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201.  16ブロック
R・ドナーとB・ウイリスとの初のコラボレーションは、二人の新たな代表作と呼べるに相応しい作品となった。共にアクション映画で今の地位を築いてきた二人だけに、その拘りには並々ならぬものを感じさせる。本作は「48時間」や「ミッドナイト・ラン」といった“80年代アクション”の流れを汲むものであり、シチュエーションに至っては、まさに「ガントレット」そのものと言ってもいい。昔から、アクション映画に於ける“コンビものにハズレ無し”と謳われる通り、本作もその例に漏れず見事なコンビネーションぶりを発揮していて、アクロバティックで荒唐無稽さがウケる昨今、確りと地に足が着いた大人のアクション映画として、近年出色の作品だと言える。“僅か2時間足らずの内に人間は変われるか?”という裏テーマが内包されている脚本は、単なる友情や連帯感といったものを超えた、視点の新しさを感じさせ、 それをアクションに絡ませていく語り口の巧さは絶妙であり、またテンポの良さと研ぎ澄まされた編集の見事さなど、まったく無駄と言うものが無い。それに応えるべく、三者三様の役作りの卓抜さは、お見事と言う他ないが、世界一運の悪い男を演らせたら、やはりこの人、B・ウイリス!歩き方からその風体まで、ほとんど特殊メイクと言ってもいい程の凝りようで“決してジョン・マクレーンであってはならない!”と自らを言い聞かせているように見える。しかし充血したその眼がひとたび鋭くなった瞬間の凄みと迫力は、まさしくアクション俳優としての本領発揮の瞬間として、あたかも歌舞伎の大見得を切るようなイメージで迫り、大向こうを唸らされるものがある。相手を出し抜き、次々と難局を切り抜けていく頭脳戦も、かつて敏腕刑事として鳴らした裏付けがあればこその説得力を生み出しているが、同僚でありながら敵役でもあるD・モースは、善人なのか悪人なのか蓋を開けてみないと分らない程、人間味を滲ませながら両極端を演じ分けられる数少ない俳優で、彼なくしてはここまでの濃密なドラマとはならなかったのではないか。執拗に追う者と追われる者とのバランスが程良く描き分けられ、また群集との絡ませ方など、ロケーション効果も実に鮮やかだ。それにしてもR・ドナー、御歳七十を過ぎてまだこれ程の余力(?)が残っていたとは、もはや脱帽せざるを得ない。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-28 16:24:36)(良:1票)
202.  地球爆破作戦
「2001年宇宙の旅」と同時期に誕生した、もうひとつのコンピューター反乱モノ。敵国の核ミサイルの制御監視用に「コロッサス」なるスーパー・コンピューターが米国で製作される一方で、ソ連でも「ガーディアン」と命名された同機能を有するコンピューターが誕生していた。やがてこの二つのコンピューターが自ら意志を持ち始め、互いに反乱を起こして世界を支配してしまおうという怖~いお話し。まさに米ソ冷戦時代だからこそ生まれたような異色SF作だが、人類はその恒久的平和の約束と引き換えにコンピューターに屈するという結末には、映画とはいえ暗澹たる気分になること必至だ。SF映画とは言え、かなりマイナーな作りのため、視覚効果などは期待するべくも無いが、J・サージェント監督の緊迫感溢れる演出で、これぞ大人向けの近未来SFの秀作とだけは間違いなく言える。
8点(2003-05-16 00:29:23)(良:1票)
203.  グッバイガール
ニューヨークの生き生きとした躍動感溢れる生活感覚と、下町独特の人間の息遣いがストレートに伝わってくる。都会の人間はみんな孤独だけれど、人と人との触れ合いこそが大切なんだという、ヒューマンな視点が素直な感動をもたらす。印象的なシーンは多いが、中でも役者志望のエリオットがポーラをアパートの屋上へ誘う夜。H・ボガートを真似て白のタキシード姿で、暗闇の物陰からキザにマッチを擦って顔を照らして登場するシーンのお洒落なこと!雨の中で出会い、雨の屋上で踊り、お互いの愛情を信じながら仕事に立って行く日も雨。まさに雨に濡れたような、しっとりとしたオトナのラブ・ストーリー。男に裏切られ続けてもそれでもなお男を慕うポーラがエリオットの大切なギターを胸に抱いて見送るラストはまさに胸にしみる。
9点(2001-04-22 18:39:57)(良:1票)
204.  千と千尋の神隠し
R・ゼメキス監督作品「コンタクト」のワンシーン。J・フォスターが乗ったポッドの落下する一瞬に見る夢幻空間。成長過程にあって人間誰しもが経験していくであろう大人への憧れと不安というものを、千尋が体感したのはまさしくこのまばたきするほんの一瞬の夢の出来事だったのだろうか。両親を助ける為に働くことを余儀なくされ、様々な人々と関わり合いながらやがて生きていく為の知恵をつけていく。冒頭、車の後部席に横たわったペスミスティックな表情の彼女と、トンネルの向こうを振り返るラストのその横顔との決定的な違いを、少女の成長と見るのは早計かもしれないが、しかし多様な見方が出来るのはそれだけ懐が深い作品だということだろう。とは言うものの、宮崎ワールドのまさしく豊穣なイマジネーションと極彩色の世界を思う存分堪能することが、この作品の正しい楽しみ方であることは言うまでもない。
9点(2001-09-25 00:20:00)(良:1票)
205.  ミクロの決死圏
敵の攻撃により脳内出血で倒れた重要亡命科学者を救うため、ミクロ化された五人の医師らが潜航艇に乗って治療に向かう。何段階にもわかれた縮小過程の描写や、押された注射の針の中を、ミクロ化された潜航艇が高速で血管に突入し、やがて注入されたとたん大海に出たような緩やかな動きとなるシーンなど、印象に残るシーンには枚挙にいとまが無い。このあと風船のような赤血球や白血球の中を航行するという、まさに原題どうりの“幻想的な航海”を我々観客ともども体験していくのです。視覚的な部分以外にも、縮小のリミットが3600秒という時間との戦いや、彼らの中に敵側のスパイも潜入しているというサスペンスも加わって、大満足のSF映画の傑作です。
10点(2000-10-09 00:39:21)(良:1票)
206.  悲情城市
終戦の年から始まるこの物語は、林家の四人の息子の生き方を見つめることで、台湾の激動の歴史を振り返るというもの。日本と中国本土の二つの文化の間で翻弄され虐げられてきた台湾の人々の、やりきれない悲しみと怒りが描かれていくという、辛口のホームドラマのスタイルをも有した本作は、悲痛で重厚で堂々たる風格をもった大作ではあるが、我々をも含めて外国人には、その歴史及び社会的背景をある程度理解していないと、複雑に入組んだ人間関係もあって、一度観ただけでは頭に入りにくい部分が多いのも事実。それでも、ヤクザ社会からインテリ層までのあらゆる階層を、ごった煮にしたような猥雑感を魅力たっぷりに描出し、一方ではリリシズム溢れる優しくそして切ない恋愛ドラマとしても、侯孝賢の力量は十分発揮できた作品だったと思う。テーマ曲の素晴らしさもまた忘れられない。
10点(2003-12-04 18:23:58)(良:1票)
207.  忠臣蔵外伝 四谷怪談
「忠臣蔵」と「四谷怪談」という、あまりにも有名な物語を強引にミックスさせ、自由奔放かつ大胆に創作した、深作欣二監督の野心作。そのメリハリの効いた劇的構造と躍動感溢れる描写で、ひとつの新しい物語として十分納得できうる作品となっている。伊右衛門という偽善に満ちたひとりの武士の、悲劇的で複雑な人間像をシニカルに演じる佐藤浩市。死して尚、恨みより彼との愛を貫こうとする武士の犠牲となったお岩役の高岡早紀。ともに存在感溢れる好演で、この作品には無くてはならないキャラクターだ。化け猫メイクの荻野目慶子演ずる狂女・お梅が伊右衛門の弾く琵琶に舞う妖しいシーンと、毒を盛られたお岩とがカットバックされるシーンは本編中最も強烈で、作品のイメージを雄弁に物語っている。これら個性的な役者が揃ったことで、初めて成し得た作品だったと思う。
8点(2003-04-17 17:13:07)(良:1票)
208.  愛の狩人
同じM・ニコルズ監督の「卒業」の姉妹編とも言われている本作だが、前者が“青春映画のバイブル”と謳われて、今尚熱い支持を得ているのに比べ、高い完成度ながらそれほどポピュラリティを持ち得ていないのは何故だろうか。(アメリカではともかく、少なくとも日本ではあまりウケなかったように記憶している)物語はひとことで言うと、ジョナサンとサンディという典型的な(当時の)二つのタイプのアメリカ人男性を通して、学生時代から社会人になってからも付いて廻る、性(SEX)と結婚(生活)への願望と幻滅を描いたもの。SEXの道具としてしか女性を愛せない男と、その一方で心の結びつきを大切にしようとする男。映画は彼のどちらにも肩入れすることなく、むしろ二人ともが否定されるかのように、痛々しくそして極めてシニカルな眼差しで描かれていく。ここに当時流行った「アメリカ神話の崩壊」を見てとれ、決して彼らに感情移入する隙を与えず、まさに絶望に突き進んでいくような、かなり辛口の青春ドラマだといえる。果たして彼らに救いはあるのだろうか。しかしこの明朗快活でない作品も、絶妙のキャスティングがひとつの魅力でもあり、またキャンパス・ファッションにも大いなる影響を受けたものだった。
8点(2003-05-18 17:08:43)(良:1票)
209.  ポセイドン(2006)
リメーク作品がどんなに良く出来ていても、オリジナルほど評価されないのは、もはや宿命のようなもので、人々の脳裏に焼きついた映像や感動は、そう簡単には消え去らないものだし、ましてや思い入れの深い作品ともなれば尚更である。どうせなら「キングコング」や「宇宙戦争」などと言った、半世紀以上も前の作品をリメークした方が、映像技術の格段の進歩による“新古品”としての新鮮な魅力が発揮できて、得策かも知れないのだが。本作も、名作の誉れ高いオリジナルと比べるまでもなく、何の工夫もない、とって付けたような人間ドラマの薄っぺらさや、魅力の乏しいキャスティング等は誰にでも容易に指摘できる。しかしながら、W・ペーターゼン監督が自解している事でも分かるように、本来それらはむしろ意図的な事であり、人間ドラマを充実させる事よりも、あくまでも最新テクノロジーによるスペクタキュラーな映像への果敢なアプローチ(挑戦)だと捉えるべきであろう。だから、“多くの批判は当らないよ!”と言わんばかりだし、むしろ作品の出来に、彼の得意気な表情が目に浮かんでくるようだ。それほどに、CGによる大スペクタクル・ショーは、文句のつけようが無いほどで、凄まじいの一言に尽きる。長年、映像化は到底不可能だとされてきた、荒れ狂う巨大波の再現は、CG映像の出現で、「ディープ・インパクト」のクライマックスでの驚異の映像となって実現して以来、頻繁にスクリーンに登場するようになり、映像表現の可能性が大きく広がった事を実証してみせた。今回の豪華客船に襲いかかる波のうねりの巨大感や質感、あるいはそれに呑み込まれて転覆していくポセイドン号のリアルさは更に進化し、いくらCGで再現されているものだと説明されても、本物の船が転覆しているとしか思えないほど迫力に満ちたものであり、その点においてはオリジナルの時代とは隔世の感がある。また、客船内部からの脱出サバイバル劇も、負けず劣らず様々な趣向が凝らされ、最後まで手に汗握るエンターテインメントとして成立させている。しかし良くも悪くも、ゲーム感覚の作品であることだけは疑いようのない事実であり、時代がこのような作品を生み落としたのだと言える。
[映画館(字幕)] 7点(2007-04-29 17:22:23)(良:1票)
210.  ビヨンド the シー/夢見るように歌えば
「天は二物を与えず」の格言からすると「天は、ときには幾つも与える」という事なのだろうか。とにかくK・スペイシーの才能には改めて脱帽するしかない。その歌唱力の確かさは大向こうを唸らせ、堂々とした歌いっぷりには男の色気が漂う。さしずめ歌舞伎の大見得を切るイメージと言ったところか。とりわけ”♪Mack the knife”で颯爽とステージに登場するオープニングのシーンは鳥肌モノ。そしてこの人にもこんな面があったのかと、楽しげに踊るダンス・シーンの見事さにも感心する。“俺には生まれながらにしてこんな才能もあるんだぞ”と言わんばかりの自信満々ぶりが表情にも出ているが、決して嫌味にはなっていない。そして、これらがハードなレッスンの賜物であることも想像には難くない。 B・ダーリンに心底傾倒し、本人に成り切りたい一心で作り上げられた本作は、完璧主義者=K・スペイシー一世一代のお祭りムービーであり、作品に対する意気込みや熱意というものが、画面からビンビン伝わってくる。奇しくも同時期に公開された「Rey/レイ」とは、伝説のミュージシャンを扱った作品という点では同じだが、前者がしっとりとした湿り気のある作風であるのに対し、本作はより深刻なテーマを内包しているにも拘らず、むしろカラッとしたテイストの作品に仕上がっている。だから、ひたすら明るく楽しいエンターテインメントに徹して描いている点は、作り手側の潔さを感じるし、それと同時にまったく無駄というものがない音楽映画の秀作だと言える。
[映画館(字幕)] 9点(2005-05-17 15:17:38)(良:1票)
211.  ウォーターボーイズ
何かと暗い世の中、こういった明るく元気になれる作品が人気を集めるのも無理からぬところ。とかく評判の作品だが、しかし数々のエピソードの描き方には何か物足りなさがあるし、さほどの歯応えも無い。つまり、余りにもノリが軽すぎるのだ。若者たちが元気に画面をはしゃぎ回り、ノリのいい曲を流しておけばスポコン青春ドラマ一丁上がり・・・というような製作サイドの安直さを、僕などはどうしても感じてしまう。もっともこういった見方はこの作品には相応しくないことを百も承知だが、アジアの優れた作品に接するたび、果たしてこの程度で“評判”になっていいものか・・・と感じざるを得ない。
6点(2001-11-25 11:05:28)(良:1票)
212.  パール・ハーバー
ハリウッド映画なんだから日本人の描き方が奇妙なのはいつもの事で、今更とやかく言ってもしょうがない。所詮よその国のことはお互い理解できない部分が未だに存在するのだから、我々も偉そうな事は言えない。で、良くも悪くも予想通りの作品だが、M・ベイの前作「アルマゲドン」より少しは好感がもてる出来に仕上がっている。エンターティンメント作品として見た場合、彼のアクション監督としての才能が十分に生かしきれていると思うし、なんともチャーミングなK・ベッキンセールに思わず評価を上げてしまった。
7点(2001-08-19 00:56:03)(良:1票)
213.  ツォツィ
饒舌で冗長な作品の多い昨今、極めてシンプルなドラマツルギーを保持しながら、観る人の感情に訴えかける奥深さで、心に染み入るように感動が伝わってくる。上手い映画とはこういう作品のことを言うのだろう。アパルトヘイト以来、アフリカを舞台にした映画が次々と公開されているが、同じ黒人居留区のスラム街を描いた「シティ・オブ・ゴッド」の喧騒に対し、本作が意外なほどの静謐さで貫かれているのは、時代や国家を超越した、謂わば人間本来の「優しさ」と「寛容」と言う普遍的なテーマに集約されているからだろう。地を這いつくばり、貧者がより貧者を襲ってでも生き抜いていかなければいけない生々しい現実の中、生まれながらにして薄幸で、無軌道にしか生きられないツォツイは、他の人間を敵視し決して心を開こうとしない、まだあどけさの残る孤独な少年だ。しかし、無抵抗で純真無垢なる者と対峙した時に見せる慈愛と、思春期の少年らしい女性への憧憬は、母なる者へのイメージと重なり、彼の不幸な生い立ちを感じさせる一方で、本来の人間らしさが芽生えた事を印象づける。このツォツイを演じる少年の荒んだ眼差しとナイーブな表情が素晴らしい。終盤、ブルジョワ夫婦も警察側も、やけに物分りが良過ぎるのが気になるところだが、作者自身が、世の中に本当の悪人はいないという、性善説を前提として創られているからかも知れない。
[映画館(字幕)] 9点(2007-10-18 17:54:42)(良:1票)
214.  ロード・キラー
ハイウェイで見えない敵に恐怖を抱きながら追いまわされるという点では、スピルバーグの「激突!」そのもののようだが、本作はさらに今日的な意味合いが深い。悪気の無いちょっとした悪戯がきっかけで、その後大変な事態に発展していく訳だけれど、これは我々日常生活でも十分に起こりうる話だし、とりわけパソコンでのBBSやチャットなどで顔が見えないことをイイ事に、波紋を投げかけるようなコメントで挑発した人もいるんじゃないだろうか。登場人物たちのキャラやサスペンスフルな脚本の面白さ、そして冴え渡った演出でそのハラハラ・ドキドキ度は最後まで上がりっぱなしで、もし続編ができたら是非見てみたい。
8点(2001-12-14 15:57:56)(良:1票)
215.  ナビゲイター
キャンプ中に家族から一人離れた少年が近未来へタイムスリップして、不思議な体験をする冒険物語。全体的には無邪気でお子様向け的作品といった趣向だが、自分より幼い(当然!)弟が、そのイメージのまんま大きくなったような青年に成長しているといったギャップのおかしさや、すべてが少年の夢の中の出来事であったかのような意味合いも滲ませ、つまるところ家族の大切さを強調している作品だったともとれる。しかし本作の目玉は、やはり少年が遭遇し終始行動を共にするUFOだろう。CGがまだまだ珍しいこの時代、ようやく本格的に表現されるようになり始めたのもこの作品あたりから。UFOの次々と姿かたちがナチュラルに変化する様子に、当時驚嘆したもので、そのメタリックな表面に海面が映える不思議さに感動すら覚えたもの。キャメロンが「アビス」でこの技術をさらに進化させ、例の“形が自由に変わる水”をCGで表現したのが、このずっと後になってからだという事を考えると、本作のパイオニアとしての偉大さが分かろうというもの。
7点(2003-12-05 23:38:14)(良:1票)
216.  ワンス・アンド・フォーエバー
時代が中世であろうと現代であろうと、M・ギブソンの戦う男のイメージは一段と定着しつつあるようで、とりわけ妻や子供を守るというアメリカ人が最も好みとする理想的な男を演じさせたら、おそらく彼はその代表格だろう。その姿にはもはや貫禄と風格すら漂わせている。ただ残念ながら、時代設定が違うというだけで、いつもの“メル・ギブソン・ショー”を見せられているという感は拭えない。しかもハリウッド映画界にとって特別な意味のある“一粒で何度も美味しいベトナム戦争映画”に、甚だウンザリしている我々にとっては、なおさらその思いは強い。それがいかに映像的に良く出来ていても・・・だ。敵であるベトナム人にも愛する家族がいるという描写などは、いかにも付け足し・申し訳程度で、むしろあざとさを感じてしまうし、まるで騎兵隊とインデアンの攻防のような図式でのなりふり構わぬ殺戮シーンは、明らかに常軌を逸して悪趣味ですらある。
6点(2002-07-12 00:33:32)(良:1票)
217.  ボーン・アイデンティティー
M・デイモンの本格的なアクション映画は初めてのようだが、実はすでに「オーシャンズ11」で、そのアクション俳優の片鱗はみせていた。そのスリムでシャープな身のこなしや面構えなど、なかなか堂に入っている。そして、アメリカ人の中でも典型的なヤンキーっぽい顔立ちの彼だが、ヨーロッパの街並みが不思議と良く似合う。それだけD・リーマン監督が俳優の魅力を巧く引き出せているということなのだろうか。本作の撮影の素晴らしさにも増して、決してCGなどに頼ることなく、終始切れ味鋭い本格的スパイ・アクション映画に徹しきった彼の演出力は高く評価したい。決してこれ見よがしの派手な見せ場はないが、スパイ映画としての緊迫感と、渋くてどこかに懐かしさをも感じさせ、久々に堪能させられた。
8点(2003-03-06 23:42:57)(良:1票)
218.  アバウト・シュミット
老後を如何に生きていくかと言った今日的なテーマを扱った作品で、私達すべてに当てはまり、実に身に詰まされる物語だといえる。定年退職したシュミットにとって、実績や名声といったものはもはや過去のものとなり、しかも人生の大半を妻任せで暮らしてきた彼にとって、老後を共に生きていく筈の彼女に先立たれるという試練が待ち受けていた。老後の生活設計に大きな狂いが生じて、その遣りきれない惨めさを否応なく実感する一方で、ある種の開放感を味わってもいる様子。このあたり、まさにシュミットが可愛げのある男性の典型そのもののように描かれている。経済的には困っていなくても、精神的な支えを無くした彼が、生甲斐を見つける為、自分探しの旅を始めるのが映画の後半部分。娘の元へと辿る道中記は、彼の心象風景そのものだが、このごくごく平凡で無邪気な初老の男を、J・ニコルソンが珍しく等身大の人間として見事に演じきっている。特に、泣き顔というよりはむしろ喜びを押し殺しているというラストの表情などは絶品だ。
8点(2003-06-07 17:15:19)(良:1票)
219.  恐怖の報酬(1953)
「その爆風は、燃え盛る炎をも一瞬にして消し去ってしまう。」ニトログリセリンというものを、これほど端的にそしてその威力がいかにもの凄いかを強調した表現はない。そこがこの映画の着眼点の素晴らしいところで、観客はまさに髪の毛が逆立つほどの恐怖を体感させられる。すべては「恐怖の報酬」から始まった・・・と言えるほど、まさに“スリルとサスペンス”の原点であり、ハリウッド映画とはひと味もふた味も違う、フランス映画だからこその人間描写の深みは、今日に於いてもアメリカ映画のかなわない点だろう。この世紀・世代を超越した傑作に満点の評価をつけることに、些かの躊躇もない。それほど良く出来た作品だった。
10点(2002-05-12 16:57:31)(良:1票)
220.  猟奇的な彼女
良く出来たストーリーと威勢のいい会話。そしてなによりそれらに応えた主人公ふたりのコンビネーション(コントラストと言い換えてもいい)の絶妙さが、この作品の支持された最も大きな理由だと思う。韓国映画らしいある種の生々しさは本作でも不変だが、小高い丘の上での如何にも青春映画としてのメルヘンチックなシーンを、シンボリックに描出しているあたり、この監督サン、なかなか若者の琴線をくすぐるのが巧い人のようだ。ただ、他の方々も指摘しているように、このテの作品にしては少々長いのと、駅のホームで出逢ったふたりならば、やはりホームでの再会とするべきではなかったか。駅員室のTVモニターで発見すると言う作劇に個人的には不満が残ってしまった。
7点(2003-06-09 00:13:49)(良:1票)

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