1.事前に「ウォール街」の復習も済ませ(これをやらない方がよかったかな?)かなり期待していたのですが残念ながら「ウォール街」と比較すると人間ドラマとしてはかなり落ちるし、続編の難しさを感じたというのが率直な感想です。
まずはゴードン・ゲッコー。前作のキャラクターは影を潜め、年をとって疎遠になってしまっている娘と和解したいくて孫の誕生が楽しみな、落ち着いた人間味のあるキャラクターになっていました。前作から20年以上経っているのでこれはこれでいいのですが、金融マンとしてのゲッコーの登場場面が少なく、観る者はウォールストリートの怪物ゴードン・ゲッコーの復活を期待するのではないでしょうか。
主人公の金融マンの若者も、ゼロから成り上がってやるという前作のバドと比較すると既にある程度成功している男ということもあり、これも前作の方が感情移入しやすく魅力的なキャラクターだったと思います。
この男とゲッコーの娘のドラマも、ゲッコーと娘の和解へのドラマも、成り上がろうとする男が自身の父とゲッコーのはざまで自身の生き様を見つけていくという前作の熱い人間ドラマと比較すると深みも面白味も感じられませんでした。今回の悪役で非情なウォール街の支配者を演じるのはジョシュ・ブローリンですが、そのふてぶてしい面構えはなかなかのハマリ方でした。
オリバー・ストーンとしては自身の成功した作品の続編であり、前作と同じようなドラマ、世界観では駄目だという思いもあったのでしょうが、観る者の期待感と作者の思いと、成功した続編の難しさを感じます。