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プロフィール
コメント数 258
性別 男性
年齢 35歳
自己紹介 <尊敬するクリエイター>
ヴィム・ヴェンダース、ニック・パーク、藤子・F・不二雄、冨樫義博

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評価順12
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1.  シン・シティ
本作は演出のスタイリッシュばかりが注目されるが、「ハード・グッドバイ」と「イエローバスタード」は紛れも無く不器用な男たちの切ないラブストーリーだということに注意して欲しい。前者では、不器用だが、純粋な大男マーヴが名前も知らない女性の愛のために復讐を誓い、そして散っていく(準備を整えてリベンジ!という設定が面白い)。後者のエピソードは被害者の少女と老刑事の恋である。しかし、2人の関係は犯罪によって始まり、犯罪によって終わりを告げる。ラストは老刑事の哀愁をも感じさせて素晴らしい。一方、「ビッグ・ファット・キル」はギャング映画のようでラブ・ストーリーの面白みはない。しかし、これだけ奥の深いストーリーを扱っていながら、娯楽映画としても非常に完成度が高いのが本作の憎いところである。ある意味、オタク監督ロドリゲスでなければ撮れなかっただろう。ストーリーはもちろん、1カット、1カットまで原作に(タラのパートですら)忠実に作られており、フィルム・ノワールの影響を受けた原作の雰囲気は十二分に再現できていると言っていい(ラストはオリジナル)。とくにオープニングとそれに続く原画の流れるタイトル・クレジットだけでもゾクゾクするようなスタイリッシュさだ。オタク監督は個性派俳優を使わせるとベテラン監督以上にその個性を引き出せるのだ。本作では各エピソードの主役のM・ロークは粗野、C・オーウェンはとにかくクール、B・ウィリスは渋く、頼れるキャラを好演し、J・アルバは妖艶、B・デル・トロ、E・ウッドはまさに怪演である。エピソードの配置は「パルプ・フィクション」を髣髴とさせ、これまた絶妙だ。「ビッグ・ファット・キル」は、まさにサービス満載で、そういった意味ではこれがR・ロドリゲス監督の本領発揮であり、一番映画化に適したエピソードだったのかもしれない。つまり、娯楽要素はB・F・K>H・G>Y・Bなのだが、ドラマでは逆になっているのである。ドラマにおいては「パルプ・フィクション」のような娯楽面を押し出した映画とは一線を画している。本作は間違いなくロドリゲスの最高傑作だろう。これからはハードボイルドな雰囲気、登場人物には「F・ミラー的」という言葉を使いたい。ちなみに、初見はスタイリッシュさに酔いしれ、2度目はストーリーに注目する、という見方をお勧めする。続編にも期待したい。本当はもっと書きたいが、字数制限が
[映画館(字幕)] 10点(2005-07-29 14:49:38)(良:3票)
2.  バイオハザードII アポカリプス
前作よりもストーリーはずっとゲームに近く、「バイオ1」が前置き的な作品だった事がよくわかりました。監督が変わるとここまで作品の雰囲気が違っちゃうんですねぇ。前作ほどエキゾチックさも近未来感もなくなっていました。脚本の方は「ブレインデッド」、「エイリアン4」などのモンスター映画やゲームのパロディを周到しつつ、次々に舞台や敵クリーチャーを変えて楽しめる展開にしています。特にネメシスからの逃亡劇はすごかったです。ただ、監督の方はというとせっかくアクションの見せ場をたくさん作っているのにそれが活かしきれていない気がしました。皆さんの言われているとおり、アクションシーンのカット割が見づらかったです(ネメシスとアリスの格闘シーンは最悪)。それに映画の雰囲気自体は前作のほうが良く出ていたと思いました。例えば、前作では登場人物の意外な事実とかそういうことが判明するシーンが多かったのに、この映画ではほとんどなかった。やっぱりアンダーソン監督に・・・それは無理でも「ドーン・オブ・ザ・デッド」のザック・スナイダー監督にやってほしかった。ネメシスのクリーチャーにおいては完全に満足です。あと、ジル役の人の演技もゲームどおりで緊張感が伝わってよかったです。でも、やっぱり完成度を1作目と比べるとそれより点を低くせざるを得ません。
[映画館(字幕)] 6点(2004-09-05 12:36:42)(良:3票)
3.  トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 
あの完璧な完結編からどのような続編を作るのだろうと疑問でしたが、なんと・・・! 旧シリーズに無い新たな価値観を吹き込んだどころか、ここからさらに新シリーズを展開出来そうな非常に大胆な1作でした。  これまでは持ち主との関係性が作品のテーマでしたが、本作ではその子供部屋主体の世界観から飛び出し文字通り外の世界へと足を踏み出していきます。 それも前作でリストラされてしまったボーが提起するというところもポイント。 前作では持ち主に捨てられてしまったおもちゃが悪役として登場したのに対し、本作では子供に忘れ去られたおもちゃに救済を与えたことで前作で不遇だったおもちゃ達に誠実に応えてみせます。 これこそがピクサーの懐の深さでしょう。  完結したかに思えたシリーズから一転、新展開をも予想される一作が。 今後、続編が製作されることがあるのかに注目したいと思います。
[映画館(吹替)] 9点(2019-07-13 20:13:56)(良:2票)
4.  三十四丁目の奇蹟(1947)
これはただのファンタジーとは言えないほど深いメッセージを持っている映画です。サンタクロースを信じないということだけでなく、夢を持つ事のなくなってしまった近代社会の人々に警鐘を鳴らしている映画ともいえるでしょう。クリスはそんな人々に「クリスマスは日付ではなく心です。」と教えます。子どもらしさを失いかけたスーザンのような子どもたちは喜びすらも忘れてしまっているのではないでしょうか。クリスがスーザンに子どもらしさを取り戻させる「教育」をし、希望を持つ事を教える事によって、母親のドリスも成長し、ラストの奇跡でスーザンにこれまでにないような大きな喜びを与える事ができたのでしょう。でも、クリスの行為が商業的に捉えられたりするのが笑うに笑えないシーンでしたけどね。メイシー社とギンベル社の社長が医療機器の値段を張り合った後の2人の笑いのシーンはかなり重要でした(あれがないと気まずい雰囲気になる)。クリス役のE・グウェンはアメリカの良心とも言える「サンタ」を生き生きと演じていました。N・ウッドとの共演がその証拠です。スーザン役のN・ウッドもませた感じの演技がなかなかよかったです。冒頭で「去年のサンタよりはマシだわ。」というシーンが彼女がサンタをアニメみたいにしか思っていないことをうまく表現していました。もうちょっとクリスが他の子どもたちにも人気である事を示すシーンや、ドリスとフレッドの恋愛の過程を描いて欲しかった気もしますが、私にとっては本当に印象深い作品でした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2004-11-05 23:02:16)(良:2票)
5.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
アントワーヌの姿に自分を置き換えて見ることができました。この映画は反抗期を迎えた少年とその少年の行動を理解しきれない大人たちの姿をどことなく曖昧なリアリティをもたせて描いた作品だと思います。題名とあらすじからもうちょっと極端な話かと思えば、実際にはドキュメンタリーとしても見られる作風でした。主人公のアントワーヌは中高生の不良少年の典型と比べてもそれほど悪い少年ではありません。家に帰れば、食事の準備もし、宿題もやろうとはします。友人と学校をサボった後も、「次の日は学校に行く」と言うほどの真面目な面も残っています。ただ、周りの大人が彼を悪い見方でしか捉えないだけなのです。学校の先生は彼がイタズラをしてもただ体罰を与えるだけです。アントワーヌが完全にすくいようのない子供でなかったのと同様に、周囲の大人も父親など悪い人ばかりではないのですが、彼を理解しようとする一方で分かり合おうとする時間が取れないのです。そんな彼を理解するのはやはりルネや感化院の子どもたちだけでした。彼はそんな世界から何とか抜け出そうと何度も家出を試み、最後に成功したとき彼は憧れの海辺を前にわずかな希望を得る、と言う見方ができると思います。母親の中盤での豹変振りは理解に苦しむところでしたが、感化院での様子を見て彼女はやさしく接していれば問題は起こらないだろうという安直な考えを持っていたのだろうと思いました。それと見ている最中に当時のフランスの色々な事がわかりました。それにしても感化院まで少年に体罰を与えるなんて・・・ 再犯に走る少年はどれくらいいたのでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2004-11-10 18:32:23)(良:2票)
6.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 
この映画で泣かされるなんて思ってもみなかったなぁ。前半のクライマックス(漫画ではラストにあたる部分)で既にウルウル状態だったけど、ラストでのび太を尻目に仲間のところに行くピー助を切なげに送り出すのび太を見た瞬間から胸が一杯になった。オープニング、カメラワーク、笑いの取りかた、全てが新鮮でたしかに藤子先生の世界観とは異なるけど、そこが逆にシリーズを一新しようとした意欲が見えて好感が持てたし、ドラえもんは前よりも精神年齢が低くなって役立たずになったという点についても、その分のび太がドラえもんに安易に助けを求めすぎるクドさが無くなって個人的には見やすかった。今回のスタッフ総入れ替えは良い結果をもたらしたと思う。アクションシーンが一層贅沢になる一方でタケコプターのシーンの爽快感、友達との葛藤のドラマなど見せ場を丁寧に押さえているし、最後に目的地まで「歩いて」いくシーンも素直に上手いと思った。この映画を見る限りでは渡辺監督は相当なロマンチストなんだなぁ。80年版もずっと前に見たけど、漫画のほうが印象に残っていた自分としては、今更ながらのび太がピー助にちゃんと別れを告げられて本当によかった。とても印象に残った映画なので今回はおまけして8点のところを9点にさせていただきます。ただ、最後に。オマケのドラえもん、「あたたかい目」してないぞ!(笑)
[映画館(邦画)] 9点(2006-04-04 19:26:15)(良:2票)
7.  GODZILLA ゴジラ(1998)
和製ゴジラに全く思い入れが無いのでそれなりに楽しめた。単純に「巨大な恐竜、ニューヨークに現る」というプロットで見れば「ロスト・ワールド」より出来はずっといい。とくにマディソン・スクエア・ガーデンでの逃走劇は建物の構造をうまく利用しているし、随所のユーモアも利いている。核実験の責任をフランスに押し付けたり、ヒロインがずうずうしいのは問題だが、エメリッヒがアメリカの軍隊を馬鹿にしたのはある意味貴重だったと思う。それからゴジラファンに言いたいが、最近の東宝の作るゴジラよりもつまらないと断言できるのか?
[地上波(吹替)] 7点(2005-08-22 20:30:23)(良:1票)
8.  シッピング・ニュース
やたらと評判が悪いが、ストーリーはむしろ非常に良くできている。最初、ハルストレムは本作の映画化を断ったというが、悩みを抱えた主人公が自分の居場所を見出す、というハルストレム作品の共通点はちゃんと存在しており、本作の原作は全く隙を感じさせない。主人公たちは皆心に傷を抱え込んでいるが、後半に進むにつれてその問題が上手く解消されていく。さらにエピソードの重ね方も効果的でラストで一家の悩みの象徴だった家が消えるシーンでは自然と前向き感が残る。こういった筋運びの上手さは「ギルバート・グレイプ」を彷彿とさせるところがある。キャスティングも上手く、ケビン・スペイシーの情けなさ加減や、ジュディ・ディンチの力強さは絶妙だった。だが、わざわざ映画にする必要があったのかと言うと微妙な感じである。それまでのハルストレム作品と違って見せ場があまりなかったのが問題だったのかもしれない。しかし、本作を失敗作と決め付けてしまうのは酷ではないだろうか。一つ一つのエピソードの関連性にもっと注意して観て欲しい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-02 19:23:25)(良:1票)
9.  ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
これまで見たアニメでは傑作中の傑作です。グルミットの表情の豊かさと独特のユーモアも良いですが、わずか30分映画にサスペンス映画のツボを押さえた演出を見せた監督には拍手を送りたいです。とくにゴミ箱に隠れたグルミットに近づくシーンやダイヤを盗むシーンの緊張感は実写映画にも勝るほどだと思います。ラストの列車追跡シーンは間違いなく映画史に残るスピードアクションでしょう。2,3回は見直して気付いて欲しい小ネタが多いのもすごいところ。この映画を酷評する人とは友達になれないと思います。
[地上波(吹替)] 10点(2004-09-15 23:11:06)(良:1票)
10.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
冒頭から一気に引き込まれました。伏線の張り方とか、カメラワークや構成が本当にうまいです。しかも、ただ淡々とギャングの日常を描いているだけじゃなくて、ブスカペやベネの友情やリトル・ゼの孤独、善人がどんな風に悪人に変貌するのかもちゃんと描いているところがいい。結局、ラストのあの悪ガキたちも粋がっているくせして、はた目から見ればただのチンピラに過ぎない、ってところが前半とシンクロすると思う。
[DVD(字幕)] 9点(2004-07-15 12:22:17)(良:1票)
11.  シンデレラマン
「ミリオンダラー・ベイビー」同様アイルランド人のボクサーもの、ということで公開時期が悪かった気もするが(こっちのほうがずっとお金がかかってるし)、出来はそこそこいいほうだと思う。毎回ソツのない演出を見せるロン・ハワードが今回は年代を感じさせる映像を見せ、貧窮生活から立ち直ろうとするブラドックに熱狂した大恐慌時代の人々の気持ちは十分に伝わってきた(33年頃って言うとキング・コングを思い出すなぁ)。ボクシングシーンも臨場感があって素晴らしく、ラッセル・クロウの演技もオスカー俳優の名に恥じない好演ぶり。ポール・ジアマッティもなかなかいい味を出している。 だが、残念ながらいい事尽くめというわけでもない。ストーリー自体はややありきたりなだけに、メエの人物描写が一面的でキャラに深みがなく、彼女に共感しづらい。レニー・ゼルウィガーの力演が一歩間違うと印象に残りにくいこの役を救っているはいるが、家族愛をメインにするならこの点は何とかしてほしかった。そもそも家族を尊重する父親という設定自体ありきたりなのだから。マイクの存在が後半忘れ去られてしまうのも問題だろう。8点か7点か迷ったけど、とりあえずこの点数。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-25 01:39:55)(良:1票)
12.  さすらい(1976)
この映画を見て以来、ヨーロッパ映画を景色に注目しながら見るようになった。ロード・ムービー3部作の最終章にして間違いなくロード・ムービーの一つの到達点だろう。これはもう映画の中の時間に身を任せてゆったりと見るべき映画。一度その流れに乗せられると終わるのが非常に勿体無く思えるこの感覚は映画でしか体験できない。製作は脚本よりも撮影重視だったというが、それは芸術家が一度は抱く夢ではないだろうか(この後、小説の映画化である「アメリカの友人」を撮るが)。これ一作あればヴェンダースは誰にも嫉妬する必要が無い、そう思える映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-28 22:39:46)(良:1票)
13.  太陽に灼かれて
ロシア映画は初めてですがこれは名作だと思います。話自体は非常にゆったり進みますが、最後まで退屈せずに見られました。前半部でコトフ大佐とその家族の生活が美しい風景の中で牧歌的に描かれ戦車や戦闘訓練すらも村人は淡々と捉えています。しかし、後半でミーチャの正体が明らかになるにつれ画面に緊張感が漂ってきました。劇中に登場する巨大な気球と火の玉(偽りの太陽)が彼らを陥れる政治の影のメタファーになっているのだと思います。前半で登場する運転手をラストに持ってくるのもそういったコントラストを明示しているのでしょう。ラストはいつまでも余韻を残します。前半部は役者の演技でまとめていますが、特にナージャは映画に明るさをもたらす意味で「都会のアリス」のアリス同様、魅力的なキャラクターでした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2004-12-15 17:01:13)(良:1票)
14.  サイコ(1998)
作品の出来どうこうの前になぜG・V・サント監督がこんな映画を撮ったのか理解に苦しむ。制作会社に依頼されたのならともかく、自分で製作まで担当しているところが謎を深める。考えられるのはあの名作を現代に甦らそうとして、結局オリジナルに指一本触れられなかったということだろう(ヒッチコックの登場はパロディにしか見えないが)。しかし、そもそもオリジナルに全く欠点がなかったかと言えばそうでないのが痛かった。特に前半の妙に冗長な展開は現代におけるリメイクとしては致命的だ。シャワーシーンもオリジナルにも感じられたあざとさが目に付き(ザクザク刺されているのに妙に元気)、ミイラのシーンも今となってはホラーの二番煎じに見えてしまう。ラストで出てくる精神科医も説明的過ぎて不自然(ロバート・フォスターの登場は嬉しかったが)。キャスティングにしてもアン・ヘッシュの妹がジュリアン・ムーアという設定は何とかならなかったのか。結果としては特に目新しくも無い凡作映画に成り果てた感じである。ただ、Pewter Allさんのようにオリジナルを隅から隅まで知り尽くしている人にとっては時間、ヒッチコックなど細かいところまで再現したこの作品はある意味高尚なパロディとして楽しめる可能性はある。思いつきの企画でラジー賞をとってしまった監督に同情はするが、5点。
[地上波(吹替)] 5点(2005-06-09 23:45:10)(良:1票)
15.  バイオハザード(2001) 《ネタバレ》 
この映画を見た頃はホラー映画を毛嫌いしてて、ただ偶然WOWOWをただで見られるチャンスだったので見ただけなのですが、そこそこ楽しめました。とにかく研究所と主人公たちの置かれている設定が斬新で近未来的な映像も光っています。少しばかり散漫なストーリーや、ゾンビ映画としての魅力の薄さはありましたが、ゾンビ犬の登場などゲームに似たシーンが多かったし、子どもの声をしたマザーコンピューターも異質な雰囲気をかもし出してて良かったです。なにより、特筆すべきはこれだけの低予算でこれだけ優れたSF描写を可能にした事ではないでしょうか。カーペンター監督と比べると、内容よりも見せ方に工夫をした映画、といった方がいいでしょう。青い研究所などに近未来的な清潔感があってとても美しかったです。冒頭のウィルスの箱詰めとクイーンが研究員を殺すシーンなどで一気に引き込まれました。冒頭とラストのBGMも冷たい感じでお気に入りです。でも、レーザーの部屋で生き残りそうだった隊長まで死んだり、解毒剤が効かなかったりと、そういうところは救いようのない作りに出来てはいるのですが、ちょっと気に入りませんでした。それとスーパーリッカー、これはとても良かったです。CGのチープな質感はこういうクリーチャーの不気味さを出すのに最も貢献できるのではないでしょうか。ゲームファンにはリッカーがボスキャラになるのは意外でしょうが、こういう異質な映画のボスキャラとしては最適でした。ゲームの映画化としては十分合格レベルです。 補足 この映画はバイオ2の前振りですが、こちらの方が何度も見たくなる映画です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2004-08-23 22:08:38)(良:1票)
16.  ラブ・アクチュアリー
久々に見た後に最高の気分になれる映画に出会えました。19人も登場人物がいる割にはごちゃごちゃした印象は受けず、音楽で各エピソードをつなぎ合わせ、ラストで冒頭の空港に持っていく演出が秀逸でした。さすがに、ジョンとジュディのエピソードは印象が薄く、コリンの話は無理がありすぎる(てっきり犯罪かと思ったほど)などの問題点もありますが、雰囲気的に浮いたエピソードはなく、どれも話としてリアリティがありました(どれかのエピソードに当てはまる人も多いのでは?)。リーアム・ニーソンとエマ・トンプソンの演技も良いですが、久々に情けない役をやっていたアラン・リックマンも印象的です(「ブリジット・ジョーンズ~」のカーティス監督だからか、ヒュー・グラントとコリン・ファースが出ている)。でもそれ以上にこの映画はラストの爽快さに尽きます。ジェイミーやデヴィッドのエピソードなどの舞台設定が秀逸で微笑ましく、ヒースロー空港の人々の出会いで画面を占めるラストシーンで最後まで余韻に浸れました。本当は10点をつけたいところですが、不要なエピソードも考え9点です。
[DVD(字幕)] 9点(2004-12-28 02:52:59)(良:1票)
17.  ブラックホーク・ダウン 《ネタバレ》 
実話を基にしているが、その内容が任務の失敗であるという事が他の戦争映画とは一線を画している。つまり、彼らが戦うのは政治的な目的ではなく、あくまでも生存するためなのである。この映画がテーマにしているものは特定の戦争ではなく、戦争そのものという捉え方ができるだろう。そういった理由により映画は兵士たちの視点を元に描かれ、リドリー・スコットの演出により恐ろしいまでの戦場の臨場感を出している。しかし、元を正せば任務が存在しなければやる必要のなかった「意味のない戦争」とも捉えられる。それらの点を考えればこの映画はアメリカ批判ともとれるのではないだろうか。批判すべきは生き残りを賭けていた兵士ではなく、任務そのものとして。しかし、だからこそラストのセリフは制作会社に横槍を入れられたような蛇足なセリフに思えて仕方がない。あれのせいで批判の全てが台無しになってしまうのだ。あれさえなければもうちょっと高くしても良かった。監督は尊敬するが、バーホーベン監督みたいに「アメリカ」に迎合しないようになってほしい。
[地上波(吹替)] 7点(2004-12-21 16:42:05)(良:1票)
18.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
マイ・ベスト映画です。あれだけ縦横無尽に展開する原作を簡潔にまとめた脚本もすごいですが、原作の世界観を見事なまでに映像化したフィンチャーの手腕にも脱帽物です。じつは主人公の本名は一切不明なのですが、その事にあえて違和感を感じさせず衝撃のラストに持っていく演出が非常にうまいです。話の内容は日常に生きている実感を感じられない主人公とそんな彼の分身ともいえるマーラと彼とは対照的なタイラーの三者から成り立っていますが、後半で主人公がマーラを好きになったのは自分の悪い面を素直に受け入れられるようになったという事でしょう。さらに、この映画で大切なのは暴力をシニカルに描いている事。主人公がファイト・クラブで快感を得られたのは暴力を「受ける」ことによって生きている実感を感じられたからであり、その後「エンジェル・フェイス」を殴ったときはそれまでの快感を感じてはいなかった事に注目して欲しいです。結局大切なのは暴力の矛先が他者に向く無意味さであったのではないでしょうか。そして、絶望的でありながら主人公にとってはハッピーな微妙なラストがまたいいです。結局ラストで主人公は本当の生きている実感を得て死んでしまう、というオチと捉えられるのだと思います。ノートンとブラピの演技も最高で最後まで映画の世界に引き込まれました。
[地上波(吹替)] 10点(2004-06-17 19:47:24)(良:1票)
19.  バットマン ビギンズ
原作ファンには不評だが、本作はまさに「映画版バットマン」と呼ぶのにもっともふさわしい映画ではないだろうか。徹底したリアリティにより旧シリーズと差別化を図り、ダークヒーロー、バットマンから映画的な魅力を引き出している。主人公の精神的な葛藤はもちろんだが、やはりゴッサムシティの陰鬱な美しさが素晴らしい。レイチェルが車を運転してゴッサムの地下都市を見せるところなんかはゾクッとする演出だ。ブルースが洞窟でこうもりに対する恐怖を乗り越えるシーンなど、全体的に暗い場面を魅力的に撮れている。さらに、後半のアクションシーンがどこなくホラー風味であるのも興味深い。バットマンをあえて暗闇から出現させ、その「静」から一瞬にアクションによる「動」にもちこむ演出、クレイン博士のマスクの恐ろしさ(キリアン・マーフィはハマリ役)。武器開発のシーンはノーラン監督のオタクぶり全開で見ていて楽しかった。バットモービルのデザインは不安があったが、カーアクションで不安も吹き飛んでしまった。脚本もすごく出来がいい。伏線も十分に張ってあり、レイチェルとの駆け引きは秀逸。アルフレッド役のマイケル・ケインも旧作のマイケル・ガフに負けず劣らずいい味を出している。原作漫画の雰囲気を尊重した旧シリーズに対し、原作ファンでありながら原作とは全く違った「映画」を作り上げたノーラン監督の意向は素直に称えたい。
[映画館(字幕)] 9点(2005-06-22 22:37:22)(良:1票)
20.  テス
トーマス・ハーディの原作小説をポランスキーが映画化、ということで原作にはかなり忠実に作っています。19世紀イギリスの美しい風景、そしてヒロインをN・キンスキーが演じている事が原作の雰囲気を十分に伝える事に成功していると思います。原作の名シーンもしっかりおさえてありますし。結局、彼女にとって一番の悲劇は自分が貴族の一族だった、ということではないでしょうか。ただ、原作に比べて惜しい、と思うところは妹のライザの存在がまったくと言っていいほど無視されている事。原作ではテスが最後ストーン・ヘンジでエンジェルに死後、彼女と結婚するよう頼む貴重なシーンがあったのです。それともう一つはエンジェルの苦悩のシーンがないこと。あれがないせいで、この映画は原作を知っている私にとってもエンジェルがよけい身勝手なだけに思えてしまいました。ラストもどうせならエンジェルが義理の妹のライザと去っていくシーンで終わったほうがよかったです。そういうことで、評価は7点にしときます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2004-10-24 10:44:35)(良:1票)

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