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誰も知らない(2004) - 紅蓮天国さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 誰も知らない(2004)
レビュワー 紅蓮天国さん
点数 9点
投稿日時 2004-09-02 23:13:16
変更日時 2004-09-03 05:11:41
レビュー内容
幼い頃、母親の帰りが遅い夜、このまま帰ってこないのではないかと不安に襲われることがあった。根拠もないし、ただの幼い杞憂である。けれどその不安はいつもつきまとい、それはひどく恐ろしかった。  

物が溢れ、全てが揃っているような都会、しかしその都会のなんと生きにくいこと。部屋から出なければアパートの隣室に誰が住んでいるかも分からない世界。職も得られず、水も電気も断たれ、しかしそれでも懸命に生きていくきょうだいの強さに胸が熱くなる。だが、人が決して一人で生きられないのも事実。どんな形であれ手を差し伸ばしてくれる人がいるからこそ、初めて迎えることが出来る明日である。  

人は果てしなく強く、そして儚いほど弱い。人間の強さと弱さが、淡々と綴られる映像を通して交互に浮き彫りになり、この胸を強く締め付ける。息苦しいほどに静かな映画館で、子供たちの動作ひとつひとつから目を離せない。流れる音楽がはじめて、これが「映画」なのだと気付かさせてくれる。   

恐らくこの映画を観たほとんどの人がそうするように、自分もモチーフとなった置き去り事件について調べた。その”事実”は映画のそれと、特に後半部分は大きく相違していた。現実と映画とではやはり違いがあるのかもしれない。だが冒頭に記されていた「事実を基にしたフィクション」というから、いや、これが映画であるということだけで、部屋に差し込む温かい光が、額に輝く汗が、そして子供たちの眩しい笑顔こそが自分にとっての全てである。

劇場を出たところに、子供たちがそれぞれ笑っている大きなポスターが貼ってあった。それを見て、また涙がこぼれそうになる。思い出すのは、「警察に連絡したら」と聞かれた明が言った、「それだと4人で暮らせなくなる」という言葉。自分たちを置き去りにした母親を待ち続ける姿。ただ家族というだけで。そう、ただ家族というだけで。  

感動でもない。同情でもない。怒りでも、哀れみでも、喜びでもない。人間の感情はそれほど単純ではない。だから、自分はこの涙を忘れる気はない。
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