1.《ネタバレ》 視線を案内・誘導するフォーカスではなく、虚実のドラマの演出に沿ったファジーさを残し、空間を獲得するフォーカスは意図的なものだろう。
手前で安田顕らが会話する奥で山崎努の黄色いダウンが何やらうごめいている図の面白さは、前景を邪魔しない後景のソフトフォーカスの選択センスによる。
カブを飛ばす安田と背景のスクリーンバックのシュールな味わい。山形の地下道がふと照明が変化した瞬間に異空間に変貌する様。
居酒屋のカウンターでの、安田と麻生久美子が交わす対話と間が絶妙だ。
原作ものだが、如何にも横浜聡子らしい奔放なセンスとユーモアを満喫させてくれる。