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首(1968) - Yuki2Invyさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 首(1968)
レビュワー Yuki2Invyさん
点数 6点
投稿日時 2023-12-24 22:41:56
変更日時 2023-12-25 10:10:41
レビュー内容
戦中の所謂「首なし事件」で、権力の横暴と闘った弁護士・正木ひろし氏を描く社会派サスペンス。正木氏を(実名のままに)演じるのは名優・小林桂樹。事件の内容としては戦時下、取調べ中の警官の暴行により被疑者が殺されたが、隠蔽工作によって死因は脳溢血と偽装されてしまい、それを覆すために証拠の「首」を…という話である。実際、外傷と脳溢血では明らかに解剖所見が異なるだろうから、本件の裁判は(裁判自体は終戦を挟んで長期に渡ったが)最終的に正木氏の勝利に終わっている、が今作はそのポイントとなった「首の確保」にフォーカスすることで、ごく重厚なサスペンスとして娯楽映画的にも十分にスリリングに観てゆける作品に仕上がっていると思う。

逆に、娯楽映画として観るならば(ポイントをその首の確保に絞っているから)随所で暗躍する悪役がその後どうなったか、或いは主人公側に居る準主役・南風洋子がその後どうなったのか、等は描かれず、結果的にカタルシスとしてはやや弱いのが少しダケ玉に瑕かも知れない。しかし、肝心な正木氏を演じる小林桂樹の演技自体は鬼気迫る超・迫力を備えていてその見応えダケにでも十二分に観る価値が在るだろうし、そして取り扱う題材の観点からも当然の如くに価値在る作品だと思う。興味のある方は是非。

※長年ソフト化されなかったとのコトだが、急に今般DVDが出たのは件の『首(北野監督作)』の影響なのですかね…尤も、正木氏は後に名誉毀損で告訴されてその裁判中に亡くなっており、だから実名で登場する今作に関してはソフト化にも少し時間を要した…というコトかも知れません。
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