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タイトル名 |
シェルタリング・スカイ |
レビュワー |
かたゆきさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2014-04-24 08:46:40 |
変更日時 |
2025-07-09 12:27:48 |
レビュー内容 |
この美しい空を見上げてごらん、この茜色の大空はね、僕たちを守ってくれているんだ、宇宙という無限の虚空から――。結婚生活10年目にしてお互いが求める愛の微妙な擦れ違いに悩む夫婦キットとポート。なんとか事態打開を図りたい2人は、若い共通の友人ターナーを伴ってアフリカの大地へと降り立つのだった。「無計画こそが私たちの計画なの」。原生的な生きるエネルギーに満ち溢れたアラブ人たちに混ざり、広大なサハラ砂漠でただ刹那的な愛を求めて彷徨う一組の夫婦。果たして彼らが得た結論とは?赤を基調とした暖色系の美しい映像と情熱的で壮大な音楽(全盛期の坂本龍一教授が生み出す美しい旋律が胸に染みます)で、この倦怠期の夫婦が若い男を媒介に冷めた愛を再び燃え上がらせようとするという、なんてことないNTRストーリーなのに、なんだか哲学的で深い映画に仕上げてしまうところは、さすが巨匠ベルナルド・ベルトルッチ。とにかく砂漠の映像が美しい。風が吹けばそこら中に砂砂砂、市場に行けば肉にたかる蝿蝿蝿、アラブ人はみんな髭髭髭、このひたすら濃ゆ~いのに何処か知的で高尚な雰囲気を漂わせるスタイリッシュな世界観には、素直に圧倒されました。ただ、綴られるストーリー自体はあまりにも淡々と進むため少々退屈なところはちょっぴり残念でしたけれども。それでも、どんなに情熱的な愛があろうとそこにどんなに崇高な人間の魂があろうと最後は何もかも無機質な砂へと呑み込まれて無に帰するのだという東洋的な無常観に必死で抗おうとする人間たちの苦悩を、ラクダがのどかに闊歩するような砂漠の雄大な景色のなかに象徴的に描いた、いかにもベルトルッチらしい良作でありました。 |
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