みんなのシネマレビュー
レッド・バロン(1971) - やましんの巻さんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 レッド・バロン(1971)
レビュワー やましんの巻さん
点数 10点
投稿日時 2004-11-04 16:13:10
変更日時 2004-11-10 12:52:53
レビュー内容
実際にジョン・フィリップ・ローなど役者を操縦席に座らせた複葉機が、大きく空中で一回転する。と、役者の真正面に据えられたキャメラは、その表情とともにバックに広がるヨーロッパの田園地帯の風景をも映し出す…。

この「究極のリアリズム」の前には、もはやどんな最新のCG映像も太刀打ちできまい。もちろん空中戦のシーンでも、本当に役者が空を飛ぶ飛行機上で“演技”している。つまり彼らは、その時「本物のパイロット(もちろん、操縦しているのは別人だろうけれど)」として、画面の中で君臨(!)しているんである。そう、彼らは、第一次世界大戦の“空の勇者”を演じるというより、その生身(なまみ)でもってパイロットが見た・感じたままの“現実(リアル)”を「再現」しているのだ。

ロジャー・コーマンの映画は、一連の“エドガー・アラン・ポーもの”をはじめゲテ物と蔑まれるようなB級映画であろうと、ロケーションと美術セットに対する感覚において際立ったものを持っている。彼の監督作を見たなら、そこに映し出される森や池、古い城壁それ自体がドラマを暗示し、見る者をその作品世界へといざなっていくものであることを誰もが認めるだろう。さらに、どんなに低予算であろうと、登場人物以上に「物語」を雄弁に語るあの美術セット。…そう、コーマンは決して役者たちの演技やセリフによるのではなく、あくまで“画”によって恐怖を、悲哀を、官能を、憎悪を、狂気を、…そう言った人間の内面の「闇(=病み)」を描く術において卓越しているのだ。

そんな彼の資質が、この生涯で唯一(?)の大作においても遺憾なく発揮されている。19世紀的騎士道精神を生きる“レッド・バロン”ことリヒトホーフェンの驕慢さと、その背後に隠された「滅びへの意志」。一方の、英国軍パイロット、ブラウンにおける徹底した上流階級に対するルサンチマンとその「破壊衝動」。その相対立する葛藤劇を、コーマンは、役者を複葉機に乗せて飛ばす全編にわたっての空中シーンという形で“画”にしている。言い換えるなら、役者たちというフィジカル(肉体)な“実体”を用いて、メタフィジカル(形而上的)な“精神”を描くこと。そこにこの映画における「野心」があったことを、ぼくは信じて疑わない。

…監督としてのロジャー・コーマンを、今一度ぼくたちは再評価するべきだ。
やましんの巻 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2021-05-18ワンダーウーマン 1984105.92点
ワンダーウーマン106.52点
2016-03-29アメリカン・スナイパー106.94点
2014-10-29マネーボール106.86点
2014-10-28ホワイトハウス・ダウン106.58点
2014-10-22カウボーイ&エイリアン74.74点
2014-04-05ラッシュ/プライドと友情107.45点
2014-04-02ゼロ・グラビティ67.63点
2013-11-22ペコロスの母に会いに行く106.76点
2013-11-20三姉妹~雲南の子107.75点
レッド・バロン(1971)のレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS