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タイトル名 |
人も歩けば |
レビュワー |
あやかしもどきさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2025-07-13 19:13:54 |
変更日時 |
2025-07-13 19:13:54 |
レビュー内容 |
3度目の鑑賞だが、観る回を重ねるほど川島作品のエキセントリックなユーモア・パワーを堪能できる傑作だ。 冒頭のフランキー堺による達者なナレーションと「一人アフレコ」からもう惹き付けっれる。 質屋に婿養子に入った男(ただし戸籍上は入籍していない)が養母や内縁の妻の非人情な扱い(これも内縁だからか?)に腹を据えかねて家を飛び出し、日雇い暮らしを続けているところに、予期せぬ巨額の遺産相続の話が舞い込んできた子で、主人公は一躍「渦中の人」として追い回される立場に――。 とにかく小林千登勢演じる清子を除けば、登場人物が強欲な人間揃いで、その私利私欲のぶつかり合いが醜いけど面白おかしいのだ。つまり「人間なんて化けの皮が剝がれればこんなもんよ」という痛快な哲学的メッセージがそこにある。 また、住宅難やオリンピック招致問題や新興宗教ブームなど高度成長期の東京の世相を風刺したり、「小糠三合あれば婿に行くな」という格言そのままに婿養子の抱える悲哀もしかと描かれている。 脱線トリオやロイ・ジェームスの貴重な映画出演も見ものだが、やはり主演のフランキー堺のジャズの変調を繰り返すような変幻自在の演技が素晴らしい。川島雄三がフランキーを重用したのも納得だ。 ラストのフランキーのドラム・テクニックが冴え渡る場面もお得感十分。 これはぜひ一杯やりながら、笑って堪能してほしい逸品だ。 |
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