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タイトル名 |
ラヴィ・ド・ボエーム |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2010-01-31 12:12:08 |
変更日時 |
2010-01-31 12:12:08 |
レビュー内容 |
この人の映画では、ついてない人がやたら出てくる。その自分の「ついてなさ」にうんざりしているのに、「ついてなさ」を過剰にどんどん受け入れていってしまう。その勢いに奇妙な爽快感すら感じられる。少なくとも彼らは、同情してほしいような素振りを見せない。まるでそれらの不幸が、自分が自由であることの証拠とでも思っているのか、人出に渡るのを惜しむかのように手あたりしだい受け入れていく。で本作、「若くて貧しい」芸術家のメロドラマが、カウリスマキの手にかかると、「もう若くなくてしかも貧しい」に変換されてしまうのだ。芸術家として名を成せるかどうかもう自信も挫けてきたころの、ふっと華やいだ一場面を掬い上げたよう。ピクニックのシーンがいい。これを若い連中がやってたらハナモチならない気分になったかも知れない。それをもっさりした中年男たちと、反メロドラマ的としか言えないミミというキャスティングでやられると、なんとも切なくていいのである。繰り返し現われる「花」のモチーフも彼らが冴えないからこそ生きてくる。まっとうな連中なら仕事をしているような時間に、中年の男女が花を摘んだりしていることが、ユーモラスであると同時に、どうしようもない切実さも伴って観客の前に展開するのだ。これを観ていると「貧乏なんて若者には贅沢すぎる」とつい思ってしまうのだ。 |
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