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タイトル名 |
海を飛ぶ夢 |
レビュワー |
Cinecdockeさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2016-11-26 00:49:58 |
変更日時 |
2016-11-26 00:49:58 |
レビュー内容 |
尊厳死という重いテーマの割に軽快で爽やかな語り口。スペインの映画とは思えない、ハリウッド的な娯楽性が見易くさせている(とは言っても過剰ではない絶妙なバランス)。実話だがプライバシーの事情で大幅な脚色がされているが故に、窓から海へ飛び立つ幻想的なショットが活きてくる。もう戻れない自由への憧れが切なくも美しい。よく「生きているだけで素晴らしい」という言葉が感動的に描かれる風潮は、狭い世界に押し込められている人間にとって生の肯定ではない。価値観の強要であり、尊厳を剥奪する行為に過ぎない。介護だってラモンにとっても家族にとっても負担がかかり、本音ではそれぞれ諦めたものもあったはずだ。揺れる家族の葛藤に、同じく動かない神父が、マスコミが、スクリーンの前にいる我々が口を出して騒ぐ。それでもマヌエラはこう言うだろう。「あなたはやかましいわ」と。死を選んだラモン、病を受け入れ生きることを選んだロサ、そして新しい命。この三者三様の想いを乗せて海に還っていく。答えはないけれど、この"着地点"が深い。 |
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