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タイトル名 |
そして父になる |
レビュワー |
すかあふえいすさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2014-12-16 21:38:33 |
変更日時 |
2014-12-16 21:38:33 |
レビュー内容 |
最近(2013年)、生まれて60年を過ぎてから病院で「取り違え」が生じていた事が話題になっていたので、いつか見たいと思っていたこの作品を見た。
個人的には家族に「血の繋がり」は関係ないと思う。 「家族」というのは一種の共同体。 例えば養子。 血のつながりが無くとも、引き取る側が「家族」、引き取られる側が「家族になりたい」と言うならそれで家族だ。
「サザエさん」というアニメがあるが、あそこに婿として磯野家に納まっているマスオという男がいる。 この男もサザエと出会う前は「赤の他人」だった。 それがサザエを愛し、子供をもうけ磯野家に迎えられた・・・。 このように家族とは「別の血を流す者どうしが心で結ばれる」事で出来上がるのだ。 そこに子供がいなくともだ。
サーカスなら曲馬団どうしの絆、村なら村ぐるみの絆・・・「人類みな兄弟」という言葉は当たり前の考えとさえ言える。 「義弟」やら「義母」ならいくらでもなれるワケだし。
ただそこに心の通い合いが無い家族は家族とは言えない。それだけは確かであろう。
だ今回の件は事情が少し違う。 「親は誰?」という話。
産みの親が亡くなっているなら育ての親の元でそのまま暮らせるが、今回は産みも育ても健在と来たもんだ。
実にありふれたテーマ、実にシンプルかつ複雑な話。
親の心と子の心の違い。 男と女の心の違い。 そこら辺をシビアに描いたからこそ、この作品は評価されたのだと思う。 むしろこんな時代だからこそ、改めて普遍的なテーマに挑んだからこそ良いのだ。
一番良かったと思うのが、子供が産みの親の家に「戻る」というところだ。
親にとっても子にとっても複雑な心境、居心地と嫌悪感、ただそれが慣れれば・・・。
ラストの「父になった」結末は中々考えさせられる幕引きだった。 |
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