|
タイトル名 |
トカレフ(2014) |
レビュワー |
アラジン2014さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2025-06-17 15:32:08 |
変更日時 |
2025-06-17 16:03:43 |
レビュー内容 |
致命的な脚本と演出ミスが目立つ惜しい作品。本作が言わんとしていることは結構まともだし奥深いものなので、脚本と演出が適正に行われていたら名作になったかもしれません。本作が伝えたかったことはラストカットの奥さんの表情が全てでしょう。
おそらく、ラストの収束のさせ方に最も注力してしまったがため、物語の道筋に少々無理がいってしまったものと思われます。ある意味本作で最も重要な主張がダニー・グローバー扮するセント・ジョン刑事が発する「誰の身にも起こり得た不運な事故だった。これを理解するためには一歩引いて冷静に考えることが必要なのだ。お前もそう考えろ」という主張だと思います。このセリフが本作全体の流れを端的に表していますが、劇中での本セリフが語られるタイミングが悪すぎて、主人公ポール(ニコラス・ケイジ)が最も頭に血が上っている&事件の真相がよくわからない嫌なタイミングであり、「でも、お前の息子は生きてるだろ」と切り捨てられるだけのただの無駄シーンと化してしまっています。物語の序盤にオコネル(ピーター・ストーメア)も似たような助言をしますが、こちらも変な匂わせ演出のせいで観客にはミスリード程度にしか伝わっていません。(結局物語上オコネルも無駄死にしますし)
また、全体を貫くポリシーも(若気の至り)だったり(自己責任)だったり(後悔)など、意外とシッカリした土台があるにも関わらず、脚本の仕上がりが極めて雑なため、大切な部分がイマイチよく理解できない作品になってしまっています。むしろ反対に主人公たちに後悔や若気の至りみたいな深い感情はほとんどなく、いい年した大人になっても17才から何も変わっていないという反面教師的な演出が大半です。派手なドンパチが見せたいのか崇高な理念を見せたいのかよく理解できず、この作品の根本的な問題点を露呈してしまっています。(これに関しては映画のタイトルも悪く、娘の復讐+トカレフでは、観客は”96時間”の路線しか想像できない)
警察も警察で、主人公たちを監視している割にはやりたい放題やらせているし、真犯人のガキがパニくって自作自演した事の真相すら暴くことができない無能っぷりを呈しているだけの烏合の衆として描かれています。本当にもう何から何まで雑すぎる映画でした。ニコラス・ケイジに作品を選ぶセンスがないのか、はたまた彼が関わるから駄作になってしまうのか・・ プロット自体は非常に面白いものでしたのが、料理の仕方が絶望的にダメなのはもういかんともしがたいといった残念な作品でした。 |
|
アラジン2014 さんの 最近のクチコミ・感想
トカレフ(2014)のレビュー一覧を見る
|