5.《ネタバレ》 ポン・ジュノ監督ですから一筋縄所ではなかったですね。
冒頭から陰鬱なイヤ~な雰囲気が充満していて、『ポン・ジュノ映画を観ているな』と実感がすぐ湧きました。
母親が歩くシーン、息子が立っているシーン、さりげないシーン一つ取っても独特の空気感が醸し出されて魅了されます。
息子の無実を晴らすために執念の独自捜査を続ける姿は、凄まじい迫力。
後半になればなるほど、母親の顔はもはやホラーの域に達し恐い・・
歯止めの効かない暴走装置と化したよう・・。
そして、事件の結末を過ぎた後、あのラストシーンの夕焼けの光で照らされる
狂気ともいえる母親のダンスは救いの無い迷宮に入り込んだやりきれなさが残り、
ズシーンと重くのしかかります・・エンディングクレジットが流れる間、色々頭の中でシーンが巡ってきて混沌とした気持ちになりますが、それすらも心地よさも感じる余韻でした。『疲れたけど・・もう一度、観たい』という結論になります。
もちろんサスペンス映画としても見応えは十分でそちらの方向でも面白く見ました。
どこかの国の映画みたいに的外れな美談でまとめず、容赦なく人間の膿をえぐり出したような、映画に全面的に支持したくなります。