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タイトル名 |
Broken Rage |
レビュワー |
ゆきさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2025-05-14 13:05:01 |
変更日時 |
2025-05-14 13:05:01 |
レビュー内容 |
御年77歳のビートたけしが「凄腕の殺し屋」を演じるのは無理が有るだろう……と思っていたのですが、意外や意外。 「説得力」の代わりに「ギャップの魅力」をアピールする作りとなっており、中々良かったです。 階段を登るのも億劫そうな老人が、銃を手にすれば容赦無く相手を撃ち殺し、殺しを終えて家に帰ってきたら、再び無害そうな老人に戻って湯呑で茶を飲んだりする。 「生活の為に、仕方無く殺し屋をやってる主人公」ならぬ「隠居暮らしの退屈凌ぎに殺し屋をやってる主人公」という印象ですね。 展開には色々不自然さが目立つし「覆面捜査官としての仕事を全うし、自由になって終わり」という捻りの無いオチは如何なものかと思うけど、まぁ御愛嬌。 この特異な主人公の魅力だけでも、観て良かったと言える一本でした。
……と、以上は「Broken Rage」本編に対する感想。 で、本編終了後に、長い長いスピンオフが始まる訳ですが……これまた評価に困る内容で、参っちゃいましたね。 さながら前半は「アウトレイジ」(2010年)のような北野武監督版、後半は「みんな~やってるか!」(1994年)のようなビートたけし監督版となっており、一粒で二度オイシイ映画と褒める事も出来そうでは有るんですが……ちょっと厳しいです。
まず、前半と後半のギャップを楽しむにしても、主人公のねずみが殺し屋って点は共通してるし、意図的に殺人を犯してる事にも違いない訳だから「何でもない素人が凄腕の殺し屋と誤解される」みたいなノリの面白さは無いんですよね。 途中、動画サイトのコメントを意識したような「時間調整」の演出にも白けちゃったし、この辺りは「年老いた監督が感性の若さを維持しようと、無理してる感じ」も伝わってきて、観ていて辛かったです。 そもそも前半部分が「シリアスな殺し屋映画として、凄く面白い」って訳でもなく、贔屓目に観ても「主人公のキャラは中々魅力的で、それなりに楽しめる映画」くらいの出来栄えな訳だから、後半部分で「シリアスで真面目な傑作としての前半部分をぶち壊すカタルシス」が生まれていなかったのが、致命的だったように思えます。
でも、まぁ、自分としては嫌いになれない一本というか…… 77歳のビートたけしが、映画の中で「コマネチ!」ってギャグを披露してるって一点だけでも、単なる駄作とは言い難い魅力が有るんですよね、これ。 今になって思い返してみると、面通しの場面で「俺に決まってんじゃねぇか、バカヤロー」とツッコむ件が面白かったとか、椅子取りゲームで優勝した事を親分が祝福してくれる場面が微笑ましいとか、何だか「良かった事」ばかりが浮かんできちゃいます。
巷で評判の良い北野武監督作も、評判の悪いビートたけし監督作も、どちらも好きな身としては、中々興味深い実験作でありました。 |
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