずまいを見せざるを得ず、古風なスタイルに傾斜していく。ここらへん、いじらしいのだ。兄妹でじゃれあいをしない。自転車で兄を追い越すときも「おにいちゃん」などとじゃれない。だから終わりのほう、都電の中で兄妹が兄妹らしく脚の上げっこをするシーンが光る。墓参りの帰りで、家を守る“夫婦”の役割りを離れ、子ども時代の兄妹に戻れたのだろう。兄が座椅子を買ってくるが、妹はどうも使いたがらない、というエピソードもあった。コタツに前屈みになりたいんだな。二人のこの“夫婦”の関係が危うくなると時計が止まる。ゼンマイを巻く妹を、見上げる兄の目には女が映っているような。妹がいなくなって初めて、テレビを見るシーンが出た。天気予報という外部が映っている。帰ってきた妹に「風呂にはいれよ」と言う。で、いいのはラストだ。楽園に戻ったところで終わってはいけない。自分から退去していくとこで終わるのがいい。チリと鳴りかける鈴、ふと家事の手を止める妹、静かに門を閉め直し、振り向く兄でストップモーション、にくいね。 |
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