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レクイエム(2009) - θさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 レクイエム(2009)
レビュワー θさん
点数 9点
投稿日時 2011-03-26 00:38:04
変更日時 2011-03-26 00:38:04
レビュー内容
これは掘り出し物。「復讐」と「赦し」という難しい問題を、決してありがちな美談としてまとめるのでも、サスペンタフルな復讐劇としてまとめるのでもなく、人間の深いところをきちんと描こうとしている。

■兄を目の前で殺されたジョー。彼はずっと母親から「あなたは止められたはずなのに」と責められ続けてきた。一方、若気の至りで殺人を犯したアリスターも、見ていたジョーを忘れることが出来ず、罪に苛まれてきた。

■TVっぽい和解劇は失敗に終わり、ジョーは復讐の方向へと動く。アリスターも殺されるであろうことは理解していた上で出向く。結局は格闘の末にある種の「怒り」はどこかに消え、ジョーは娘たちのために生きることで過去への「終わり」を告げる。

■結局ジョーは「赦した」のではなく、ただ「終わった」つまり過ぎ去ったものとして忘れ去ることにしたというのは、いろいろと示唆的だし同時に現実的な気がした。人はいつまでも過去に生きることは出来ない。過去に縛られるのは現在に意味を見いだせていないからだ。ジョーは「現在」として「娘たち」を見出し、過去と決別する。過去は「忘れ去る(乗り越える)」ことによってしか克服できない、そのためには「今」を生きるしかない、そう言っているように思う。
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