SCAT/くちずさむねこ(2007)

 

アイアンマン(2008年【米】)

オイラのレビューもついに目標の600に達して、今回でうちどめ。

さて、オイラが最初に『アイアンマン』という名前で思い浮かべたのは、マーヴェル版の奴じゃなくて、もっとマニアックな
スチームマン
こんなの↑とか、こんなの↓とかだったんです。
ボイラープレート
…なので予告段階では完全に見る気が失せてました(苦笑)。

ところがこの映画、公開直後からえらく評判がよくて後から悔しがることしきり。
とにかく主人公の顔(というかヒゲ)がオラクル社のプレイボーイカリスマ社長ラリー・エリソン(↓)そっくりなのが巧いツボを突いてて、アメリカの劇場では苦笑いの嵐だったんだろうナと思います。
リアル世界のトニー・スターク
この映画、言ってみればアレですよ。大地康夫をソフトバンクの孫社長ソックリに役作りさせて変身ヒーロー特撮やっちゃったような映画ですってば(追記:改心したホリエモン/俳優・香取慎吾が活躍するなら、東映特撮でやってもいいかも)。
全てはあのオチへ持っていくための人物造形だと思いますから、一発ネタ・全体構成としてはかな~りクリティカルヒットでした。

物語的には、冒頭のリアルさ具合(特に女性兵士の扱い)で「今までのマーヴェルより現実路線で行くっすよ~ん」とアピールしてくれたおかげで、他のアメコミものと変わらないグダグダ展開にちゃんと芯が見えました。戦争の善悪の扱いなんかはソープオペラの恋愛と同じで、この物語だけの架空の悲惨さなんだけど、少なくともそれは「今」の時点にまでアップトゥデートされて、その結果、「悪は個人から発する」という往年のアメコミ観から少し離れた場所でヒーローを描く事ができていると思います。確かに悪の根源はひとりひとりの人間の内にあるかもしれないが、戦争まで行っちゃったらそんなの語るのは無意味。世界中の人間が、ここ数年でそれに気付いたはず。
結局アイアンマンがやった事というのは「敵を倒す」ことじゃなく「敵の武装解除」なわけで、このあたりは現在のアメコミヒーローとして本当に巧い落とし所だと思いました。

描写の大半が敵との戦いや確執ではなく、実にストレートにアイアンマン開発の過程に注がれている点。無駄に宿った工科魂がとことん追求されているのは…まあ観客のターゲットを年齢高めに絞ったんだから、巧い選択なんだけど…微妙かなあ。初号機の活躍なんかは、事前にあの開発過程が描かれるから燃えるんですがね。でもあれをやっちゃうと、今後続編が作りづらくなるだろうなあ…。(追記参照)

点数は、直情的にまっすぐアフガンまで飛んでいったシーンで不覚にも涙を流してしまったので、1点上乗せで。スーパーマンにもアレをやって欲しかったわぁ。

●2010/5/22 追記:
Youtube で続編の予告を見る。
今度はミッキー・ロークがトンテンカンテンやってるよ! 爆笑もんでした!
前回のオチも丁寧に拾って、うまく繋げてるようですな。
猛烈に観たいなあ…はァ…。
評価:8点
鑑賞環境:インターネット(字幕)
2009-07-28 15:01:50 | 実写作品 | コメント(0) | トラックバック(0)