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ルームメイト(1992) - ゆきさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ルームメイト(1992)
レビュワー ゆきさん
点数 6点
投稿日時 2016-04-17 20:24:39
変更日時 2018-04-05 06:12:56
レビュー内容
 思っていた以上にレズビアン的要素が強い内容で、驚かされました。
 同性愛とは「自分と違う存在」を愛せないがゆえの、自己愛の延長なのだという説を思い出しますね。

 確か中学生くらいの頃、クラスメイトの女子が髪型を変える際に「同じにしても良い?」と友達に訊いたり、筆箱を買う時に「同じの買っても良い?」と確認を取ったりしている場面に遭遇して(女子って変な事するなぁ、特許がある訳でもないんだから、勝手に髪切って勝手に買えば良いのに)なんて思っていたものですが、この映画を観た後では、とてもそんな呑気な考えは浮かんでこなくなります。
 それくらい「ルームメイトが同じ髪型になる」シーンには、精神的にゾクリと来るものがありました。

 ジェニファー・ジェイソン・リー演じるヘディに関しては、とことん病んだ女性なのですが、恐怖だけでなく同情も感じさせる辺りが、女優さんの上手さなのでしょうね。
 ブリジット・フォンダ演じる主人公のアリーに対し、歪んだ形ではあるけれど、確かに愛情を抱いているのが伝わってきました。
 相手を縛り付けておきながら、退屈はしないようにとテレビを付けて、リモコンも手元に置いてあげるという彼女なりの優しさ。
 それが仇となって計画を狂わせてしまうのが、何とも皮肉です。

 愛する相手を殺してしまったと悲しみ、別れのキスを交わすシーンも印象深かったのですが、個人的に感心させられたのが、その後のヘディの行動。
 「死体」となったアニーを運ぶ姿には、先程までの悲しみなど全く窺えず、後始末しなければいけない腹立たしさゆえ、忌々しそうに死体を引きずっているように見えたのですよね。
 一応、上着で顔を隠すという配慮(?)もありましたが、その後に実はアニーが生きていたと分かった際にも、喜びではなく混乱をきたしている辺りに、異常性が窺えます。
 彼女なりの愛情は存在したのだろうけど、それは決して真っ当な形ではないし、報われるようなものではないのだな、と自然と納得させられるものがありました。

 その後の主人公アニーの逆転劇に関しては、本来は盛り上がるところなのでしょうが……少々アクロバティック過ぎて、違和感を抱いてしまいましたね。
 アクション的な見栄えの良さを重視したのかも知れませんが、別にヘディの腕っぷしが強い訳でもないはずですし、もう少し大人しめの演出でも良かったのではないかな、と思えます。
 クライマックスと呼べる部分であるだけに、そこで映画の世界から現実に引き戻される気がしたのは、とても残念。

 ラストシーン、たった一人で部屋の中に佇むアニーの姿からは、彼氏のサムだけでなく「友達」のヘディを失ってしまったという悲しみも感じられました。
 双子の姉が死んでしまったトラウマゆえに「生きている自分が許せなかった」というヘディに対し、アニーは「死んでしまった彼女を許す」という形になっているのも興味深い。
 そしてヘディと同じ道を辿らぬよう「生きている自分も許そうと思う」というアニーの独白で、物語が終わる。

 綺麗に纏まった映画です。
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