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Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 893
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  人類遺産
アマゾンプライムで配信されていたので視聴。  音楽もナレーションも説明の字幕もなく、果ては人間すら登場しない。 固定カメラでかつての人の営みがあり、やがて廃れていった建造物を切り取る。 置き去りにされ、朽ちていく建造物はあまりにも寂しげであり、かつ詩的で退廃的な美しさを醸し出す。 音楽の代わりに雨の音、風の音、波の音、動物の鳴き声が音響の要として大きく際立つ。  伝えたいメッセージがあるわけでもない。 ただ、そこに何があったのか想像をかきたてる。 原発事故で時が止まったままの福島の帰還困難区域もそう。  確実に眠気に誘われる映画かもしれないが、 映画を見る体力も残ってないときでも気軽に見れる映画でもある。 そのまま彷徨い、力尽きるまでフレームの中で旅してみたい。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-11-28 23:00:48)
2.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
ヒトラーとナチス・ドイツを絶対悪として描かず、崩壊までを事実に沿って淡々と描き出した姿勢を評価。 冒頭の温厚な紳士のヒトラー、敗戦濃厚でひたすら憔悴し滑稽にも見えるヒトラー、 そこにはモンスターではなく、どこにでもいる人間だからこその恐ろしさ、狡猾さ、弱さを秘めている。 如何に残虐非道な戦争犯罪を起こしても、負けてしまえば悲惨な運命を辿り、禍根を残すことはどの国でも同じ。 アイデンティティ・クライシスから逃れるための自己保身から生まれる、 信じたくない、認めたくないと引き下がることもできず、深い傷を負うさまは、 今日のネット社会における政治クラスタやウクライナ侵攻のロシアと重なる部分があった。 そういう意味ではラストのユンゲの言葉は必要だったと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2022-10-12 22:06:11)
3.  ハッピーエンド(2017) 《ネタバレ》 
ある意味、『愛、アムール』の精神的姉妹作に位置付けられそうな本作。状況がよく分からない状態で話が進んでいくうちに一枚の地図が出来上がる。誰もが見せたくない裏の顔を持ち、血の繋がった家族と言えども所詮は他人。移民問題で山積みのカレーから目を背けるように、苦悩する一人ひとりに本気で向き合うつもりもなく、祖父と孫娘だけは表面で取り繕うだけの家族の異常さを見つめている。過去に人を殺め、自殺念慮を持っていたという共通の秘密が二人の唯一の居場所であるかのように。入水自殺を図る祖父とそれを撮影してSNSに公開しようとする孫娘、割り込むように助けに入る父と叔母。死という"ハッピーエンド"を映画は許してもらえない。あれをきっかけに家族は崩壊へ突き進むのか、本気で向き合ってやり直すのか、ハネケはSNSの炎上のように問いかける。今までと比べればかなりマイルドな作風だが、狙っている感に何を今更な感じで前作ほど心を動かされない。
[DVD(字幕)] 5点(2018-08-12 00:23:58)
4.  愛、アムール 《ネタバレ》 
半身不随になった妻を献身的に支える夫の姿が踊っているようにも見える。本作は過去作に比べて敷居が低く、そして容赦ない。目を背けたくなるほど衰弱していく妻を、事務的にこなす介護師を解雇し、中途半端な態度の娘をも突き返す。長年、苦楽を共にした夫の純粋さと狂気。二人以外の来訪者は聖域を侵す邪魔者でしかないのだ。今までのハネケなら妻の尊厳のために"約束"を果たして、観客を凍りつかせて終わらせるだろう。しかし、映画は愛の到達点を描きだす。二度にわたる鳩の来訪に、一度は拒んできた来訪者を抱き締める夫。鳩が妻の霊魂かは分からない。ただ、夫が綴った手紙が通じたのだろう、具現化した妻が何事もなかったかのように皿洗いをする、ハネケらしかぬ穏やかさに意表を突かれた。そして、二人はまるで散歩でもするような感覚で旅立っていく。妻の何気ない一言に涙があふれた。定冠詞のない"Amour"が象徴するように、開かれた部屋には二人の生きた証が、愛が隅々にあふれている。残された娘はどう感じるのだろう? 第三者から見れば、老々介護の悲劇にしか見えないだろう。しかし、それは悲劇か否かは当事者の二人にしか分からない。如何なる結末であれ二人は安らかに逝けたのではないだろうか。人間をよく知らなければ、このラブストーリーは絶対に撮れない。ハネケにしか撮れない嘘偽りのない純愛にただただ圧倒された。
[映画館(字幕)] 9点(2015-08-24 23:06:27)
5.  白いリボン 《ネタバレ》 
今までのハネケ監督の中では意外と見易い。如何にしてファシズムが小さな村から蔓延していったかを分析しながらも、教師を狂言回しにしてミステリーの体裁を装っているからか。罪を犯した子供に罰として無知の象徴である白いリボンを腕に結びつけるが、閉鎖的で抑圧された封建社会において、捌け口にされた子供の自己肥大化が進むのは当然の帰結だろう。どうしてそういうことをしたのかに大人達が真剣に向き合おうとしないし、心から信頼することもしない。子供には自分の理想通りであって欲しい押し付けと綺麗事だけが残るのが皮肉だ。二度における世界大戦は、様々な問題を先送りにした身勝手な大人達への復讐のように思える。並行的に描かれる教師の物語が救いかもしれぬが、部外者ならではの他人事と読み取れる部分もあり、我々も同じではないか。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-20 20:35:40)
6.  タイム・オブ・ザ・ウルフ 《ネタバレ》 
ディストピアものというより、あくまでサバイバルドラマの側面が強い。別荘で父親を射殺された母子三人が次の列車が来るまで駅舎で待機する。まだ子供の姉弟は極限状況下の大人達の獣性と醜さをまざまざと見せつけられていく点はハネケらしいが、ここにきて変化球を投げつける。自分を犠牲にして醜悪な世界を救おうとする弟の行為に、見張りをしていた男が止めに入って抱きしめる。家族の前で外国人に暴力を振るった男に似合わない、今までになく優しい言葉。あまりにも無力で根拠のない希望を語りかける。ラストカットの車窓は現実か妄想かは定かではない。それでもハネケは人間を信じているのだろう。絶望ばかりを描いているわけではなく、人間の"可能性"に観客が気付いて欲しいことを。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-20 20:18:00)
7.  ピアニスト 《ネタバレ》 
シングルマザーの承認欲求のために人生の全てをピアノに注ぎ込み、それに応えることができなかったエリカはピアノ以外に外の世界を知らない。子供の頃に抑圧された欲求が歪んだ形で浮上してきたアダルトチルドレンだ。自傷行為もまた、果てしなく自己肯定感の低いことの裏返し。しかし、彼女は悲劇のヒロインとして酔っているだけだ、とハネケは容赦なく切り捨てる。理想に思えたSMプレイは、現実では甘ったるい自分の自尊心と妄想を破壊させるには十分で、依存していたワルターに否定されることによって、エリカは自分を刺し、ピアノも母親も何もかもを捨てて夜の街に消えていく。絶望して自殺したかもしれないし、現実を受け入れて新しい人生のスタートを切ったかもしれない。見栄のために子供の代理戦争に駆り立てる親は失敗したときその責任を負えるだろうか。満たされづらくなった現代の承認欲求の病理とエゴイズムを的確に貫く。何もしないくせに他人に対して、「私を満足させて」と構ってくる地点で間違っているんだよね。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-20 19:53:20)
8.  カフカの「城」 《ネタバレ》 
◆テレビ映画という制約もあるかもしれないが、今作はハネケらしさを封印し、フランツ・カフカの世界観を忠実に映像化しようとする姿勢が感じられる。非常にクセが強く、読みやすいとは言い難いカフカの小説は、当然、映画も多くの人に受け入れられる代物ではない。活字で読むよりはマシだろう。◆簡単に言えば、測量士Kが仕事で城を訪ねるが、一行に入れる気配もなく、右往左往に冬の城下町を彷徨うだけ。周りの対応にイライラするが、主人公の優柔不断さにもイライラする。ネガティヴな性格のカフカの人生を反映させているようである。そして滑稽。◆未完の小説を映画では如何してに完結させるか? 普通ならオリジナルの結末を付け加えるが、ハネケはそれを拒む。いきなり黒画面を背景に「草稿は途切れている」とテロップを叩きつけて、観客をそのまま放り出すのだ。それを含めての不条理劇として受け止めるか、何を描きたいのか分からない映画として唾棄するか。自分からすれば、その世界観に酔えるほどの感性はなかったということだ。
[DVD(字幕)] 4点(2015-06-02 19:25:48)
9.  71フラグメンツ 《ネタバレ》 
◆初期作にあたる"感情の氷河化"三部作の最後の割にレビューが全くない。前二作に比べるとかなり地味なため致し方ないのかもしれない。◆冒頭で「銀行銃撃事件により3人が死亡し犯人は自殺する」というテロップが流れる。如何にしてこの事件が起こったのか興味を惹かれる。しかし、この群像劇は盛り上がりの欠いたドキュメンタリーのように、実在のニュース映像と並行的に進められる。ハネケのインタビューによると、ここでカットすべきシーンを必要以上に伸ばしているそうで、下世話なワイドショーを即物的に求める大衆の心理を逆手に取っている。◆事件が発生するも撃った青年の動機は衝動的なもので、被害者は一切映されない。不可解な事件は出涸らし同然になり、マイケル・ジャクソンの猥褻事件といった新しいニュースが陳列される。誰かが重大な事件に遭おうが、我々視聴者は他人事のように更なる消費を求める。◆無関係で無関心だからこそ、世界の悲惨な紛争地帯を眺めても当たり前すぎて何も感じられないし何も出来ない。それでこの映画は何を言いたかったのだろう? 視聴者に対する余計なお節介は後の『ファニーゲーム』に続く。
[DVD(字幕)] 5点(2015-05-19 00:28:46)
10.  ベニーズ・ビデオ 《ネタバレ》 
豚の屠殺映像を一旦巻き戻し、繰り返し再生される冒頭。「これが現実だ」と言わんばかりの映像を編集できる"神の能力"に浸るベニーの危険性を暗示させる。映像というフレームの中でしか現実を実感できない彼は、衝動的に少女を殺しても、その行為は零したミルクをふき取る行為と同等にしか映らない。頭を丸めたり、両親にビデオを見せるのも、罪悪感や贖罪からではなく、第三者に見せることによって現実を実感したい渇望によるものだろう。そこに普通の人間とサイコパスの隔絶した溝を深める。両親もまた普段からベニーの接し方が分からず擦れ違うばかりで、殺人の隠蔽もエジプト旅行もベニーのためというより、事なかれ主義や自己保身の側面が強い。一線を超えてしまった両親に殺人を無かったことにされ、再び現実を実感できなくなったベニーが、今度は警察にビデオを突き出す顛末に、今日のメディアの情報を現実だと鵜呑みにしている大衆と重なるのは自分だけかな。『セブンス・コンチネント』同様、衝撃的で先見性のある題材だが、後半の尻すぼみは残念。原題が英語であり、主役が『ファニーゲーム』の青年と同じであることを考えると、現実と虚構の境目が曖昧になっていく世界にセットで警鐘を鳴らしているよう。
[DVD(字幕)] 5点(2015-05-19 00:22:11)
11.  セブンス・コンチネント 《ネタバレ》 
◆20年以上前の作品なのにも関わらず、全く色褪せない。今でこそ実感する文明社会の病理を題材にしたハネケの先見性には驚かされる。今と比べればまだ荒削りではあるが、既にスタイルが確立しており、実験的で挑発的だ。何せ冒頭10分まで家族の顔を一切見せないのだから。この地点で閉塞的でモノに支配されている家族の肖像が浮かび上がる。繋ぎ目に挟み込まれる居心地の悪い黒い間、効果的に登場する数字(=規則性の暗喩か)、モノや人付き合いのしがらみから解放されたい家族の渇望を表しているようだ。◆そして家族は決行する。顔を映さないまま、家具やレコードや衣服を黙々と破壊していく。紙幣を便器に捨てるシーンからしても我々が如何にモノに支配されているか分かるもの。虚栄とモノに満ち溢れた世界を破壊する背信的なカタルシスがここにある。水槽を破壊して娘が悲しんでいるところでハッとしていれば、まだやり直しができたはず。もう後戻りは出来ない。◆何も映らないテレビの砂嵐の先にあるのは、黄泉の世界なのか、"無"なのかは誰も分からない。自殺するだけならまだしもモノを破壊する理由も誰も分からない。文明社会は本当に人々を豊かにさせたのか? それでも虚無感を抱えながら、社会を維持し続けるために"奴隷"を演じ続けるしかないのだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-05 21:37:31)
12.  隠された記憶 《ネタバレ》 
◆「盗撮テープが送られてくる」という筋書きから引き込まれる。しかし、ハネケは犯人探しには興味なく、誰にでもある忘れ去りたい"疾しさ"を抉り出したいようだ。無意識に葬った罪の記憶。それを洗い出す過程で最後まで流れないBGM、盗撮映像と同化した長回し撮影によって、弛み切った辺りで挿入される中盤の自殺が最大限に発揮され、焼き付けられる死の瞬間と後悔を刻み付ける。背景には、かつての宗主国フランスとかつての植民地アルジェリアの関係が大きい。移民問題で露わになった憎悪が原因か? しかし、ギクシャクした親子関係も影が深く、それを象徴するのがあのラストシーン。息子同士の共謀なのか第三者による盗撮なのか分からないまま、正体不明の悪意が最後までひた歩く。観客の心にそっと囁くように……。◆当然だがフランスとアルジェリアの確執を持ち出しても日本にはピンと来ないだろう。もし発言が許されるのであれば、日本人と在住朝鮮人の関係に置き換えれば、結構分かりやすい映画かもしれない。どちらが真実かはこの映画同様、"隠された何か"(Caché)しかない。では、あなたの黒歴史は?
[DVD(字幕)] 5点(2015-04-28 22:56:32)
13.  ファニーゲーム U.S.A. 《ネタバレ》 
オリジナル版視聴済。 ストーリー、カット割り、カメラワークはほぼ同じなため、 逆にリメイク版から見た人にとっては結局不愉快なだけで手玉を取られることになる。 しかし、オリジナルを見た以上、どうしても比較せざるを得ないのも事実。 慣れなのか、オリジナルほどの不快感がなく、ナオミ・ワッツ、ティム・ロスといった有名俳優の起用、 生活感のない洗練された映像、ハリウッド特有のドライさがあってか、フィクション色がさらに強まり、 かえって陰惨な感じが薄まってしまった。 一線を超えた何かがこの映画には感じられなかった。 いっそのこと、ラストにもう一つ付け加えた方が良かったかもしれない。 暴力ゲーム(つまり本編)をクリアした子供とそれに無関心な親の会話を挿入するなりして。 アメリカへの嫌がらせのために焼き直しした割に全然効果なかったね、ハネケさん。
[DVD(字幕)] 5点(2015-04-28 21:33:53)
14.  ファニーゲーム 《ネタバレ》 
「とにかく不快」と評判で、数軒のレンタル店を駆けずり回ってやっと見れた思い出。 ネタばれを見てしまったのでそこまで衝撃的ではないにしろ、 あの威圧感と不快感、双方とも「何かをしてくれるのでは?」の期待感の地点で、 ハネケの思う壺なのだろう。  昔、ディズニーの『101匹わんちゃん』を見てて、 クルエラと凸凹コンビがヘマせずに勝ったらどうなるかを妄想していただけに、 笑うに笑えない、観客の露悪を嫌でも晒け出してくれる。  極端な話、この映画の暴力とスーパーマンの暴力はベクトル的に違えど本質的にはほとんど同じだろう。 原題が英語なのも暴力という文化を量産し続けるアメリカへの皮肉だ。 しかし、アメリカではあまり話題にはならなかったように、 暴力の本質や「虚構は現実と同じくらい現実だ」と講釈を垂れたところで、 「だから何だ」と相手にされなければその映画の価値はゼロに等しい。 強盗に対して平和的な話し合いをしても無意味なように。  結局、ハネケを喜ばせるだけに過ぎないのだから、そういう意味では0点でもあるし10点満点でもある。 それでも、ある種の吸引力は相当なものでインパクトを残した点で7点献上。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-28 21:31:03)
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