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浮雲(1955) - no oneさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 浮雲(1955)
レビュワー no oneさん
点数 8点
投稿日時 2006-02-09 03:46:59
変更日時 2006-03-09 02:58:08
レビュー内容
最近読んだ小説に、「恋をする女性は現実の男を見つめているとは限らなくて、もっと遠くにあるよくわからないもの、途方もなく美しい極みたいなものに焦がれていることがある」という意味の一節があった。たぶんこの映画のゆき子がそうだったんじゃないかと思う。 

敗戦後の何もかもが色を失った苦しい時代に、南国で過ごしたひたすらに幸福な時の記憶を抱きしめて生きる。親類に性的な虐待を受けていたゆき子のなかでは、暗い思い出のある日本を遠く離れて過ごした日々が、本当に美しく輝いていたのだろう。しかしゆき子を待っていたのは、日本の敗戦と貧困、愛した男のみすぼらしい本性。 

本当はここで足を踏ん張って、前に進む道を選ばなければいけなかった。甘い時代の残像を追いかけて生きるべきじゃなかったのだ。しかし未来を見なかったがために、ゆき子は地に足の着かないまま、ふわふわと漂流するような人生を送ることになってしまう。 

娼婦のまねごとをして、インチキ宗教家の親類に生活を頼ったかと思うと、大金を盗んで逃げる。堅実な職業に就いたり家庭を作って定住したりはしない。だけど人間は本来、安住の地を求める生き物だ。どこか特定の場所にしっかり根を張って、しっかりした人間関係を築くことで、自分が帰ってくる居場所を作りたがる生き物だと思う。放浪生活を送る人間ほど、繋がることへの渇望を抱いている。ゆき子のそれはあまりにも強く、それゆえに却って現実を見失ってしまう。 

劇中では殺人事件なども起きており、後になって考えるとかなり劇的な物語なのだが、観賞中はそれほど違和感を覚えないで普通に流していた。それほど自然で説得力のある演出だったのだ。しかもとにかく観る者を引き込むのが上手い! 暗い内容にもかかわらず、前のめりで鑑賞してしまった。これほど強烈かつリアルな人間ドラマはなかなかない。成瀬巳喜男の比類ない才能を思い知った。
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