1. 東京物語
《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて久しぶりに鑑賞。○60年以上も前なのに、そして戦後たった8年後の作品なのに今見ても胸打たれるのはテーマの持つ普遍性ゆえだろう。○血の繋がっていない紀子が一番親切にしてくれるという皮肉だが、この紀子が自分のことを全く良い人間だなんて思っていないところがまた良い。本当に思っていないんだろうな。だからこそ周吉から感謝を述べられ、嫁に行っても良いと言われても「私、ずるいんです」と言って涙する。○一方で周吉も周囲から見れば子供が立派に育っていると褒められるのに粗野に扱われる始末。旧友との飲み会で吐露した本音が印象的だった。その後酒を断つと言っていたのに泥酔し結果的に子供たちに迷惑をかけてしまうのが心苦しかった。○子供たちを演じた杉村春子や山村聰らは決して悪人ではない、でも少し冷たい感じが絶妙だった。○こんなテーマの多い監督だが、定期的に観たく成る作品群である。 [映画館(邦画)] 10点(2008-03-02 23:08:35)(良:2票) |
2. ドゥ・ザ・ライト・シング
《ネタバレ》 ○黒人を題材にした映画では外せない一本。スパイク・リーのデビュー作であり、集大成に様な気もする。俳優としても重要な役割を演じている。○いろんなエピソードが一気にラストへ集約され向かっていく。そして終盤、一度火をつけてしまった花火のように画面の中で次々に爆発していく。非常にエネルギッシュな映画だった。 [DVD(字幕)] 9点(2009-05-10 22:09:06) |
3. 遠い夜明け
《ネタバレ》 ○2017/05/28、BD化されておらずDVDにて2度目の鑑賞。○2度の鑑賞に堪えうる、綿密に計算された展開。ビコとウッズが徐々に距離を縮めるドラマが中心の前半と、ウッズ家のスリリングな亡命劇の後半が融合している。○南アフリカに詳しくなくても分かるような明確な表現が用いられ、それがビコのキャラを視聴者に理解させる良い材料となっている。○軟弱そうで芯のあるウッズをケヴィン・クラインが、この作品以降もよく演じることとなる指導者の役どころをデンゼル・ワシントンが好演。開始1時間で早々に退場したビコを回想シーンで登場させたのは正解。少しでも長い間観ていたいキャラだった。○今作公開当時はまだまだアパルトヘイトが残る時代。94年のその撤廃までに幾多の犠牲があったと考えると身震いする。○人間の愚かさと素晴らしさ両面を描いた傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2007-05-02 16:25:46) |
4. 12モンキーズ
《ネタバレ》 ○やはりテリー・ギリアムの出す世界観は独特で好きだ。○タイトルを伏線としているのが凄い。○オチが分かっていてもまた見たくなってしまう不思議な作品。ただ、見せ方次第でもっと面白くなったようにも思える。○ブラッド・ピットの役どころは凄く新鮮。「ファイト・クラブ」に通ずるセリフが見もの。○金髪のデヴィッド・モースも一見の価値あり。 [DVD(字幕)] 9点(2006-08-30 20:40:22) |
5. 逃亡者(1993)
《ネタバレ》 ○主演の二人と言えばこれが出てくるくらいの作品。○追う側、追われる側がバランスよく描かれており、事件の全容が徐々に分かってくる気持ち良さもある。○ラストの車中の会話もニヤリとさせられる。 [DVD(字幕)] 9点(2006-08-29 21:27:36) |
6. 泥の河
《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて鑑賞。○本来なら関わりたくないのだけど、優しく接する板倉一家。特に田村高廣の好演が光る。それぞれが距離を縮める家庭が絶妙だった。○お金を落としたきっちゃんが信雄に何か返してやらなきゃと蟹を拾い上げ酒に浸して火をつけるなんて。優しい信雄はドン引きだっただろうな。 [映画館(邦画)] 8点(2017-10-29 11:10:42) |
7. トゥルー・ロマンス
《ネタバレ》 ○タランティーノ脚本でトニー・スコット監督なら間違いない。○ラストはバッドエンドだろうなという雰囲気の中、想像とは違ったエンディング。ただ調べてみるとやはり。○向こう見ずな若者とハードボイルドさが見事で、クリスチャン・スレーターはさすが。○会話シーンではクリストファー・ウォーケンが見事だった。○映画のドンパチとは裏腹の優しい音楽が耳に残った。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-18 01:07:50) |
8. 扉をたたく人
《ネタバレ》 ○隠れた佳作。地味だが映画から発せられる言葉はものすごく強い。○テロが浮き彫りにした移民問題。ウォルターとダレクのささやかながら育まれる人間愛を一気に潰してしまう無機質な国家。徐々に画面からフェードアウトしていくダレクに対し、何もできないウォルターと母。非常に切なかった。○最後にウォルターがジャンベを駅で叩く。その音は次第に強くなっていく。日本にはアメリカほど問題視されていないが、いずれこういう問題に直面するかもしれない。観て本当に良かったと素直に感じた。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-01 20:01:26) |
9. 突撃(1957)
《ネタバレ》 既出ですが、やはりフランス人、ドイツ人と特定する必要はなく、むしろ無国籍映画とした方が良かったと思う。そこを除けば、素晴らしい反戦映画。一兵士の弱さ、軍上層部だけが持つ強さ、非常な命令に裁判、そして処刑と、無駄のない展開で一映画としての完成度は高く、公開時20代だったとは思えぬキューブリックの才能が随所に見られる。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-20 09:23:42) |
10. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 前半は、政治もの独特のテンポの遅さが無くて良かった。若干登場人物が多いのは仕方ないが。一方で後半はCGなしの爆発の連続。スタントマンはかなり良い仕事をしたんだと思う。そして、この映画は、戦争の無惨さを伝えるなどのメッセージ性は無く、ただただ真珠湾攻撃を史実に忠実に基づいて作られた作品なので、無駄な感情無く観れる。ラストの山本五十六の「眠れる巨人を奮い立たせてしまった。」と言って終わっていくのも、日本の最後を予感させていて良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-03 23:18:29) |
11. 遠い空の向こうに
《ネタバレ》 重厚なドラマを見られると思っていたので、案外、テンポ良くさらっと描いている様に感じた。それでも、青春モノとして要所を押さえているし、キャストも良い演技をしているので、良い作品になっている。落ちたロケットで怪我する人が出てくるのではと心配していたが、運も味方して成功となったのだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-06 22:05:30) |
12. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 意味不明な序盤から良くあそこまで繋げたと思います。最初の1時間は完全に意味不明なエロ映画だと思っていました。でも、後半になるにつれてだんだん惹きつけられていった。拘束されてから自由を求めて善人になれる治療を受けるが、それが無関心無欲の機械的な時計じかけの人間にしてしまう皮肉は素晴らしい。そして結局本能のままの人間に戻ると言う落ちもなかなか良い。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-25 22:49:58) |
13. 特攻大作戦
《ネタバレ》 ○当時の似たような邦題のタイトルに埋もれた戦争映画の佳作。○犯罪者たちが徐々にリー・マーヴィンと信頼を構築していく過程は秀逸。特に演習のシーンなど。○打って変わって終盤の実践。もう少し緊迫感がほしかったところだが、犠牲者も出るシビアさ。○リー・マーヴィンも犯罪者を演じた脇役もなかなかのキャラ立ちだった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-10-18 00:05:02) |
14. トロピック・サンダー/史上最低の作戦
《ネタバレ》 ○パロディ元が分かればより楽しめる作品。○冒頭のグロなどの要素はどう考えても不必要だと思う。○それぞれのキャストのキャラがはっきりしていてそれも楽しめる。特にトム・クルーズの存在感。たまーにしか見られない役だがさすが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-10 13:26:53) |
15. トレマーズ
《ネタバレ》 ○そこそこの被害者こそ出るものの、モンスターパニックコメディとして十分面白い出来。○それぞれのキャラも立っており、テンポも良い。テレビでやってたら見たい作品。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-03-30 18:21:19) |
16. トゥルー・グリット
《ネタバレ》 ○ジョン・ウェイン盤「勇気ある追跡」観賞済み。○割とジョン・ウェイン盤に忠実。正確には原作の再映画化らしいが。○ジェフ・ブリッジスもさすがの存在感。マット・デモンの端役も新鮮。○そして、映像美も見もの。○西部劇はやはり良い。今の俳優で西部劇をもっと見たいものだ。 [DVD(字幕)] 7点(2013-01-06 21:08:01) |
17. ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 ○贔屓のデヴィッド・フィンチャー監督作。最近は今一な印象の同監督だが、話題作でもあったので期待して観賞。大満足とまではいかずとも面白かった。あの気持ち悪い感じも久しぶりという印象。○徐々に謎が解けていく小気味良さもあり、158分という時間も全く苦にならない作りはさすが。ただ、登場人物の多さを考えるとだいぶ削ったんだろうなという印象。小説も読んでみたい。○また、リスベットのキャラも素晴らしく良かった。あのキャラだからこそラストシーンが生きてくる。甘酸っぱいというかむしろスカッとするというか変な感覚ではあったが、良いエンディング。○素晴らしいオープニングとともに同監督最高傑作を期待したが、たくさんありすぎる要素をまとめるのに奔走したともとれる。次回作あるなら是非観たい。 [映画館(字幕)] 7点(2012-03-04 15:03:41) |
18. 飛べ!フェニックス
《ネタバレ》 ハッピーエンドだとは予想がついていたが、全員が助かると言うような安易な作りでないのが良い。全員がバランスよく登場するわけではないが、それぞれのキャラにしっかり個性があるのが良い。約2時間半と言う長尺もそこまで気にならずに観られる。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-27 22:10:50)(良:1票) |
19. トッツィー
《ネタバレ》 時代を反映したドラマに仕上がっているが、軽快なコメディで皮肉もサラッとしている。歌い始めたおっさんには笑った。ただ、ジュリーとの話はうまく収集がついていない気がする。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-22 12:27:11) |
20. トランスポーター
《ネタバレ》 ○ジェイソン・ステイサムの妙な親切心やヌルヌルアクションなど笑いどころ(?)も満載の作品。○要所にアクションを挟みながら、やや強引に話は進むが、約90分のアクション映画として観れば十分。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-09-02 12:45:08) |