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二十四の瞳(1954) - グレースさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 二十四の瞳(1954)
レビュワー グレースさん
点数 10点
投稿日時 2008-02-17 16:32:18
変更日時 2008-04-05 22:15:11
レビュー内容
何度この映画を観たか自分でも判らないんですが、休日にふと時間ができると観てしまいます。
 出てくる人で強い人は誰もいない、校長先生も男先生も時勢の中で学校や生活を必死に守っている優しい正直な中年男性にすぎない。
 完全な「負け組映画」と言えるかもしれない。
 大石先生はいつも愚痴って泣いて子どもたちの運命を変えることはできない。
「一緒に泣いてあげる」ことしかできない。
 子どもたちが運命に流され消えていく(売られていく・カフェに身を落とす・奉公に出される)、あるいは自分のチカラで歩いていく(師範学校に進む・軍人になる・産婆になる)のを見守ることしかできない。
 小学校の卒業式の後、自宅に訪ねて来た竹一に中学の制帽を愛おしく大切にかぶせ、予定外に奉公に出ることになった磯吉に、同じように鳥打帽を愛おしく大切にかぶせ、旅立ちの仕度をした二人を見つめる大石先生。
バス停まで歩く3人、背景には満開の櫻と菜の花。
 数年後、満開の櫻の下、菜の花を教え子の墓標に捧げる大石先生。
 その間に大石先生も母と夫を亡くし、愛娘を亡くしている。
 そのたびに「あぁ、いやね・・」と泣く、何かの運動をすることも抗議におしかけることもない。
 遺された者を守り、逝った人を思って泣くだけだ。
 振り返って、私たちの世代は愚痴らず、泣かず目標に向かって努力することを美徳として、突き進んできた世代だ。
 「見守る」・「泣く」という受動的な生き方を否定して成長してきた。
 きっと「就職する磯吉」と「進学する竹一」に優劣を一瞬でつける。
 同級生との「社会的地位」を逆転する方策を練り、磯吉を叱咤するだろう。
 しかし、強いようでいて、見守る者として、大石先生のような「その子をそのまま受け入れる・信じる」強さを失っているのではないかと思う。
 木下監督の映画は「弱者」の映画だ。
 「二十四の瞳」も「喜びも悲しみも幾年月」「日本の悲劇」も人が人を見守り、育っていき、旅立つのを、メソメソと愚痴り、泣きしながら受け入れていく映画だ。
 どんな社会になっても、木下作品が色あせることがないのはこの「弱い者・残された者」の持つ本質的な、「旅立たせる者」のもつ「痛み」と「強さ」なのではないだろうか。
 観る度に、自分を「旅立たせてくれた人」を思い、泣き、いつか自分が「誰かを旅立たせる日」を思い、泣くのだと思う。

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投稿日付邦題コメント平均点
2011-09-30婚前特急25.70点
2011-09-12アレクサンドリア06.72点
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