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21.  リンカーン弁護士
別れた妻子、敵対する警察側、裁判所の職員、お抱えの運転手に、いかにもヤバそうな暴走族。主人公ミックが彼らと話す言葉には心に十分な余裕があり、テンポがあり、粋でさえある。ウケ狙いのジョークを飛ばすことなく自然に口にのぼるセリフばかりだが、これほど惹きつけられる会話も珍しい。また勝つためには依頼人相手でもコンゲームを挑み、暴力をも辞さないが、社会的に弱い者、はみ出し者、有色人種をかまわず対等に話すミックがふところ広くて頼もしい。彼らもまたミックに力をかし、そうした相互扶助の痛快さがいっそう話を面白くしている。松田優作主演ドラマ「探偵物語」の〝bad city〟の雰囲気をちらっと思い出した。
[インターネット(字幕)] 10点(2015-01-04 23:14:42)(良:2票)
22.  わるいやつら 《ネタバレ》 
槙村(松坂)が初めて東京へ出たときは身がすくむほど怖かったと言ったのは、恐らく本当だろう。それがほどなくして男たちを手玉にとるまでにたくましくなったという点では、確かに群を抜いた魔性の女だ。しかも数ある悪女のうち彼女だけが、男を最後まで信用していない。なびくかと思えばはねのける、打算に満ちたカルメンだ。だから、下見沢がホセの如く彼女を刺殺するというラストに落ち着くのだろう。(冒頭で槙村が男に殴られるシーンがあったが、あれが彼女の本性を暴く最大の暗喩だったとは!)しかし、策謀は女性の方が数段上手なのに、あれよあれよという間に、数人もいっぺんに敵に回した戸谷は哀れという他はない。一旦男に愛想がつきた女の経済感覚は、決してみくびれないものだ。
[DVD(邦画)] 7点(2010-03-22 22:49:49)(良:1票)
23.  惑星ソラリス 《ネタバレ》 
死んだはずの妻が生き返って愛を確かめ合う・・・・・・そして、改めて妻は消えていく。この悲哀に満ちたストーリーに「雨月物語」のイメージがつきまとって離れなかった。そこへタルコフスキー監督関連のサイトを探してみたら、彼自身があげたベストテン映画作品の中に「雨月物語」が入っていたことに仰天! 彼の作品の中には、ほとんど必ずと言っていいほど叙情性あふれるしっとりした潤いが奥底に流れている。昔の邦画が大切にしてきた無駄な遊び、余韻を彼の作品群にも感じる。ソラリスの海の映像を眺めているだけで、ストレスを開放されるような、奇妙なアンニュイを感じた。難しい精神の理屈だけを問うのではなく、一篇の美しい詩として歌い上げているところに人気の高さがあると思う。
9点(2004-06-17 11:15:40)(良:1票)
24.  ファーストラヴ(2021) 《ネタバレ》 
『髪結いの亭主』に出てくる少年は、ふっくらと丸みを帯びたやわらかい胸の、なまめかしい年上の女性を見て陶酔するというのに、本作の少女(環菜)は、男性の裸体や視線に囲まれて性的虐待を受けてしまう。比較が少し過ぎるかもしれないけれど、少年が女性の肌に母性をイメージするのと、女の子が男性の裸体に未知の恐怖を感じるのとを合わせ考えれば、「性」の神秘さ、複雑さ、難しさを感じずにはいられない。 また、『スポットライト 世紀のスクープ』では、カトリック神父たちの信徒への性的虐待を扱った実話。こちらはもう被害が甚大で、少年であっても生涯消えないトラウマを抱えてしまったり、自殺者も多数出ているという。『ファーストラヴ』を見終わった後、性つながりでいろいろな作品を連想して、深く考え込んでしまった。  単なるサスペンス、謎解きのエンターテインメントと割り切って楽しむには、あまりにメッセージ力の高い作品だった。環菜の供述が二転三転するのも、事件が起こるずっと前から受けていた両親からの抑圧があってこそだったり、腕の傷も、世間にありがちな自傷理由に加えて、父からのある要望を受けずにすむ魔除けのようなものだった。いろいろな点で自然な整合性がとれていて、うならされた。実際に起こった事件を下敷きにしているのではと思うほど。  タイトルの「ファーストラヴ」というのは、異性との愛ではなく、生まれて初めて子供が受ける親の愛情を指すのではないかと思う。環菜や由紀、迦葉は、両親からのファーストラヴを過不足なく受けることができなかったため、自己肯定力が低く、常に誰かから傷つけられるのを恐れてしまう。3人とも、笑顔はどこか引きつっていてぎこちない。作家が同じような心の傷を持つ登場人物を意図的に寄せ集めたというよりは、たとえば朗らかな者は周囲に陽気な仲間が集うように、似た者同士が自然に引き寄せ合った結果のようにさえ見える。終盤では、彼らは前を向いて、それぞれの道を歩もうとしている姿が映し出されることが、何よりの救い。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-07-30 15:30:59)(良:1票)
25.  オープン・ウォーター2 《ネタバレ》 
 溺れる心配の無い室内で視聴していれば、つっこみどころは満載、彼らのおバカぶりに呆れるほかないが、決して海に入らない女性が船上にいるとわかっているから、4人のうち少なくとも夫は安心して梯子の有無など確認しなかったのだし、前作と違って全員素泳ぎ。体の冷えはすぐにくる。携帯の奪い合いも、彼らがスーツやボンベを背負って浮きやすい状態でいたなら、あんな愚かなパニックは起こさなかったろう。立ち泳ぎで体力の尽きる不安、冷え、船内に乳児、怪我人続出など、経過時間に脅かされれば、視野や思考回路も狭くなる。落ち着いて考えれば安易に見出せる救出法や、体力維持の方法も、助かりたい一心で闇雲にもがけば何も見えなくなってしまう適例だと思う。これを海難事故と限らず、人ごとと思わずに、自分が生死を問われるような立場におかれたとき、どれほど落ち着いて行動できるか、ふだんから考えておくべきだ。  しかしこの海難事故の最大の原因は、「海は危険だ」という認識を持って、航海を終えるまで気を抜かず常に緊張感を保っているべき人間が、ヒロイン以外誰もいなかったことだ。たとえ梯子を下ろしていても、万一にそなえ全員が海に入るべきではない。船上に唯一上がれたのが彼女だったのも、感情的に納得できる。(しかし、乳飲み子を抱えた船上のレクリエーションなど、私なら絶対に避ける!)
[DVD(字幕)] 7点(2008-12-08 09:49:34)(良:1票)
26.  バベル 《ネタバレ》 
4つの物語の共通事項は、主要人物たちが、突然思いもかけぬ絶望の淵に立たされること。バベルの塔は、建設中にいきなり人々の言語が分かれて意思疎通ができなくなり、工事が中断された忌まわしきオブジェだ。元々人々は同じ言葉を話す同一文化人だったが、突然予期せぬ災難に遭い、世界各国へと放浪を余儀なくされる。聖書のこのエピソードを考えたとき、この作品のタイトルの巧みさに舌を巻いた。幸せを求めて挫折し、孤独な魂を抱えて放浪せざるを得ないという人間の性は、正しくバベルそのものだ。また、4つの国をまたいでグローバルな視点をうながすことも、安易にインターネットを用いていないのが気に入った。国と国とが連携するとき否応なく時間がかかること、インフラの整っていない地での絶望的な医療や、見はるかす大自然の脅威などで、地球という惑星の大きさをずっしりと重く感じることができた。
[DVD(字幕)] 10点(2011-02-18 23:35:21)(良:1票)
27.  カポーティ 《ネタバレ》 
冒頭からひどい皮肉をとばすトルーマンを見て、「性格の悪そうな作家だなあ」と引いてしまったが、事件の取材で、いとも簡単にナンシーの親友から彼女の日記、捜査担当刑事から捜査ノート、犯人のペリーからは日記の提供を受けるのに驚いた。信用がなければ決して人にゆだねることはできない個人的な資料ばかりだ。また、仕事の名誉欲はある、しかし人並みの情もあり、ペリーの死刑を望むべきか否かで苦悩する羽目になるトルーマンの人間臭さに恐れ入った。まるで人間の不合理さを絵に描いたようだ。「もう1人の自分」であるペリーが目の前で処刑され、彼の精神的な何かが一緒に壊れてしまった気がする。自分が処刑されたような自己暗示にかかったのかもしれない。もしペリーがトルーマンと生まれ育ちが全く違い、被害者に対する奇妙ないたわりを見せず、単なる残虐非道な人物であったら、「冷血」以降も作家はペンを取り続けただろう。私には途中からペリーとトルーマンがドッペルゲンガーの関係に見えた。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-22 21:07:03)(良:1票)
28.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 
映画を見ている間、これって、反抗期だった息子と私のやりとりだわと思った。 親としてはどうしても電話に出てもらいたいのに、プチ家出を決め込んだ本人はなかなか応答しない。無駄だと思いつつ何度も何度もコールをかける。つながらなければ、彼の友だちにかけたり、実家にかけたり、塾に欠席の連絡を入れたりする。その間のイライラ、おろおろ、ハラハラした気持ちはたまったもんじゃない。そのうち、やっとのことで本人から電話がかかってくると、こっちは腹が立ってたまらないからどうしても声高で問い詰める口調になってしまい、当然会話にならずガチャ切りされる羽目となる。後日「嘘でしょ、ホントにそんなことやってたの? 理解が追いつかないんだけど!」と驚愕の結末が待っている・・・・・・。  要するに、このアスガーという警察官は、当時の私とそっくりなのだ。彼はオペレーターとしての研修を受けたことがないのか??? 誘拐とわかった時点で同室にいる同僚たちと連係プレーを取るべきなのに、せっかくマチルダから有力な情報を得ても、延々と彼女の相手をしてしまう。北シェラン指令室の女性から「車の情報を巡回に伝えるから、他の話は後にして!」と強引に回線を切られてブチ切れていたけど、どう考えても彼女の方がプロ。アスガーは一から十まで感情で動いているから、ああ、途中で大きな失敗をするだろうなあ、と思って見ていた。  ありえない展開はまだまだ続く。誘拐が絡んだ大事件を個人プレーで、それも個室で対応しようとするなんて、デンマークの警察ってこんなことが本当に許されるんだろうか。しかも、犯人とおぼしき男に直接電話を入れるだけでも驚くのに、感情にまかせて大声で罵るとは。人質を取っている相手を全力で刺激する警察官なんて、本当にいるの? そもそも被害者とオペレーターとの信頼関係が救命の可能性を左右するというのに、上司の「時間が来たから上がれ」って何? 「もう少しやります」って、その軽いやり取り、通信販売の受付レベルに見えたんだけど・・・・・・。 それから、デンマークでは飲酒運転は基本的にOKなんだね。これものけぞるほど驚いた。2杯は「運転できる」で、4~5杯は「慎重に運転」。しかもドライバーは警察官・・・・・・。日本に比べて人口密度が低い国だとしても、「走る凶器」が積雪の往来を行き来するのかと思うとぞっとする。  それから、被害者の女性に武器を探して相手を殴るよう指示するところもびっくりした。殴り損ねた場合、殺される可能性は高いと思うんだけど、どうしてアスガーは犯人を刺激させることばかり考えつくのか。彼自身が犯した罪も、相当なもの。相棒に偽証を強いて裁判を乗り越え、ふたたび通常勤務に戻るつもりでいるとは・・・・・・。開いた口がふさがらない。この映画は、警察官の素質など一片もない人物が、誘拐事件をワンオペでミス誘導し続けたという話だ。いくら終盤でアスガーが罪悪感にさいなまれ、ようやく亡き19歳の少年に思いを馳せたとしても、そうは簡単に同情できかねる。  ただ、だからといってこの作品に見る価値がないかというと、そうは言いきれない。 一度も現場が映らないシチュエーションでありながら、観る者の想像力をあおって鮮やかに話を二転三転させる手法は素晴らしいし、何よりその、デンマークという国が・・・・・・言いにくいけれど、本当にこれくらい警察の法規がゆるゆるであるのなら、映画は嘘をつかずにリアルに撮影しただけ、ということになる。現地の警察官がこの映画を見て「面白い」と素直に思えるのなら、私があちこちで感じた違和感や驚いたシーンは、カルチャーショックというものなのだろう。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-12 01:26:18)(良:1票)
29.  日本の黒い夏 冤罪 《ネタバレ》 
なぜ高校生たちがテレビ局を取材するという形をとったか、わかる気がする。この事件は警察はもちろん、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ等あらゆる媒体が起こした冤罪事件なので、糾弾すべきプロのジャーナリストを設定することができなかったのだろう。唯一声を大にして批判できるのは、次の時代を担う未成年者だ。しかし、俳優陣はそのため子供たち相手に噛み砕いた口調でセリフを投じなければならず、大人対子供という見苦しい葛藤になるなど、どうしても迫力がそがれ、倫理か道徳の授業素材のような作品になってしまったのでは。だからこそ、高校生を配慮する必要のなかったラストの事件の再現シーンは、監督の本領発揮で、鳥肌が立つほど恐ろしかった。ただ、真犯人が公表された瞬間、冤罪に関わったジャーナリストたちの血の気の引いた表情を生々しくアップで写して欲しかった。自分たちの使命やら信念やら、全てが覆されたに等しい瞬間。自分の声や姿が、公共放送にのって個人を犯人に仕立て上げてきた。それはビデオ録画されれば一般家庭ですら記録として簡単に残ってしまう。現場の人間にとっては相当な恐怖だったろうと思うのに、この作品ではその痛手が弱かったように感じる。「赤信号、皆で渡れば怖くない」ではすまされない。マスコミや簡単に煽られる世間一般ともに、強く恥じ入らなければならなかった事件なのだから。
[DVD(邦画)] 5点(2009-09-28 19:26:50)(良:1票)
30.  フィフス・エレメント
観た直後はただただ呆れ返って、2か3と思っていたけど、一晩経って思い返してみたら、5点、いや7点でもいいかなと。ストーリーはメチャクチャなのに、出てきた全キャラクターが強烈に印象に残ってる。野生ネコのようなキレキレの動きをするミラがすごく可愛かったし、常にぎょろ目で喜怒哀楽を爆発させる黒人DJも最高に楽しかった。たった1日経っただけで、こんなに印象が変わる映画も珍しい。それにしても、私の中ではあの『グレート・ブルー』を撮った監督という神々しいイメージが、途中で崩壊しそうで大変だった。北野武に傾倒している外国人がビートたけしを知った衝撃って、こんな感じかしら?
[インターネット(吹替)] 7点(2017-08-05 11:12:48)(良:1票)
31.  ラスト サムライ
あちらの国の人たちが日本を愛してくれる気持ちはとても嬉しいのだけれど・・・・・・あまりにも日本を美化しすぎていて、気恥ずかしくて見ていられなかった。西洋風の上着、ズボン姿の官軍に、戦国時代の武士軍団なんて・・・・・・真田さんなんてバイキングかと思うようないかつい兜かぶってるし(涙)、あまりにもミスマッチで、逆に「侍」の時代錯誤っぽいダサさが目に付いて辛かった。ふつうの時代劇を見ている方がリラックスできたかも。強引に「武士道」に感動させようという狙いが強すぎて、かえってこちらは引いてしまった。昔見た「将軍」という三船敏郎のドラマが懐かしい。
[DVD(字幕)] 3点(2009-04-13 15:30:11)(良:1票)
32.  最強のふたり 《ネタバレ》 
「アルプスの少女ハイジ」と同じタイプの作品だと思った。はた目からは全くうまくいきそうに見えない2人が、実は呼吸がぴったりで、一度離れて改めて再会し、互いの絆をいっそう深めるというパターン。私はこの手の感動ものにとても弱い。 ドリスの笑顔もいいが、首から下が動かない重度の障害を負いながら、心の底から嬉しそうに口を開けて笑うフィリップがなんとも微笑ましい。笑顔が笑顔を引き寄せる引力のすがすがしさにあふれた佳作。最後の方で、ひげをおもちゃにするアイデアには脱帽した。  それに考えてみたらこの2人、一度も深刻な喧嘩やいざこざのシーンがなかった。凹凸の凹に凸がぴったり合わさって、誰もつけ入るような隙のない最強の「□」になった感じ。原題はIntouchable(最強のふたり)だが、 Untoucthable でも通るかも。この絆はうらやましすぎる。
[映画館(字幕)] 8点(2012-10-31 20:09:08)(良:1票)
33.  ニコラス・ケイジの ウェザーマン 《ネタバレ》 
主人公は気が小さいために細かいことにこだわりすぎて、かんしゃくもち。しかし彼は自分の家族も父も、つまりメインキャラクターを全員深く愛している。決して自分1人だけでなく「皆で幸せになろう」と必死でもがいている不器用な彼がいじらしい。家族なしで大金を得ても仕方がない、という彼の価値観もほほえましい。実際、人生は予想のつかない天気予報のようなものだ。誤報だろうが当たろうが、結局人間は生きていくしかない。しかし主人公の父親の葬儀のシーンを見ると、少なくとも「人生はクソだ」とは思えない。ほろ苦い、微妙な人生観を皮肉とユーモアでつづった、主旨のぶれないいい映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-27 09:23:02)(良:1票)
34.  スノーホワイト(2012) 《ネタバレ》 
醜いものにも、弱いものにも、どんな立場の相手にも優しく情け深いスノーが好きだった。死にゆく小人をいたわる彼女を見ていると癒された。この辺がもしかしてナウシカ? しかし甦った暁に大衆を前にして大演説をするシーンはどん引き。あまりにもお約束すぎて恥ずかしい。甦ったら、その姿は神性を帯びていて、本人が直々に演説ぶるまでもなく、おのずと大衆が「エイエイオー!」とならなきゃおかしいでしょ。ナウシカがよみがえったとき、金色の野から民に向かって 「皆さん、腐海を大切にしましょう!」 と鼓舞したら余韻台無し、目も当てられないよね。でも、お色気シーンはほとんどないし、子供向けの作品だとしたら、安心して親子で楽しめる作品なのでは。
[DVD(吹替)] 6点(2012-12-29 00:07:53)(良:1票)
35.  ブタがいた教室 《ネタバレ》 
動物好きの小学生相手に、哺乳類に「名前をつけるな」というのは、まず無理なんじゃないかと。中学生でも無理な気がする。高校生なら、なんとか名前なしで、家畜としての哺乳類を世話できるかも。  ペットとして育ててしまった豚を、食べる、食べないと論争になってしまった。それでいいじゃないかと私は思う。もし家畜として育てたのなら、そもそもこんな論争になっていない。花火大会に豚を連れ出したりしないし、楽しい思い出をわざわざクラス単位で作る必要もない。教師だって、それを許さずに「餌やりと掃除だけしなさい」と命じなければならない。それで、本当に食育になるのだろうか。いや、食育以前の問題だと思う。「命」という概念を、これだけ真剣に子供たちが自発的に考えることができたのは、名前をつけて、愛情をかけて、一生懸命に育てたブタを、名づけ親である自分たちが、殺さなければならないから。このことの、何が間違っているのだろう。現実に、子供たちは、Pちゃんの命に責任を持つことで、命の重さ、尊さを、いやというほど学んだ。3年生に世話を委ねようとしたり、反対意見を言う相手に全身でぶつかっていったり、失敗、希望、挫折を、何度も何度も繰り返した。その悩みの深さ、出口の見えないしんどい思いを、半年近くも引きずってきた。社会人顔負けの悩みっぷりだ。その半年間で、彼らがどれほど精神的に成長したことか。ブタを飼育せずに過ごした無難な小学生ライフと比べて?  人や動物を問わず、救うことができない命があるという不条理な真実を、彼らは苦しみながらもしっかり学んだ。  また、Pちゃんがブタだったからよかったのだ。魚釣りでは、完全にエンターテインメントになってしまうし、ふだん私たちが食べない(食べる国もあるけれど)犬や猫なら、そもそも命を奪うわけにはいかない。人が食べる動物を、「可哀そうだ」と言って通らない残酷な世界があることに、子供たちは気づかなければならない。そこを乗り越えないと、感謝して命をいただき大切に生きる、ということが理解できないし、謙虚な心が生まれない。この作品では、どの子供たちもPちゃんの短い命を思って涙を流した。いっぱい泣いて、他者が受ける痛みを肌で感じて、子供たちは強くなればいい。
[インターネット(邦画)] 9点(2019-03-30 00:21:40)(良:1票)
36.  ブリッツ 《ネタバレ》 
皆さんの評が低いのでびっくり。面白かったけどなあ。粗暴で、喧嘩っ早く、眼付きの鋭い暴力刑事は、基本的に同性にはやりたい放題無作法を押し通すのに(タレこみ屋やバーテンダーなど)、女性には一様に穏やかなまなざしを向ける。相棒になるゲイのナッシュにも、一度としてすごんだりせず、まあまあ普通に話をし、拍子抜けするほどすんなりコンビを組む。それが、ひとたび悪党を相手にすると、手の付けられない野獣と化す。そのギャップが面白かった。  ブラントは上司には持て余されていたかもしれないが、クレイグといいロバーツといい、署内では意外にもそこそこ良好な人間関係を結んでいる。最も印象的だったのは、ワイスを釈放するシーン。署員たちが横一列にずらっと並ぶど真ん中に、ぎらぎらとしたオーラを放つブラントが立っていた。粗暴で不器用かもしれないが、彼は仲間たちを誇りに思っている。そして署員たちも、お荷物になりがちなこの暴力刑事を決して否定していない。彼らのあの一体感は、途方もなくかっこよかった。  ワイスを捕獲するときもブラントは寸でのところで仲間に制止をかけられたし、釈放もせざるを得なかった。彼の鬱憤はたまるばかり。だからこそワイスのラストは大体ああなるだろうなという予想はしていた。ただ、白になったワイスの幸運を逆手にとるしたたかさには驚いた。一見真面目そうなナッシュも、一応キレた過去を持つ男。なるほど、ブラントと息が合うはずだ。  また、舞台が舞台だけに、イングランドやアイルランドの事情も少しは関係あるかもしれない。人種の微妙なニュアンスは、日本人としては感じ取るのが難しい。  細かいつっこみどころはたくさんあるけれど、「持つのは鉛筆じゃねえ」など、ブラントの骨太のセリフがいちいちかっこいいし、ロケ地も見ていて楽しかった。ドアを開けると、下に降りる階段があり、意外に奥行きの広いフラットの部屋の様子も、労働階級と中流階級の各部屋の違いも、石造りのモノクロのロンドンの街なかで、真っ赤なダブルデッカーがさっと通り過ぎる様子などなど、見どころがたくさんあった。もう一度見てみたい。
[インターネット(字幕)] 8点(2018-08-11 00:16:50)(良:1票)
37.  悪人 《ネタバレ》 
逃亡者の2人は浅はかすぎて、とても同情できない。ろくに知りもしない女の子を追い回したあげく、罵られて殺害、遺体を路上から投げ落としてるし、女性は出会い系サイトの男性と当日ホテル入り。すごい若者たちだ! どれほど寂しかったか知らないが、理性がなさすぎ。光代はストックホルム症候群に陥っていたのかもしれないが、本能のおもむくまま行動し、社会に多大な迷惑をかけたことを考ると、「(私たちって)悪人ですか?」 と問われれば 「甘ったれるな!」 と怒鳴りつけてやりたい。(悪人というか愚か者だよ) また、どうして灯台やら、朝日やら、ロマンティックな演出で彼らを美化しなければならないのか。いっそう彼らのひ弱さ、未成熟さが強調されてしまうのに。恋人を逃避行者にさせないため、警官たちが乱入するタイミングで祐一がわざと光代を襲ったのは上出来だけど、さっさと自首していれば、それこそ光代は無傷で済んだのだ。彼らの不器用さが感動を呼ぶのかもしれないけれど、「もうちょっとシャンとしろよ!」 といらいらしてしまうのは私だけ?
[DVD(邦画)] 3点(2011-05-21 14:31:06)(良:1票)
38.  LAMB/ラム 《ネタバレ》 
シープではなくタイトルが「ラム」。子羊に焦点を当てるとなればキリスト教絡みかと思ったが、アイスランドの広大なロケーションを見ていると、宗教色というよりお国柄の生業(牧畜業)として素直に見ればいいかと思えた。 (ただ、出産シーンがそうとも言い切れないのが、かなり不気味) それにしても、セリフの少ないこの映画、見る側の想像力をすごく刺激してくれる。 まず第一に、ホワイトアウトから次第に視界がぼんやり開けたかと思うと、雪の大地に群がった野生の馬たちが、急に何かに怯えたように進路方向を変えて一斉に逃げ出してしまう。 次に、マリアたちの牧羊小屋が開き、何者かが入り込んだ気配を残し、やがて1頭の羊が囲いからよろよろと出てきて床に倒れてしまう。 そのお腹は大きく膨らんでいるから、妊娠しているメスだとすぐにわかる。 映画を全部見終えてからこれら冒頭シーンを見返して、初めてこれが異常な妊娠なのだとわかった。 何者かに交わった直後に臨月なんて、どう考えてもおかしい。 主人公の夫婦は、未来よりも現在と過去にこだわっていて、アダが生まれたとき、夫は組み立てられたままのベビーベッドを出してくる。 ということは、彼らの間には、事故か何かで幼いまま亡くなった子供がいたことがわかる。 子供部屋には、形の整った水鳥の絵が壁に貼られていたから、子供はそういうものを描けるくらいには成長していた。 つまり、セーターを着込んだアダと同じくらいの年かさの子か。 マリアはアダを呼ぶ母羊を毛嫌いし、家からアダを連れ出した(ように見える)その羊を、ついには殺してしまう。 この罪が非常に重い。何と彼女は羊の毛を刈ることも食用の肉にすることもなく、地中に埋めてしまう。 牧羊主としてはおよそ似つかわしくない行為で、病気でもない、子供を産むことができる若い牝羊を無駄に殺す。 それは、嫉妬や憎悪をはじめとするエゴによるもの。もし彼女が母羊とアダを触れ合わせていたら、また違う人生を歩めたかもしれない。 アダの父に当たる半獣人は、牧舎の周辺から離れず、夫婦やアダの様子を気づかれないよう遠巻きに伺っている。 彼が猫ではなく犬を殺したのは、吠えながら羊を追う牧羊犬への恨みかもしれない。 夫の弟が運転していたトラクターの調子が悪くなったのは、夫とアダをおびき寄せるために彼が細工をしたのかもしれない。 彼がマリアではなく夫を殺したのは、広大なアイスランドの牧羊地に彼女1人を取り残し、残酷な孤独を味わわせるためだったのかもしれない。 マリアが夫の死を看取った後、自分の腹を見て、天をあおぎ、ふらっとよろめいたのは、 自分の腹に死んでしまった夫の忘れ形見が宿っていないか希望を抱き、その儚い可能性に絶望したのかもしれない。 しかし、万一自分の腹から生まれる子供が半獣人だったとしたら、彼女は素直に喜び、その子を愛せるのだろうか・・・・・・。 などなど、感じたことをそのまま書き連ねたら、こんな感じになってしまった。 ただ、ストーリーには直接関係ないいろんな点にも興味をひかれた。 まず、冒頭でラジオが「クリスマス」と言っている。 このタイミングは、牝羊がアダを孕んだ直後で、どうにも雰囲気がヤバい。イエス・キリストも聖母マリアの異常な受胎によって家畜小屋で生まれたのだから。脚本家は、救い主級の純粋無垢なラムが宿ったということにしたかったのかもしれない。しかし、私のもっと大きな疑問はそんなことよりも、 年末に近いアイスランドで、どうして登場人物たちはそんな薄着でいられるのか!? ということ。 牧舎も自宅も、木と石で造られていて隙間だらけ! しかも暖房がガンガン効いているようにも感じられない。信じられない・・・。 素手で羊の出産に携わっている彼らの手には、あかぎれ一つない。雪の降らない日本の県に住んで食器を洗うだけで手荒れする私って一体・・・。 またタイル張りの浴槽がすごくきれい! 白い目地にカビひとつ生えてないってすごすぎる。 (もしやアイスランドの冷え切った大気にはカビが生える余地などないのか!?) 夫婦と夫の弟がテレビでスポーツ観戦をしているとき、アイスランドチームがデンマークに敗れてショックを受けているのも面白かった。 アイスランドがかつてデンマークの支配下にあったこともあって、国同士でライバル意識が相当高そう。 最後に、聞き覚えのあるクラシカルな音楽が流れてきて、「このメロディ、なんていう曲だったかな」とかなり考えて、やっとわかった。 クラシックじゃなくて、『風の谷のナウシカ』のレクイエムにそっくり。ラン、ララランのパートから別のメロディに変わるので、なかなかぴんとこなかった。 でも、物語の終盤の余韻は、まさにレクイエム・・・・・・。
[インターネット(字幕)] 9点(2023-01-25 01:47:57)(良:1票)
39.  アポロ13
この映画でトム・ハンクスの魅力に痺れ、一気にファンに。感想など一口に述べられない。とりわけあんな怖い状況は想像だに恐ろしい。暗い宇宙にたった三人だけが存在し、狭くて氷のような空間に閉じ込められて、酸素と水と二酸化炭素に苦しめられる・・・・・・人類の叡智を絞りつくして造られた宇宙船の中で、こんなシンプルな元素を相手に格闘しなきゃならなかったなんて皮肉としかいいようが・・・・・・。船の中では人間は生存するために、物理的に最低必要なものとは何かをつきつけられる。その厳しさに言葉もなかった。とにかく鑑賞中は閉所恐怖症になりそうだった。
10点(2003-12-17 22:19:30)(良:1票)
40.  ロケットマン
エルトンの楽曲を映画館で思う存分聞けると単純に楽しみにしていたが、まさかこんなにハンカチがぐしょぐしょになるとは思わなかった。思春期の息子と意思疎通がうまくいかなかった頃のことを思い出しながら鑑賞していたせいかもしれない。レジ―、あるいはエルトンが、両親の心ない言葉に深く傷つき、寂しさに打ちひしがれている様子が映るたび、わけもわからず泣けてきた。彼がど派手な衣装を身に付ける理由が初めて理解できたような気がする。主演のタロン・エガートンの歌もすごく上手かったけれど、長年彼の歌をCDがすり減るまで聞きまくってきただけに、途中から本人の歌声が聞きたくてたまらなくなって閉口した。家に帰ると、すでに成人して仕事にも就いている息子に無性に会いたくなった。  (タロンの2本の前歯の間にわずかに隙間があったけれど、あれはもしかしてエルトンに似せてわざと広げたとか?)
[映画館(字幕)] 10点(2019-09-05 00:13:43)(良:1票)

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