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タイトル名 |
宮本武蔵 般若坂の決斗 |
レビュワー |
なんのかんのさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2013-06-18 09:40:04 |
変更日時 |
2013-06-18 09:40:04 |
レビュー内容 |
城から出た武蔵は別人のようになっていたが、城の殿様は完全に別人になっていた(歌舞伎役者から新劇俳優に)。東映社内ではおつうも別人にしたら、という意見もあっただろうが、主要キャストは簡単には別人に出来ないのだった…。さて。ラストの般若坂より、宝蔵院での山本麟一との対決のほうが講談的な楽しさがある。まず呼ばれた剣客が小手調べを丹念にこなして臨み、にらみ合った後あっさり倒されてしまうリズム。音楽がないのもいい。そして武蔵が対戦し、麟一の阿巌がブルンブルン槍を振り回すのも大袈裟で嬉しい。その前の農作業していた月形龍之介の脇をハッと跳ぶ武蔵、現在では笑いと紙一重だが、講談的な愉しみだ。そういった語り物の味わいに満ちた一篇。おつうや又八などは、お荷物になってしまった。江戸時代に入ったとは言え、文化的背景はまだまだ中世で、時代考証の正確さは知らないが、襖の図案などは安土桃山ぶり、宿ったのが奈良の能楽師の家というのもあろうけれど、武蔵の物語にふさわしい。洗練された前時代の文化の中に、無骨な失業武士たちが溢れ、ラストでは散乱する死骸になる。まさにそういう転換期の物語なのだ。 |
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