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私は貝になりたい(2008) - しってるねこのちさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 私は貝になりたい(2008)
レビュワー しってるねこのちさん
点数 7点
投稿日時 2015-04-25 18:07:32
変更日時 2015-04-25 18:07:32
レビュー内容
豊松には同情してしまいます。
何故ならそう描かれているからです。
子供の頃から貧乏で、足に障害を持ちグズだと言われ、身籠の妻と駆け落ちしてやっと小さな店を出したら軍に招集され、帰ってきたら刑務所に入れられ、二人目の娘には金網越しにしか会えず、SMAPなのに歌が下手で、最後には死刑になってしまいます。
製作者はそんな豊松への慈悲を感じて欲しかったかといえば、そうではない様な気がします。
大北山での出来事は背景や感情も含めるとかなり複雑です。
当時の日本はジュネーブ条約の捕虜に関する条項には批准していないので、矢野中将の「適切な処置を行え」という命令からしてあやふやですから、豊松までの間に入った士官達の命令責任も問えなくなりますし、「上官の命令は陛下の命令」としているならば、天皇陛下まで責任が及ぶことになってしまいます。
豊松の行動も「上官の命令は絶対」と言っているので銃剣が右腕をかすめたのは結果であって、受動的にせよ殺意はあった事になります。(それとは関係なく捕虜が死ぬ事も複雑にしています)
この様に戦時中の陸軍の軍規に沿った出来事を戦後の戦争裁判(これ自体の賛否は省略します)で裁く事には無理が生じますが、それによって齎される軍国主義との決別と民主主義の到来を望んでいたのは、豊松の様な貧しい庶民であった筈です。
しかし、民主主義の基本的人権と法の下の平等を享受するには個人の行動に対する責任という代償が必要になります。
作中ではほぼ冤罪とも取れる罪に死刑という極端な表現をしていますが、製作者は、軍隊というヒエラルキーの中でさえ「責任」を有耶無耶にした日本人に戦勝国による戦争裁判で一様のけじめは着けられた様に見えるが、自らが総括もしないで今日に至っている私達に、出生や環境、個人の能力に関係なく与えられる人権や平等に対する個人の行動の責任の重さを理解しているのか、と問いている様に思えました。
人が社会の中で牛や馬ではなく人として生きるには人権が必要です。
人権を含む民主主義を主張する事は、個人としての行動の責任が伴います。
しかし、責任を負わずに生きる方法は有ります。
社会システムの外で生きるという事です。
深い海の底で誰にも干渉されず誰も干渉せずに、貝のように生きるということです。
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