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タイトル名 |
あらくれ(1957) |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2011-01-03 14:54:10 |
変更日時 |
2011-01-03 14:54:10 |
レビュー内容 |
彼女の亭主になりたいとは思わないが、脇で見ているぶんには実に小気味のいい女の半生もの。不機嫌な人物を見ていると、普通はその不機嫌が伝染してきてしまうものなのだが、彼女の場合は違う。共感でもないの。小さいのによく動き回る相撲取りを見ているときの快感、と言っちゃ女性の高峰秀子に対して失礼か。森雅之との関係はあいかわらず「ズルズル」の世界で、でも『浮雲』みたいに黴の生えるようなジメジメした雨じゃなく、爽快な夕立であることが本作の魅力(あの夕立はホースで撒かれた水の延長線上にあるんだろう)。全編にあふれる物売りの声も、いつもながらとは言え、いい。変に好きなのは、洋服屋の下働きをしてるとき、からの大八車を引いての帰り道、ちょっと置いて一服する、そのしゃがみぶりというか、いや、いったい何がいいんだか分からないんだけど、成瀬の映画ではこういう瞬間を心待ちに待っている。「道行きシーン」と勝手に呼んでて、一人歩きものと二人歩きものと二種類あるんだけど、とにかく道を行きながら放心しているシーンてのが、私は成瀬映画では無性に好きでたまらない。 |
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