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タイトル名 |
LION/ライオン 〜25年目のただいま〜 |
レビュワー |
⑨さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2017-10-31 20:57:10 |
変更日時 |
2017-10-31 20:57:10 |
レビュー内容 |
この作品のあらすじを知った時に以前何かのテレビ番組でこの話が紹介されていたことに気づいた。驚くべき話で感動したのだがオチまで全部知ったうえでの鑑賞なので少し不安だったがきっちり感動させられた。
誰でも一度は迷子になったことがあると思うがサルーのそれはそういう体験の比ではない。もう事件なのだがそれを伝える力も持ち合わせず、そしてそれに気づく人もいないという絶望。しかし路上生活となり薄汚れて頭がボサボサになっても少年の目はとても綺麗に見えた。エンドクレジットに少年の時の写真が出るが実際の本人も大きな目でとても賢そうな顔をしている。引き取った夫婦もそれに惹かれたのかも知れない。子役の演技もとても良かったが、前半に兄とのやり取りや迷子になってからのことを丹念に描いたことがラストの感動にも繋がっていると感じた。
一人になったことで皮肉なことだが何不自由ない暮らしが訪れる。もちろん望んだことではない。暖かく優しい親にも恵まれた彼を幸運だと心の片隅で思ってしまうのはやはり自分が傍観者だからだ。あの時食べられなかった焼き菓子を見た瞬間に物語は再び動き始める。
育ての母が彼を引き取った理由を語るところは少々驚いた。そういう考え方もあるのかと。共感は出来なかったがサルーはそれに救われたのだ。
もう少し短くできる作品とも思えたがラストは実話、しかもごく最近の話だということがリアルな感動を呼ぶ。兄があの夜亡くなっていたことの衝撃。「焼き菓子を買ってきて。2000個だよ。」あのやり取りが最後だったのだ。しかし、彼が生きて目にする風景の中にこれからも兄の姿はあるのだろう。この映画でもそうだったように。 |
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