1.試写会で幸運にも見ることが出来ました。だって、あと何回でも見たい! と思わせてくれる素晴らしい映画でしたから。
とにかく、ここには《愛》というものが人にもたらすものの、ほとんどすべてがある。それは「喜び」であり、「慰安」であり、「優しさ」であり、時には「苦痛」や「絶望」であり…。ドストエフスキーは愛を失った心を「地獄」と言ったけれど、いくつもの《愛》が交叉する、一見すると他愛ないこのロマンチック・コメディは、その実そんな「地獄」を直視することで成立しているのだと思う。そう、きっと誰もが一度は愛に惑い、見失うことの絶望を、「地獄」を知っている。だからこそ、それが一方でどんなに苦悩やせつなさをもたらそうとも、人は愛さずにはいられないのだ…と。
個人的には、リーアム・ニーソンの父親と息子のエピソードが最も好ましかった。いや、誰もがこの「小さな恋の行方」を、それこそ愛さずにはいられない、と断言しておきましょう。もちろん、その他の様々な《愛》のカタチの、そのどれをとっても、人生のささやかな“現実”と“真実”がしっかりと盛り込まれている。
それをここまで軽やかでスウィートな「コメディ」に仕立て上げたリチャード・カーティスの脚本・監督に、今は最大限の賛辞を贈ろう。そしてこう言いたいと思う。
「…この映画のおかげで、今少し人間を、世界を、信じていけるような気がする。ありがとう」と。