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村の写真集 - やましんの巻さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 村の写真集
レビュワー やましんの巻さん
点数 10点
投稿日時 2005-05-17 21:21:53
変更日時 2005-05-18 15:53:09
レビュー内容
映画の終盤近く、ダムに沈む村の人々を写真に撮り続ける父と息子が、山道で立ち止まってふもとの景色を眺める場面があった。そこには、山々に抱かれるようにして村落が広がり、いろんな生活風景が繰り広げられている。農作業に勤しむ老人、洗濯物を取り入れる主婦、学校帰りの子どもたち、自転車をこぐ女子高生、散歩する犬、…。そのひとつひとつを、画面は衒いなく、ただ丁寧に映しとる。そしてぼくという観客は、このなんでもない短い場面に途方もなく魅せられ、いつしか涙ぐんでいる…。

そう、これは、何よりも「風景」の映画だ。徳島の山深い自然の風景ばかりでなく、たとえば人間の日々の生活や営みをも「風景」としてとらえ、見つめるまなざしによって創られた映画。父と子、家族の葛藤と和解を主題としながら、それすらも「風景」のなかの点景として描く映画なのだ。しかも、決して高みから見下ろすような(ある種“傲慢”な)「神の視点」なんかじゃなく。

そんな、「人間」をも「風景」のように見つめること。日が昇り日が沈み、風が吹き木立を揺らすようにして“時間(とき)”が過ぎるごとく、人は生き、やがて死んでいくことを、ひとつの「風景」としてスクリーンに映し出そうとすること。…その時、この映画は、大げさじゃなくひとつの<コスモス(=宇宙・調和・摂理)>をフィルムのなかに創造し得たのじゃないか…と、ぼくは思う。

繰り返すが、それは決して「運命」だとか「死生観」だとかといっただいそれたものじゃない。それは、慎ましい人生の哀歓を、「物語る」のではなくそっと「見つめる」ことで成立していたかつての日本映画のように、ささやかだけれど美しい「風景」それ自体なのだ。

…かつて本作の三原監督が、『風の王国』で福岡アジア映画祭でグランプリを受賞した時、その作品を強く推したのが台湾の候孝賢だったという。彼もまた、「人間」を「風景」のように見出し、映し出す監督に他ならない。そう、『村の写真集』は、たとえるなら候監督の『恋恋風塵』のように美しい映画なのである。 拍手!
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