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タイトル名 |
くちびるに歌を |
レビュワー |
ユーカラさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2015-03-10 23:14:53 |
変更日時 |
2015-03-11 17:08:18 |
レビュー内容 |
同監督の『僕らがいた 前編』を、ロケも方言もまるで活かせていないと かつては酷評したが、この変貌ぶりは何だろう。
恒松祐里が自転車で教会までの坂道を駆け下りていく冒頭のモンタージュの爽快さ。 学校の屋上や、緑の美しい小高い丘から碧い入り江を望む 『サウンド・オブ・ミュージック』的壮観がよく映える。
標準語で通していた新垣結衣が、本番直前に発する「あんたは一人じゃなか。」の 真情こもる響きは、やはりお国言葉でなければならないだろう。
樹々や髪を揺らす風、汽笛の響きの反復はモチーフとして勿論だが、 冒頭でフェリーのベンチに 寝そべる新垣の後ろ姿を捉えた水平移動は終盤の出航シーンで対照され、 風の渡る踊り場で見上げる男子の窃視は、見下ろす女子の窃視によって昇華される。
序盤の新入部員勧誘で歌われた「マイバラード」もまた、 二段構えのクライマックスとして会場ロビーの反響の中で反復されるのだが、 その歌声に囲まれる渡辺大知の喜びの表情が何より素晴らしい。
基本的なことだが、 本番時のピアノ演奏で新垣自身の運指をショットとして見せているのも良し。
教会の窓辺の石田ひかり、台所の木村多江ら母親の像を包む外光の演出も さりげなくいい。
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