1.《ネタバレ》 テロがきっかけで台頭する極右団体。彼らのヘイトクライムに抗うアラブ系過激団体に入った少年の視点で描かれるかと思いきや、少年を騙した潜入捜査官の苦悩がメインだった。そのため、アラブ系過激団体の影が後半から薄くなり、中弛みを感じなくはない。国に馴染んだ移民でありながらテロを防ぐ潜入捜査官という半端な立場な故に、極右団体の危険性を訴えてもデンマーク警察は上の空、むしろ彼らが支持する政権を許してもまあ良いんじゃないという事なかれな空気。これは移民政策に対して保守的なデンマークでさえ、ルールを守れない移民を持て余している現実がある。欧米でも日本でもそう。それ故に潜入捜査官の家族に悲劇が訪れる。もはや失うものがない彼が下した行動にはカタルシスもなくただただ虚しい。暴力以外の解決方法がないあたりに限界を感じる。ミニシアターだけで留まるのは勿体ないし、多くの人に見て欲しいが、閉鎖的な日本では入管法改正による強制送還ラッシュを加速させていくだけだろうな。