101. フィッシュストーリー
「アヒルと鴨のコインロッカー」が面白かったので期待したのだけど、構成がここまでくると、内田ひろし作品も含めて「また、このパターンか…」という印象を受ける。 時代背景が違う群像劇が続くが、それが一つにまとまるラストは観客に想像力を全く与えない。全てを説明だけで片づけてしまうので「ああ、そうだったの」で終わってしまう。 映画というのは描写があって「ああ、そういうことだったのか」と頷かせることに感動があると思う。 本作は個人(原作者?)が勝手に想像しただけのもの。一本くらいなら許せるけど、こんな作品が氾濫したら、また邦画は氷河期に突入すると思う。 パンクレコードの製作に、「人生に無駄はない」というメッセージだけは伝わってきた。 タイトルのセンス、セリフのやりとりも面白かったけど無駄なシーンも多すぎ。 数年後には記憶から抹消されていると思う。 [DVD(邦画)] 4点(2009-12-07 18:21:18) |
102. 接吻 (2006)
《ネタバレ》 以前、小学生8人が犠牲になった死刑囚と獄中結婚した女性の心境がずっと頭から離れなかった。その女性は恐らくクリスチャンかスピリチュアルなものに洗脳された人間だとしか思えなかった。 それに加えて本作のテーマは、秋葉原殺人犯に対する世間からの同情の声も断片にあると思う。 ヒロインはテレビに映った犯人を自分と重ね合わせ、白馬の王子を発見した。 ところが、白馬の王子は自分の考えた通りには動いてくれない。 自分に相談せず弁護士と控訴を決めたことを「裏切り」と判断したヒロインは、愛しの王子に制裁を下す。 仕切りのない部屋のハイライトは突然現実味に欠けてしまったようにもみえるが、台詞、構成、役者も完璧である。 小池栄子はバラエティーなんか辞めて女優業に専念すべき。両刀は絶対駄目。 なぜ弁護士の鞄の中身をチェックしなかったか?なんて考えてはいけない。 本当に完璧な映画なんて存在しないのだから。 でも、弁護士に渡したプレゼントの中身が何だったのか、ほとんどの観客が、ヒロインが鞄から出した時点で分かったと思う。 本作の女性に類似した映画で、ヴィスコンティの「夏の嵐」がある。女性を裏切ると本当に怖い。 [DVD(邦画)] 8点(2009-11-02 06:25:25) |
103. 時をかける少女(2006)
大林監督のバージョンは観たことないのですが、観賞前から偏見が入り、きっとロリコン映画に違いないと思って観たら、それを見事に裏切ってくれました。 少女の人物設定に力を入れたようで、ホントの現代風で親近感が湧きます。 逆に男友達二人は古臭く見えました。なんか「ビーバップ」を感じます。 タイムトラベル映画は何をやっても面白いです。似たような映画で「サマータイムマシンブルース」なんてのもありました。 因みに、シナリオコンクールの応募作品は圧倒的にタイムトラベルものが多いとの事です。 全ての登場人物が主人公のためだけに生きているみたいで納得いかないところもありましたが、不明瞭な点は、きっと「観客の想像におまかせ」ということでしょう。 90分で終わるので楽しく観賞できました。 [DVD(邦画)] 8点(2009-11-02 02:42:40) |
104. 娘道成寺 蛇炎の恋
《ネタバレ》 歌舞伎演目「娘道成寺」に命を掛けた男に恋をしてしまった女性の普遍的な恋物語です。 それ故、牧瀬さんが中村福助さんより踊りのシーンが少なかったのは仕方がないこと。 村上の死を知り、蓮の花の上で、村上に抱かれる遥香のシーンで、個人的には「詩織はホッタラカシかよ」とつっこみを入れたくなりましたが、「私と詩織は一緒」という冒頭の台詞で方付けてしまうところは、どうしても納得がいかない。 …ですが、ラストの牧瀬さんの満面の笑顔は、それだけで何を物語っているのか分かる最高のショットです。 一応、歌舞伎を知らない人でも理解できるように作っています。 でも、特典映像の大雨の道成寺を舞台に踊る中村福助さんは映画以上の迫力を感じました。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-26 19:04:27) |
105. 月とチェリー
読み切りのコミック本って感じです。最初は退屈させない展開で面白いと思いましたが、一時間越えたあたりから、この男のジメジメした心境についていけず、「あ~、だんだんつまんなくなってきたなぁ…」と感じてしまいました。 女が男の書いた小説を「女がわかってない」と投げつけていましたが、本作は、監督が女性のせいか、いかにも女が描く男性像で「逆に男がわかってない」と言いたくなります。 ちょっと無意識に悪い文章が続いてしまいましたが、80分で終わったので、それなりには楽しめました。 [DVD(邦画)] 7点(2009-10-17 07:58:07) |
106. 青い鳥(2008)
《ネタバレ》 以前どっかの雑誌で、ある脚本家が「西部劇をベースにしているようだが、最後まで主人公が銃を抜かないから完全燃焼できていない」と酷評していました。 確かに、この教師の駒の進め方は「シェーン」や「用心棒」と同じですが、このストーリーで一番変わらなければいけない人物は、生徒の園部少年だということを理解しなければいけません。 「いじめ」という、今ではもう使い古されたテーマを被害者が存在しない形で描いていく、ちょっと変わった展開は、作り手としては難しい挑戦ではなかったのでしょうか? 毎朝、机に向かって「おはよう。野口君」と声を掛ける村内先生は、ちょっと嫌味に感じる人がいるかもしれません。教室内が緊張感漂う空気になるのは仕方がないことです。 最後の授業で任意で原稿用紙を取りに行った生徒の人数はとてもリアルだと思います。 私は今までいじめなんかしたことはない。そう思っている人には理解できないでしょう。 園部少年が村内先生に罪の告白をした後、遺書に書かれた三人目が自分でなかったことを知り、更に井上少年とも和解して、全てが終わったと思ったら、最後の授業がコレです。 今更反省文を書かなければいけないのか……彼が戸惑いながらも原稿用紙を取りに行き、自分がズルくて卑怯な人間であると正直に書き綴ったときは涙が止まりませんでした。 私自身、学生時代、今でも腸が煮え繰り返るほど傷つけられた経験がありますが、と同時に私も無意識に誰かを傷つけていて、もしかしたら、私のことをずっと恨んでいる人間がいるかもしれない。そんなことを思わずにいられなくなる作品でした。 テレビで頻繁に宣伝されている「お涙頂戴」的な映画とは一線を画す、価値のある映画です。 [DVD(邦画)] 10点(2009-10-17 07:44:43)(良:1票) |
107. WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース
一般社会人の友達の援助で土日だけで半年間撮影を行い、編集と製作に2年以上掛けたそうです。役者は素人でありながら他の自主製作映画とは比べ物にならないほど上手い人がゴロゴロいます。 この監督は時間軸をずらして、次第に人物像をハッキリ描いていくのが特徴なんですね。 最近、この手のスタイルを真似した作品が目立ち、ウンザリすることもあるのですが、後に作られる「運命じゃない人」「アフタースクール」に通じるところは十分伝わってきます。 音声が聞き取りにくいので、ちょっと疲れた。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-11 00:05:29)(良:1票) |
108. ハヴァ、ナイスデー
酷いなぁ……。タナダユキ目当てで観賞したけど、一番最低なのが彼女の作品でした。1時間でシナリオ考えて、半日で撮影したって感じです。特典映像の舞台挨拶にも出席していなかったのは彼女自身も満足していなかったからではないでしょうか。 本作の企画意図は、ネームバリューのある監督を2,3人餌にして、無名の監督や俳優にチャンスを与えるのが目的のような気がします。 どの作品も映画学校で製作されたようなチープなものばかりで、フシギ系のシナリオが目立ち、正直全然面白くなかったです。 アングラ系の演劇が好きな人はハマるかもしれませんが、私は「映画」というものを探しています。 不快感はないです。っていうか、不快になる前に次の作品に変わります。なので、おまけして+1点。 [DVD(邦画)] 1点(2009-10-08 04:20:32) |
109. 百万円と苦虫女
《ネタバレ》 女性脚本家が書くロードムーヴィーって珍しいんじゃないでしょうか? 翌日は早く起きなきゃいけないのに、夜中に一気に観てしまいました。 私も若いころ、手ぶらで上京して1年間で百万円貯金したことがあります。月収は手取りで18万円、家賃は新宿で2万2千円でした。周りからの援助は一切なし。いや~地獄でした。恋愛や遊びなんて全くありませんでした。ホントに肉体的、精神的に辛かったです。でも、50万円越したあたりから、映画のように何度も貯金通帳を眺めた記憶があります。 私にとって、百万円貯金したことが何に繋がっていったのか、今考えても全く答えが出ませんが、本作を観て、今日から、もう一度百万円貯金して考え直してみようかなと思いました。因みに今、500円貯金はやってますが、小銭では人生は変わりませんね。(笑) でも、百万円貯金させないために、ヒロインから金を借りまくる純情男なんて……そんな奴絶対いね~よ。こういう奴がホントにいたら絶対何か裏がある! ちょっと気持ち悪い野郎だなって思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2009-10-07 19:24:07) |
110. 狂った果実(1956)
津川雅彦さんと長門博之さんはそっくりだなぁと思ったら兄弟なんですね。 本作はドストエフスキーの「白痴」をモチーフにしているとのことですが、北原三枝さんが、あまりにも純粋で綺麗すぎて上品だから、ナスターシャのような裏側に存在する影が全く見えてこないんです。ストーリーがギクシャクしている点がそこにあると思うんです。 でも、まあいいか。 北原三枝さんは顔も小さくて脚も綺麗で最高の美人女優だと思います。 これだけ美人で演技力のある女優さんが今存在するでしょうか? 残念ですが、石原裕次郎さんはデビュー作とはいえ、ダイコン演技です。「ハハハ。チェ。チクショーめ」……(ガックリ) [DVD(邦画)] 5点(2009-09-24 09:08:12) |
111. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 夜中に目覚めてから眠れなくて、その時テレビ放送されていたものを観賞しました。 誰が主人公なんだ? っていうか、これは真珠湾攻撃を含む、そこまでの過程を描いた映画なんですね。 日本では高評価だったのに対して、アメリカでは不振だったのは、互いに、この映画の本質を理解していたのか疑問に感じます。 アメリカ人は本当に、敵を倒して「偉大なるアメリカ」を固辞するのが好きなんですね。肉ばかり食べてる野性的な表れでしょう。 どうしても私はアメリカ人とは友達になれません。 エンディングの山本五十六のセリフと燃え盛るパールハーバーの描写は、この時点で、どちらに未来と栄光を感じさせるのか理解すべきです。 教訓として「曖昧な返事をする奴、楽観的な奴は信用が出来ない」そんなことを学びました。 [地上波(字幕)] 6点(2009-09-12 23:39:25) |
112. 俺たちに明日はないッス
時代のテロップが出ないのですが、「17才」が流れているから、舞台は昭和でしょうね。あの時代は「ビーバップ」とか「パンツの穴」とか本作のような映画が流行ってました。 でも、同じような映画を観る度に、この世代の子供たち全てがセックスのことしか考えていないみたいなことを普遍的テーマのように描くのは間違っていると思うんです。 ネットが普及した現在、今の高校生が本作に興味を抱くとも思えません。 本作を例えて言うならば、夜の歌舞伎町を歩いていて、たまに酔っ払ったヤンキーが殴りあっているのを見かけたりします。ちょっと興味があるから立ち止まって見物します。どっちが勝つかなんてヤジ馬の私達は興味はありません。そして一言、「馬鹿だね~」と言って立ち去ります。 この映画のテーマは、その程度のものにしか見えません。 役者はそのへんにいそうな子を選んだみたいで、リアルなセリフも面白かったので、75分間は退屈しませんでしたが、正直何も残らない映画でした。 この監督が好きなので残念でなりません。 [DVD(邦画)] 4点(2009-09-10 23:15:16) |
113. ガチ☆ボーイ
《ネタバレ》 この監督の前作「タイヨウのうた」がよかったので、今回も期待しました。この監督の作品は良くも悪くも、映画の教科書通りの作りで安心できるんです。ピッタリ開始1時間で、ハイライトのドロップキックの布石を投げかけたりと、構成は「タイヨウのうた」と全く同じです。 でも、笑いのセンスだけは教科書に書いてないんでしょう。 冒頭から1時間、全く笑えないギャグのオンパレードは、私には拷問のように感じました。それが後半から、企画そのものが変わったかのように感動もの(?)になるんです。 最後のドロップキックは80年代に大ヒットした「ベストキッド」そのまんま。負けた選手への大喝采は「ロッキー」そのまんま。 ジャンルを問わず沢山観続けてきた大人の私には退屈極まりない映画でしたが、正直、昔の映画を知らない高校生以下の客を対象にしているのだと思います。 [DVD(邦画)] 4点(2009-09-07 18:48:03) |
114. 私は貝になりたい(2008)
《ネタバレ》 観賞後に、このサイトの評価が低いのを知って意外に思いました。 よかったんじゃないですか? 邦画で2時間を超えるのに、これほどアッと言う間に終わったのも久しぶりです。 スマップの出演している映画を批判するレビューをよく見かけますが、彼らは、それなりに場数をこなしているせいか、私的に今回の中井君は、とても感情移入できました。 でも、草なぎ君と共演させるのはNGだと思います。普段バラエティーやってるのに、ここで絡ませちゃ駄目でしょう? 急に現実に戻されてしまいました。 「この二人、きっと撮影の合間は、笑いながら豪華な弁当とか食ってるんだろうな」なんて思ってしまいました。一人は酒飲んで公園で全裸になっちゃってるし…。こんな心境になってしまったのは私だけでしょうか? ところで、私が子供の頃、懐かしの映像番組とか言って、オリジナルのラストシーンだけ観たことがあるんです。主人公は最後に例のセリフを言いながら階段を上がっていくところでエンドマークなのですが、そのシーンが、あまりにも衝撃的で今でも忘れることができません。あれはテレビドラマだったと思いますが、観れるチャンスはないものかと、今でもオリジナルを探し続けています。 [DVD(邦画)] 8点(2009-09-03 09:19:27)(笑:1票) |
115. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 「脚本重視で評価している」というレビュアーがいらっしゃって、騙されたと思って借りてみたんです。 このタイトルじゃ、またいつもの「クソ煮込みうどん映画」ではないかと不安も感じたのですが、その不安を見事に裏切ってくれた良作です。 小道具や伏線、留守電にボーリング場の音が聞こえただけで現場を特定してしまうところなど、仙台という地域を上手く使ってあると思います。 時間軸をずらす手法は散々使われてきていますが、本作が他の作品と違うところは、時間軸を変える度に主人公、つまり感情移入する人間を変えていくところにあるのです。 1時間50分でキレイに収めた編集は私にとって、ちょうどいい長さです。 これ以上長くなるとダレる。 時代が今だからこそ、こういう結末がOKなのでしょう。 理不尽な犯罪が多い中、それを悲しんでいる人たちも多く存在することを表現してくれた素晴らしい映画です。 内田けんじ監督のテイストが感じられますが、他のレビューを読むと原作が素晴らしいようですね。 今度読んでみます。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-29 16:34:29) |
116. シンプル・プラン
《ネタバレ》 墜落した飛行機に残されていた大金をネコババしようとしたばかりに、次々と災難が降りかかってくる。 観賞し終わって、冒頭一番まともな主人公が一番殺人を犯しているところに、皮肉な運命を感じてしまう。 私は以前、傷害事件に会って、和解金として100万円を目の前に置かれたことがありました。 金なんかで絶対に許さないと心に誓っていた自分ですが、目の前の現金を見た時、無意識に顔がほころんでしまった記憶があります。 「欲」というのは潜在的なものも含まれていて、「罪の意識」を免れようとする気持ちも、現状に立たされないと自分がどういう行動に出るか断言できないのが、私の結論です。交通事故のニュースで「ひき逃げをして、怖くなって逃げた」という供述をよく耳にしますが、なんとなくわかります。 因みにDVDの裏ジャケには、「原作をスティーブン・キングが絶賛!」と書かれていましたが、映画の内容もキング色が見え隠れした仕上がりになっています。 退屈させない娯楽映画です。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-27 07:35:33) |
117. みんなのいえ
《ネタバレ》 「ラヂオの時間」を観て期待しすぎたせいか、最後まで全く笑うことなくエンドロールが流れてしまった。 唐沢と田中邦衛の二人に違和感はなかったが、他の役者、否、タレント陣、とくにスポンサーが放送局だからといって、チャラチャラした局アナを使うなんて、本気で映画を作っているのかと怒りが浸透してくる。 俳優業に命を掛けている人たちに失礼だと思わないのか?! チョコチョコ、「友情」とか「特別」とかいって、タレントが出てくるのも不愉快極まりない。 これは、まだ三谷監督にそれを規制する力がなかったせいなのか……。 テレビ局が一押しで宣伝する映画って本当に嫌いだ。 映画は広告じゃない!! 映画を馬鹿にするな!!!!! [DVD(邦画)] 2点(2009-08-25 15:12:38) |
118. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 監督が山田さんではない本作は、やはり説得力に欠けている印象が残る。 断言できるのは冒頭からラストまでの伏線が一つもないことだ。 副題通り「フーテンの寅」の物語ではあるが、さくらさんの出番はほとんどないし(スケジュールの関係か?)、マドンナの役割も「恋」という段階までは決して運ばれていない。 しかし、この時期の作品は、まさかシリーズとして40作以上も続くとは到底考えられなかったのだろう。 今では放送に引っかかる「馬鹿」という言葉が頻繁に使われている。 現在のメディアと違い、規制緩和の緩い時代の中で自由に模索されて作られた作品の一つであることは間違いはない。 [DVD(邦画)] 6点(2009-08-24 05:48:10) |
119. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
《ネタバレ》 浅丘ルリ子出演の第4弾。そして「男はつらいよ」最終作。 最後の作品として最高かもしれないが、これ以上のものを作れと言われて作れる訳がない。全作品と比べるのは間違いである。 そもそも「寅さん」と現実社会問題の接点は全くなかった中で、「阪神大震災」の映像は、寅さんがリアルワールドに入ってきた最初で最後の作品ではないだろうか? 後藤久美子は寅さん映画のマドンナ役で最多出演と言われているが、寅さんの恋愛対象として演じたわけではないので、マドンナ役とは呼べないと思う。 私は吉岡秀隆が登場した頃から、「男はつらいよ」には興味を持てなくなった。 今回、浅丘ルリ子演じる「リリー」の4作品を連続して鑑賞したが、渥美さんは本当に若い! 皮肉にも、賠償さんをはじめ、トラ屋の人たちの老け込み様が際立って見えた。 手紙を読むことでストーリーを転がしているので、寅さんもリリーさんも凄く遠い存在に感じた。 歳を取ると恋愛は出来ないのだろうか? 渥美さんの体調が悪いのが原因だというのはわかってはいるが、満男のラブストーリーが主軸になるほど、年寄りは隅で生きなさいと言われているように思ってしまう。 しかし、この作品は最後の最後で感動的なラストを迎える。 それは他の作品を複数鑑賞した者だけが得られる感動なのだ。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-23 14:43:52) |
120. 東海道四谷怪談
以前、どっかの映画評論家が「数ある『四谷怪談』の映画の中で最高傑作がこれ!」と言ってたのを覚えています。 主人公は、お岩ではなく、伊右衛門だということを忘れてはいけません。 伊右衛門に降りかかってくる数々の煩悩の誘い。私たちにも伊右衛門のような後ろめたい気持ちがあるからこそ感情移入できるのです。 低予算映画という感想がありましたが、脚本、セット、カメラワークなど、大量生産時代に作られた中では、かなり「力」入れて作ってあると思いますよ。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-23 14:24:59) |