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タイトル名 |
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ |
レビュワー |
かたゆきさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2025-06-22 09:50:48 |
変更日時 |
2025-06-22 14:51:51 |
レビュー内容 |
生真面目で偏屈な性格が災いして生徒や同僚から嫌われている冴えない高校教師ポール。複雑な家庭環境からトラブルばかり引き起こしクラスで孤立している生徒アンガス。つい最近一人息子をベトナムで亡くし哀しみを抱えながらも学校の料理人として働く中年女性メアリー。1970年代の全寮制寄宿学校を舞台に、帰るあてもなく、2週間のクリスマス休暇をともに過ごすことになったそんな3人のひと冬の交流を終始ほのぼのとした目線で描いたヒューマンドラマ。監督は、これまで冴えない中年男性の何気ない日常をコメディタッチで描いてきた名匠アレクサンダー・ペイン。相変わらずこの人、女にモテない独身中年男のトホホなドラマを描かせると巧いですねぇ~~。特に何が起こるるわけでもない平凡な人たちの平凡な日常を淡々と描いているのに、最後まで惹き付けられて止まないのはこの監督の人を見る目が終始優しいから。正直、この3人はぶっちゃけて言うと人生の負け組。まぁ若いアンガス君はこれから逆転ホームランを打つ可能性はまだまだあるけれど、ポールとメアリーは色んな事情を抱えてたとは言え、もはや人生8回裏で相手チームに10点差つけられているようなもの。でも、それでいいじゃん、試合はほぼ負け確定でも最後まで自分なりに頑張ったんだから――。そんな監督のメッセージが聞こえてくるようでなんとも心地良いですね。最初は嫌い合っていたポールとアンガスがお互いの抱えている事情を知り、徐々に心を開いてゆく過程は定番だけどやはり胸に響くものがある。最後、前途ある若者の為にポールがとった決断も切ない余韻を残してくれます。そんな2人を絶妙な距離感で見つめる料理人メアリーも物語に良いアクセントをもたらしていますね。ただ、自分はちょっと長く感じてしまって中盤辺り、中弛みしちゃったのが残念。前半の他の居残り生徒との共同生活シーンやボウリングのシーンなどはもっと短く出来たように思う。全体として100分ぐらいに収めてくれたらもっと完成度の高い作品になっていたんじゃないでしょうか。とは言え総じてみると、アレクサンダー・ペイン監督の円熟の技が光る、ロードムービーの佳品に仕上がっていたと思います。メリークリスマス! |
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