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ディープ・ブルー(1999) - ゆきさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ディープ・ブルー(1999)
レビュワー ゆきさん
点数 7点
投稿日時 2017-08-18 06:41:39
変更日時 2017-08-18 06:41:39
レビュー内容
 以前観た時は何の疑いも無く、トーマス・ジェーン演じるカーターが主人公だと思っていたし、特に奇抜な内容だったという印象も残っていなかったのですが、改めて観賞してみると、色々と遊び心満載の映画でしたね。

 まず、序盤は明らかに、サミュエル・L・ジャクソン演じるラッセルを主人公として扱っています。
 俳優さんがビッグネームであるというだけに留まらず「海に浮かぶアルカトラズ」な研究施設に彼が訪れ、色々と説明してもらったり、人物を紹介してもらったりするという流れですからね。
 観客の目線とラッセルの目線とが、自然に重なり合い、彼に感情移入してしまう形。
 だから、中盤にて彼が食い殺されるシーンはショッキングだし(こりゃあ誰が生き残るか分からないぞ……)と思わせる効果もあるしで、非常に計算された構成であったと思います。

 それも、ただ「予想を裏切る」「お約束の展開とは逆にする」という天邪鬼な作りというだけじゃなくて、ちゃんと観客が納得して、受け入れられるように作ってあるのが凄いですね。
 上述のラッセル死亡シーンにおいても、事前に「水際は危険だ」と警告させているので、不意打ちの衝撃はあっても(こりゃあ反則だよ)という不快感には繋がらない。
 カーターの存在にしたって、ルックスや性格を考えれば彼が一番主人公に相応しいし、何より劇中でもラッセルより先に登場しているので「実は彼こそが主人公だった」と後半に判明しても、自然と納得出来ちゃう訳です。

 それは「一緒にビールを飲む」という生存フラグを立てつつ死んじゃったヒロインも然り。
 「遺言ビデオを撮影する」という死亡フラグを立てつつ生き残った黒人コックも然り、ですね。
 前者には「嫌な女だ」と思わせるような場面があったし、そもそも彼女が事態の元凶だったりする訳だから、死んでもそこまで衝撃は受けないし、逆に黒人コックは観客に「こいつは良い奴だ。生き残って欲しいな」と思わせる描写が色々あったからこそ、生存を素直に喜べるという形。
 
 今の自分のように、伏線だの何だのアレコレ考えながら観て(おっ、このナンバープレートは「JAWS/ジョーズ」のパロディだな)とニヤリとしちゃうような映画オタクでも、昔の自分のように(男前さんだから、きっとこの人が主人公だろう)と直感的に考えるような初心な人であっても、等しく楽しめるように作られているのだから、これは凄い事だと思います。
 ちゃんと中盤に爆発シーンという山場を用意しているし、サメが人を食い殺すシーンも間隔を開け過ぎず、それぞれ工夫して演出しているしで、シンプルな娯楽映画としてもレベルが高い。

 敵となるサメが求めていたものが「自由」だったと判明するシーンも、情感が込められていて、良かったですね。
 お約束の爆発と共にラスボスを倒した後「サメは本当に三匹だけか?」と、わざわざ確認して「生き残りに襲われるエンド」の可能性を摘み取ってくれる辺りなんかも、実に心憎い。

 昔観た時とは、受ける印象が全く違ったけれど、それでも面白かったという本作品。
 「期待外れ」でも「期待通り」でもない、不思議な満足感を味わう事が出来ました。
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