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タイトル名 |
トラペジウム |
レビュワー |
Dream kerokeroさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2025-06-08 16:16:51 |
変更日時 |
2025-06-08 16:16:51 |
レビュー内容 |
アイドルを夢見る少女の甘酸っぱくも爽やかな青春映画...鑑賞前はそう思ってました。ところが始まってみるとこの主人公、東ゆうちゃんはとんでもなく自分勝手で、今まで散々オーディションに落ちてきたことでアイドルになるための周到な作戦を考え、その作戦を成功させるために大胆かつ巧妙で姑息なやり方を実行していきます。その彼女の行動がとにかく結果的に誰かのためではなく自分のためなので、物事がちょっとでも思うように進んでいかなくなるとすぐに舌打ちしたりイライラしてきます。もうこれが本当に主人公とはとても思えないんです。はい。
ところがこれが不思議なことにそんな主人公、東ゆうちゃんの何とも危ういその性格が逆に何か起きそうな緊張感を生み出し、ついつい映画の世界に引き込まれちゃってました。だって彼女、常に地雷と隣り合わせでいつ踏んでもおかしくないから、もう見てられないのよ...ん?あれ?見てられない?いえいえ、映画はちゃんと観てますんで。はい(^_^;)
で、ついにその地雷を踏んじゃうんですよね。まあ正確には何度か触れちゃってはいたんですが。北の亀井美嘉ちゃんに彼氏がいたことが発覚した時、そして口パク・歌詞宿題事件へと・・・最終的には大河くるみちゃんに限界がきて職場放棄・・・で、アイドル、アイドルとしての夢はここで終わる・・・。4人の少女それぞれの考え方が違うから「アイドル」という「象徴」「偶像」に対する考え方も違っているのがとても面白くもあった。一人は圧倒的で輝く存在。一人は運命として流れに身を任せる。一人は恩人であり親友との繋がりの場所。一人は人前が苦手で夢よりも現実的。三者三様とは言ったもんだが四者四様ですね。この4人がじつに見事に混ざり合ってるようで混ざり合っていない危うさがこの映画大の魅力。
そんな4人の少女たちの中で一歩距離を置いて見守る少年、工藤真司くん。実は彼が最終的にこの物語のキーマンになるわけなんですが、その1枚の写真の中に写っている性格の全く違う4人の少女たちの笑顔は、アイドルとしての笑顔ではなく、穢れのない純粋な笑顔。それこそが、トラペジウム、決してキレイで完璧でなくてもその純さこそが生きる、生の喜びなんでしょう。
本当に素晴らしい作品でした。「アイドル」という題材をこういった切り口で見せてくれたことに驚きと感動です。ありがとうございました。
余談ですが、東西南北が所属する事務所の外観・・・1階にたい焼き屋があるんですがあれってハロプロのオフィシャルショップのある外観と似ていて、もしかしたら狙ってますかね?w |
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