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タイトル名 |
エル・スール |
レビュワー |
アラジン2014さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-04-21 18:02:21 |
変更日時 |
2025-06-12 12:28:30 |
レビュー内容 |
【2025/6月 再々 鑑賞後】 世間の評価との乖離に納得いかないので再度原作本を読み、パンフレットを取り寄せ、映画も鑑賞、さらにはしっかり考察もしてみました。つまるところ、親になった経験もなく、他人と家庭を築いたことすらない私にとって、本作で感情移入できる人物は子供の立場しかありません。私は男なので100歩譲って娘の立場に立ってみましたが、それでもなかなか感情移入しにくいものでした。 その理由は明白で、本質的に私自身がこの映画の誰とも共感できない非常に幸せな生い立ちであるが故、本作の切なさを理解することができないようです。しかしながら何度見ても構図や音楽は大変美しい映画で、やはり本作は再鑑賞を繰り返し理解していくべき名作なのだと痛感しました。
【2025/5月 原作本 読書後】 原作本を読みました。しかし原作本は映画とは全くの別物で、家庭向きとはいいがたい親父と絶望的な家庭崩壊、そしてその中で内向的に育ってしまった娘の独白がメインの作品でした。その挙句の「南編」はほとんどがオマケみたいなもので、娘にとってはダメ押しされ半ば強制的に成長させられただけといった印象でした。しかし南編が描かれているおかげでダメ親父のことも少しは理解できたし、やはり物語としては綺麗に幕を閉じていたのもまた事実だと思います。 ある意味「南編」が抜け落ちている映画版のほうが情緒的でロマンチックです。明らかに原作より映画のほうが切ない余韻に浸れますので、どちらも甲乙つけがたい仕上がりだといえると思います。
【2025/4月 初見時】 世間の評判から察するに批判的なことを書くのは少々勇気がいりますが・・ とても期待していましたがイマイチでした。喪失・異性・他者との距離感など普遍的なテーマが沢山あることは理解できますが、それでも本作を見るにあたっては特別な前提条件が必要だったように感じました。
語弊を恐れずに書くとすれば、、「一度でも親になった経験があること」だったり「他人と家庭を築いたことがあること」など、新しい家族を得る過程で発生する喜びや悲しみ、また苦労などを知っていないとより深くは楽しめない作品だったように感じます。私は結婚も子育ての経験もなく、戦争経験もありませんのでスペイン内戦(市民戦争)の影響による家族内対立など、非常に深刻な問題があったことは理解できるものの、やはりその本質(市民が二分された内紛の本当の悲惨さ)まではちょっと理解が及びません。 結婚生活を知らないと書きましたが、同棲生活や複数の婚約失敗などは経験しましたので、そういった意味ではイレーネ・リオスのパートは少しだけ理解できたかもしれません。しかしそれも南編(後半部)が抜け落ちてしまっているため、過去の恋愛に関する謎は謎のまま物語が終わってしまいます。後半パートが無かったことで情緒的な雰囲気を醸し出している一方、本作をより難解な作品にしてしまったような気もします。(長距離電話の相手もわからずじまい)
理想論ではありますが、自分の家庭内で他者の存在(しかも異性)を匂わせてしまうような父親像は、、やはり親として失格だったと感じてしまいます。ここに感情移入できない時点でちょっと厳しいかなと思ってしまいました。私など独身男性にとってはあまりにも対局にありすぎる作品だったように思います。(ただし映画の雰囲気、風景、音楽、撮影手法等は本当に素晴らしい作品でした) |
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