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昨日・今日・明日 - S&Sさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 昨日・今日・明日
レビュワー S&Sさん
点数 7点
投稿日時 2021-11-19 22:17:45
変更日時 2021-11-19 22:17:45
レビュー内容
ヴィットリオ・デ・シーカ、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストヤンニ、この60年代イタリア映画を代表する黄金トリオ、その中でも自分はこれがいちばん好きかも。 ナポリ・ミラノ・ローマをそれぞれ舞台とする三話オムニバス、役柄は違えどもローレンとマストロヤンニがカップルで主演というところが共通点。なんと言っても第一話『ナポリのアデリーナ』が、その“刑務所に収監されないために妊娠・出産を繰り返す女”という突拍子もないプロットであまりに有名。ふつう考えたら出産は女体に負担が大きいものですけど、逆に亭主マストロヤンニの方がどんどんやつれてゆき女房ローレンが産むたびに若々しくなってゆくのが可笑しい。これは当時子宝に恵まれなくて悩んでいたローレンを、なんか励ましているような意図が脚本にあった様な感じがします。けっきょくマストロヤンニは力尽きローレンは収監、でもここからの展開はいかにもイタリア人情喜劇という感じで、出所してパレードのような歓迎を受けて下町に凱旋するオチは、なんかほっこりさせられますねえ。『ミラノのアンナ』はちょっとフェリーニ味を感じさせる上流階級の女。でも停車するたびに前車にゴツンするところはなんかヘンな女です。マストロヤンニに運転させたら愛車が自損事故で大破、途端にそれまでのクールなブルジョワ風味から豹変して下町女みたいに喚き散らすところは傑作。さすがのマストロヤンニも愛想が尽きますよね(笑)。『ローマのマーラ』で演じるのは、いよいよ満を持して高級娼婦、そのメガトン級のナイスバディを堪能させてくれます。でもこのエピソードでもっと愉しませてくれるのは、ボローニャのボンボン息子・マストロヤンニの捧腹絶倒なコメディ演技です。彼は70年代以降の渋い二枚目ぶりがパブリック・イメージですけど、実は若い頃の軽妙なコメディ演技がこれまた絶妙なんです。ほんとにこの人は素晴らしい役者です。 まさにイタリア映画界お家芸の艶笑小話集なんですが、デ・シーカが手掛けるとこんなにシャレた作品に仕上がるわけです。これフェリーニが監督だったら、まただいぶ違った風味の映画になったんだろうな、何となく想像つくけど。
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